太極拳つれづれ

リタイアして3年目の春に妻に引っ張られて近くの市民センターの文化講座「太極拳入門」の門を叩いた。

その妻はほどなく一緒に登った近くの山で下る際に浮石で足を滑らせて膝を強打、太極拳講座をリタイア。

あれから8年。渋々参加したオイラが残っているのは皮肉なもの。5年前から中級クラスに移って16式と24式太極拳の練習に取り組んでいる。進捗は亀の歩みより更に緩い蟻の歩みにも等しい。密かに「継続は力なり」と念じつつ。

一方、膝を痛めた妻はその後、整形外科、鍼灸院、プールでの水中歩行と藁をも縋る思いで試行錯誤を重ねていた。しかし、一向に回復の兆しがなく、東洋医学の道に進んだ二女(当時、カナダに留学中)にスカイプで相談したところ、「一回で治す」という触れ込みの四国の知り合いを紹介してくれた。結果、その評判に違わぬ名医ぶりで妻の膝は驚異的に回復した。やはり、世の中には神の手を持つ名医なる人が存在するのだと思い知った。その先生のお陰で、プールでの歩行から水泳教室に加入するまでになった。教室では先生から平泳ぎ、背泳ぎ、クロール、バタフライの基本を一から指導を受けて様になってきたようだ。最初は週1だったのが週2行くようになり、泳ぐのが楽しいみたいである。熱中する事には水は差さんけど、撮影動画を見て!と強要はいただけない。動画に登場する女性は押しなべて妙齢。オリンピックやパンパシフィック大会等TV放映される画像とは明らかに違う。もしかしてこれってセクハラ?かしらん。同様に見たくもない画像を強要するのもハラスメントだよね。でもまあ、妻の努力や熱意を否定している訳ではない。水泳もまったくのド素人のオイラだが動画をぱっと見、年々上達していることはわかる。その判断ポイントは下半身が沈んでいるか、浮いているか。当初の動画では下半身が45度近く沈んでいたが、次第に浮いてきた感じがする。やはり、「継続は力なり」。

さてさて、膝の故障が癒えた妻が再び太極拳の初級コースへ参加。オイラより熱心に練習している。中級クラスで落ちこぼれのオイラがどうこう言うのも変だが、それでも不自然なところは自然と目につく。これも経験値なんかのぅとニヤ付いていた。妻が再開して間もない頃、不自然な部分を先輩面してやって見せた。ところがである、妻の言葉に思わず腰砕けになりそうだった。曰く、「私と変わらんじゃ」。

さすがにこの言葉にはかなり傷ついたね。妻からすれば率直な感想だったかも知れないが、それはないじゃろう。思わず、口から洩れた言葉は「馬鹿野郎」。オイラの本音、心の叫び。


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