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銀英伝に学ぶ「バカ殿がやる気出しちゃったら一番ヤバい説」

8月16日放送の「銀河英雄伝説#20惨劇」を観て「バカ殿がやる気出しちゃったら一番ヤバい」と思いました。
「寄り添う心」
「出来ない自分を認める勇気」
この2つがないトップは過信と暴走を起こし周囲に負担をかけ、組織を崩壊に導きかねません。
なぜその様な考えに至ったかを銀英伝の内容と共にご紹介致します。

銀河英雄伝説とは

『銀河英雄伝説』をというアニメをご存知でしょうか?

 累計1500万部を誇る田中芳樹原作のSF小説を長編アニメ化したもので本伝110話、外伝52話、長編3作という大作です。

 私が大学生の頃に加入していたケーブルテレビのアニメ専門チャンネルで放送していたのを観たのがきっかけですっかりハマってしまいました。

 そしてこの4月からNHK Eテレで新たに製作し直された『銀河英雄伝説 Die Neue These』が放送されています。(公式サイトは↓↓↓)

『銀河英雄伝説』のストーリーは以下のとおりです。

数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、銀河帝国と、自由惑星同盟という“専制政治”と“民主主義”という2つの異なる政治体制を持つ二国に分かれた。この二国家の抗争は実に150年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘を繰り返されてきた。長らく戦争を続ける両国家。銀河帝国は門閥貴族社会による腐敗が、自由惑星同盟では民主主義の弊害とも言える衆愚政治が両国家を蝕んでいた。そして、宇宙暦8世紀末、ふたりの天才の登場によって歴史は動く。「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーである。ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。(公式サイトより抜粋)

 私なりにまとめると

銀河帝国 対 自由惑星同盟
専制政治 対 民主政治
ラインハルト 対 ヤン

という敵対する組織に所属する2人の主人公を通してそれぞれの正義や信念が描かれており、そのどちらにも共感できるというとっても悩ましいアニメになります。

 そしてこのアニメはリーダーシップや組織運営、競争戦略などビジネスや企業経営にも役立つ情報が満載です。

 この『銀河英雄伝説』の中からビジネス・企業経営に役立つ様な情報を発信して行ければと思います。

今回の放送内容(8月17日放送#20惨劇)

今回の放送内容は以下の通りです。

 レンテンブルク要塞を陥落させたラインハルトは、リップシュタット貴族連合の本拠地、ガイエスブルク要塞に向けて進軍する。たび重なる敗戦にリップシュタット貴族連合は、副盟主のリッテンハイムが盟主ブラウンシュバイクとの確執でのすえ離脱するなど、結束にほころびが見えつつあった。ラインハルトは別働隊を率いるキルヒアイスにリッテンハイム討伐を命じる。貴族連合の主導権を狙うリッテンハイムはキルヒアイス艦隊に猛攻をかける。キルヒアイスは防御に徹していたが……。
公式サイトより

#18 「流血の宇宙」では賊軍リップシュタット貴族連合が信頼感の欠如により内部崩壊していく様が描かれていましたが、今回はその続きで貴族連合が完全崩壊します。(#18について書いた記事は以下になります。併せてお読みいただければ幸いです↓↓↓)

その完全崩壊した理由はラインハルト軍からの攻撃では無く「バカ殿のご乱心」のためです。

・バカ殿のご乱心①

貴族連合No.2のリッテンハイムは艦隊戦が不利になると逃げる方向に居た味方の艦隊を自らが通るために撃ち落として逃走します。
これにより基地に逃げ帰ったリッテンハイムでしたが裏切られた味方が自爆テロを起こしそれに巻き込まれて死亡します。

・バカ殿のご乱心②

貴族連合No.1のブラウンシュバイクは自身の領地で反乱が起きると怒りのあまりミサイルを投下し領民200万人を虐殺してしまいます。
この暴挙の様子をラインハルト陣営が映像に収めて全国民に向け放送した為、世論を敵に回したブラウンシュバイクは一気に求心力を失い貴族連合は瓦解してしまいます。

・2つの共通点

この2つのご乱心に共通するのは身内であるはずの部下や領民をぞんざいに扱い、命まで奪った結果自身の命や立場が危うくなるという完全なブーメラン状態です。

日本を代表するバカ殿との違い

「バカ殿」と言われて私が真っ先に思い浮かぶのは志村けんさんの真っ白な顔ですが、あの「バカ殿」を知らないという方は少ないのではないでしょうか?

そんな日本を代表するバカ殿はじい(くわまん)や3家臣(ダチョウ倶楽部)に対するあたりは強めですが、たまに城下町に抜け出しても決して威張ったり民をぞんざいには扱いません。むしろ(美人な)町娘を助けてあげたりしています。

今回の銀河英雄伝説で出てきた2人のバカ殿と日本代表バカ殿の違い、それは

「上の立場の人が下の立場の人のところまで降りていって状況や心情を理解しようとしているか」

つまり

寄り添う心があるか

ということです。

もう一点違う点は

出来ない自分を認める勇気があるか

です。

銀英伝の2人は軍を率いた経験もほぼ無いのに自らが先頭に立って惨敗してしまうのですが実力不足のトップが現場に介入して混乱をきたしてしまいます。

その点日本のバカ殿は政治を行なっている描写は皆無ですから自らが出来ないことを認めてそれができる人材に任せているのでしょう。

バカ殿がやる気出しちゃったら一番ヤバい説

これまでのことから同じバカ殿でも

・寄り添う心を持っているか?

・出来ない自分を認める勇気があるか?

この2つを持ち合わせているかどうかで評価は大きく違ってきます。

そしてこの2つを両方とも持ち合わせていない場合、

自分自身を「過信」し
出来ないこともできると勘違いして「暴走」してしまい
結局周囲に迷惑をかける

ことになります。

つまり

寄り添う心を持っていないのに
やる気を出しちゃって
出来もしないことをやろうとするバカ殿が
周りに迷惑かけまくって一番ヤバい

ということです。

銀英伝に学ぶ企業経営

今回のバカ殿エピソードは企業経営にも通ずるお話でした。

・寄り添う心
→従業員や取引先、お客さんの状況や心情を知ろうとする姿勢

・出来ない自分を認める勇気
→何でも自分でやろうとしない。自分が出来ないことを認め、できる人材を見つけて登用する。

この2つは会社のトップである経営者にも必要な要素だと思います。

逆にこの2つを持ち合わせていなければどれだけ能力が高かったり、資本が厚かったとしても暴走し、周囲に迷惑をかけ、最終的に組織を滅ぼしかねないということを銀英伝が教えてくれている様な気がします。

最後に

今回のテーマの裏には「自分の器を知る」ということが隠されています。

自分の器=出来る出来ないを知るために必要なことは「トライアンドエラー」です。

何かに挑戦し、成功と失敗を繰り返す中で自分の出来ること、出来ないことがはっきりすると自分の器が明確になります。

人は成功の喜びよりも失敗の痛みを過大に想像しがち(プロスペクト理論)なのでチャレンジを敬遠しがちですがそれではいつまで経っても自分の器を知ることは出来ません。

また、周囲が良かれと思って失敗を経験させない様に助けたり、他人のせいすることはかえってその人の出来る出来ないの判断を誤らせ「過信」や「暴走」を助長する可能性があります。

今回の銀英伝に登場したバカ殿2人もある意味では自身が失敗の痛手を被って器を知る機会を周囲から奪われたまま歳を重ねた犠牲者なのかもしれません。(了)


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