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国境を出てから Vol.2 ー新京に到着ー

この記事を書いた人、代筆した人の説明

国境を出てから ー新京に到着ー

部隊長は満炭の配属将校だった隊〇(※漢字判読できず)中尉。軍の好意で各自3ケのお握りを貰って。何時来るとも分からぬ列車に乗るべく駅へ急ぐ。案外早く列車が来た。日本兵が乗っていて心強い。鉄橋は皆爆破して来た由。ソ連軍の追撃を恐れて。家族揃って腰かけられた 眠い眠い 皆眠り込んでしまって図門(ともん)に着いた。乗り換えなんだが、暗闇の中 空襲警報を聞き乍ら待合所で立ち乍ら眠る 子供等に毛布を体に巻き付けてやる。朝鮮と満州の国境の駅。 各民族別の受け入れ先の放送。 日系は受け入れ先無し。 やり切れない悲哀を感じる。 とに角 来た列車に乗る。 何処まで行けるやら。 

広い広野を何時間か走って小さな集落がある。 吉林に着いた 日本兵を満載した列車が何本も入って居る。今朝ウラジオストックに入城した事を聞く。この日 全面降伏の日付なのだが当時は知る由もない。列車は出たが時々とまる。列車の片側に百人位の現地人が押し寄せて居る 敗者を身ぐるみ剥ぐのは中国の風習。 軽機関銃と二人の兵士 主人と も一人が日本刀を抜刀して構える中 各自に金を出し合って列車の運転手に握らせる(現地人の運転手)こうして新京近くまで来た。

〇〇(※判読不可)各所で煙があがって居る。焼打ちだとか。新京駅でプラットフォームに着くと坐り込んで眠る 翌朝見ると隣で丸腰の国軍の兵士が眠って居る。街には日本軍の小さな戰車が走り廻って居た。我々一行が新京到着の第一陣であった。

関連情報


神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫 石炭(11-092)
日本産業経済新聞 1943.2.27 (昭和18)

満炭とは「満洲炭鉱」のこと。

Wikipediaより
新京特別市(しんきょうとくべつし)は、満洲国の首都。現在の中華人民共和国吉林省長春市にあたる。
満州国国都・新京《前編》/ The capital of Manchukuo 1 of 2




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