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組織に対する不信感:エンゲージメントを下げる理由と施策

前回の記事では、従業員エンゲージメントを下げる要因として、「仕事に対しての不満」を詳しく取り上げました。今回は、もう一つの重要な要因である「組織に対する不信感」に焦点を当てて考察します。

目次

不信感の本質: 不信感を信頼の欠如として定義し、従業員エンゲージメントにどのように影響を与えるか?

組織とは誰のことか?: 組織の中で「組織運営の指揮権をもっている人たち」を具体的な人物と結びつけ、不信感が生まれる可能性を考察

不信感の原因の考察: 不信感は意図的に引き起こしているわけではない可能性を示唆し、その背後の理由や従業員側の役割について考察

未来に向けた改善策: 最後に、組織と従業員が双方向に信頼を高めるための施策を提案

双方向の協力: 組織と従業員の双方向の協力・共同で問題を解決する重要性について

不信感の本質

不信感とは、自身が所属する組織に対して信頼を寄せられない状態を指します。不信感の原因はさまざまですが、以下のような要因が考えられます:

組織の無関心: 従業員が組織にとって重要ではないと感じる場合、不信感が生まれます。

低い評価: 組織が従業員を十分に評価していないと感じる場合、不信感が高まります。

信頼の欠如: 従業員が組織のリーダーシップや意思決定に疑念を抱く場合、不信感が生じます。

公平性の欠如: 従業員が不公平な扱いを受けていると感じる場合、不信感が募ります。

これらの要因は、実際の経験や組織の文化に根ざしています。不信感が蓄積すると、組織のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、最悪の場合、離職などの問題が生じることもあります。


組織とは誰のことか?

組織とは集合体ですから、最前線で働く従業員からの視点で見ると、組織とは一体誰のことを指しているのでしょうか?

「トップマネジメント」あるいは「組織運営の指揮権を持っている人たち」と言えそうですが、顔が見えてきません。顔が思い浮かぶようにしてみると社長、部長、課長あたりでしょうか? 上記にあげた例えについて主語を変えて言い換えてみると、

  • 社長が、部長が、課長が従業員のことを考えていない

  • 社長が、部長が、課長が従業員を大切にしていない

  • 社長が、部長が、課長が従業員を信頼していない

  • 社長が、部長が、課長が従業員を公平に扱っていない

となります。

そうなると「組織に対する不信感」を持つとは、社長、部長、課長という人たちを信じることができないが故に、不信感として受け止めてしまうと言ってもよさそうです。つまり今現在(あるいは過去)の社長、部長、課長たちの、これまでの自分に対する直接的な対応、間接的な対応を見てきた結果という事になります。

さらに掘り下げると、彼らが決めた、「組織運営の制度やしくみ」、「組織をリードしていく彼らのリーダーシップのスタイルから生まれる人との対峙の仕方」が要因となっていると考えられます。


不信感の原因の考察

ここで疑問が生まれます。社長、部長、課長、つまり「組織運営の指揮権をもっている人たち」は意図的に従業員のことを考えない、大切にしない、信頼しない、公平に扱わないのでしょうか?

そうとは思えません。

何か理由があり、現在の制度や仕組み、対応をしているのではないでしょうか? 

もしかすると従業員側が不信に陥っていると気づいてないのかも知れません。

「何らかの理由があって現在の対応をしている」、「従業員に信頼されるべく努力しているかもしれないが、その努力が不十分である」、あるいは「従業員側がその努力に気づいていない」といった可能性が考えられます。そうであれば改善の余地はありそうです。


未来に向けた改善策

過去は変えられませんが、未来は変えることができます。不信感の対義語は「信用」と「信頼」です。 「信用」は過去の業績から生まれるもの、「信頼」は過去の業績からも生まれてきますが、将来への期待も含んでいます。従業員と組織は、過去に目を向けるのではなく、双方向の信頼を築くために、未来に向けて協力する必要があります。以下に組織側の施策、従業員側の施策の例を記載します。


組織側の施策

  • 対話と透明性: 組織のリーダーは、従業員との対話を重視し、組織の価値観、判断基準、目標などを従業員に理解してもらえる機会を提供する

  • 情報の透明性: 必要に応じて、財務情報や経営状況を透明に開示し、従業員に組織の健全性を示す

  • 公平な評価: 公平な評価制度を導入し、従業員が自身の貢献が適切に評価されることを確保する

  • 尊重の文化: 個々の従業員を尊重し、公平な扱いをする行動をリーダーが自ら取る

  • 言行一致: 言ったことを行動に起こし、結果を共有する 共通の目標: 協力を仰ぎ、共通の目標に対峙する

従業員側の施策

  • 組織への理解: 組織の目的や目標を理解し、積極的に貢献しようとする姿勢を示す

  • 自己認識: 自身の役割と責任を自覚し、フィードバックを求める

  • 建設的な参画: 組織の課題や問題に対して、建設的な意見や提案を積極的に行う

  • スキル向上への取り組み: 自身の知識やスキルの向上に寄与する方法について相談し、努力する 協力の姿勢: 協力的な姿勢を示し、共通の目標に対峙する

などのような施策の例をあげてみました。


双方向の協力

組織に対する不信感は、一朝一夕に解消されるものではありません。不信感を解消するための施策は、組織の規模や業種、文化などによっても異なるため、個々の組織に応じたアプローチが求められるのは言うまでもありいません。しかし、組織と従業員が双方向に信頼性を高める努力を共にすれば、組織のパフォーマンスは向上し、従業員が働きやすい環境を築くことができます。

小さな一歩から始め、コツコツと行動を起こしましょう。もし不信感の原因を相手側に求めているのであれば、自身が何を変えられるかを考えてみることが大切です。

組織と個人が共に協力し、不信感が解消できればエンゲージメントを高めることができます。このような双方向の努力が、組織全体の健全性と従業員の幸福感に寄与し、より良い職場環境の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

さていかがだったでしょうか? 今回は組織に対する不信感を解消する取り組みを組織側、従業員側の双方のアプローチを考えてみました。組織に対する不信感は、従業員のモチベーションやパフォーマンスの低下につながる可能性があるため、早期に対策を講じることが重要です。

私たち改善コンシェルジェでは、エンゲージメント向上のために、組織の現状を分析し、問題の原因を特定した上で、組織側と個人側の双方が取り組むべき課題を明確化します。

また、課題解決に向けた具体的な施策の立案や実行支援も行っております。 

ご相談いただければ幸いです。

単なるコンサルテーションの提供にとどまらず、組織内にチェンジエージェントとなる人財の育成についてもお手伝いいたします。

Improvement Concierge
岩﨑一仁

HP l6s-improve.com
https://l6s-improve.com/?p=852

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