ちょうどいい速度。
先週11月14日の朝
娘が産まれて、時間の流れ方が変わった。
せわしなくなると思っていたけど逆だった。
時間が増えた。自由が増えた。
このあとまたどう変化するのかは、わからないけど。
そう感じるようになっただけかなと思ったけど、習慣も変わっていた。
まずiPhoneをどこに置いたのかわからなくなることが多くなった。
どれだけ依存していたんだかと思う。楽器より触っている時間が長かった。
これはいけないな。
浮かんだメロディはボイスメモに、歌詞はEverMemoに、ライブスケジュールはTimeTreeに。SNSも更新したりチェックしたり。ここまではまだいいけど、猫の写真も撮りまくるし(これもまあいいけど)、不要な買い物のためにネットサーフィンも途絶えない。
昨日、数年前から気になっていたトラベラーズノートを買った。革製品が好きだし、トラベラーズって響きも好き。みんながワクワクするネーミング。
手書きって良し悪しだと思う。タイピングの方が早いし、コピペもできる。
デジタルって便利だ。
でも、人間ってアナログだから手書きのスピード感が脳にとってはちょうど良かったりもするみたい。こうやって打ち込んでも、そうかな、と思うから、結局わからない。良し悪し。というか好き嫌いかもしれないくらいにしかわからない。
憧れだけでは実際に使おうという決心までは至らなかったけど、iPhoneどこかに放っちゃうし、気分が完全にそこに向かっていたので、仕事帰りの頼まれ買い物ついでに、inkへ寄ってみた。
大きさとか、色とかだけでも見て、また考えようと思って。
やっぱいいよな。なんかいいよな。と思いながら手ぶらで店を出た。
車の中でしばらく考えた。買って帰らなくていいのだろうか。
今、自分にお金を使うのがなんか後ろめたい気もした。赤ちゃんや妻に必要なモノなかったっけ?
お目当てのコーナーに辿り着いた時に、タイミングよく偶然流れたBGMが大好きな「Don`t Look Back In Anger」by Oasis。その時、今日がその日だなと思った。なのに車に戻ったところが僕の優柔不断さを表している。
15分ほど考えて結局、心を決めて再入店。パスポートサイズのキャメルとダイアリーと両開きのポケットを手に、レジに並んだ。文具屋さんに勤めてる人ってなんかまとっている空気が落ち着く。この人となら他愛ない会話でもしてみてもいいかもと思える。思いながらも、いつも通り最低限のやり取りで店を出た。こういう時、向こうも望んでいるわけではないだろうからとか考えてしまう。
心が躍った。なんかモノを買って久しぶりの感覚だった。嬉しさにも色々ある。新品の革の初々しさと匂いもいい。
早速開けて色々セットして助手席にポンっと置いた。旅の相棒って感じの音がした。
家に帰って、夜、ひとりダイニングで今書いてるのと同じようなことを書いた。SARASAの0.5mmのボールペンが好感触だった。スケジュールも埋めた。
「手で書く」って、運転中に音楽も流さず、街の、信号の灯とか、夕陽を背にくっきりと浮かぶ街路樹のシルエットとか、友達に手を振る小学生とかをぼーっと見る感じと似ているなと思った。
運転もゆっくりになった。
時がゆっくり流れていた。暮らしを眺める感覚。家族が増えて強くなった。
秋の穏やかな日差しが授乳する母の背中に暖かそう。
自分でも気が付いていないだけで、手で書くくらいが、いまの僕にとって無理のない、ちょうどいい速度なのかもしれない。
noteも好きだから久しぶりに書いたけど、これからの未知の日常を、たくさん手で書いていきたい。