2023年ありがとうございましたと、新宿のスタバのアールグレイの話。
劇団ド・パールシムの主宰の新井孔央です。2023年が終わる前になんとしてでもnoteを更新しなければと思い、書いています。
まず、劇団ド・パールシムは今年の4月に旗揚げをし、2023年は2本の本公演を行いました。ご来場くださった方、協力してくださった方、本当にありがとうございました。劇団がこのように一歩一歩前進を続けることができているのは、皆様のおかげです。個人的には劇団としてのスタートの一年として、良いスタートが切れたのかなと思っています。また来年には1月の駒場小劇場での新作公演『流れる羊』から始まり、来年の末には下北沢への進出もあります。2024年も気持ちの悪くも美しい会話劇をハイペースに作り続けますので、どうぞ劇団ド・パールシムをよろしくお願いいたします。
こちら、新作公演の予約リンクです。無料カンパ制なので、是非是非お気軽にお越しください。お待ちしています。
***
今僕はスタバで紅茶を飲んでいます。滅多に飲まないホットティーは熱すぎて、いつまでたっても飲めない。僕が猫舌すぎるだけなのか、2023年もホットの飲み物が苦手なまま終わってしまいます。
演劇を始めて3年が経とうとしてます。今年は色々ありました。劇団ド・パールシムを立ち上げ、劇団綺畸を引退して、「日本の劇」戯曲賞2023を佳作受賞させていただいて、、、などなど。濃かったとともに一瞬で過ぎ去っていってしまいました。日々結構忙しくて、アイスコーヒーが手放せなかった一年だったと思います。僕は常にコーヒーがないと起きていられないのです。
来年度は大学を卒業します。ホットコーヒーの中にミルクを入れると、一瞬沈んだかと思うと、淵の方からグワっと浮いてくる。アレをみてるといつも、美しい北斎の波の絵を思い出す。富嶽なんたら。そういえば、本谷有希子さんの「生きてるだけで、愛」の波が手に見えて怖いって件、僕には共感できすぎて死にそうになってたのに、映画版で全カットされてたの、悔しかった。アレは自分の喉元を掴みかかってくる無数の手で、日々全力で生きる以外の方法を知らない我々メンヘラにとって、あの手を避け続けることと生きることは同義なのに。「日本の劇」戯曲賞、佳作だった。初めて自分のことが認められた気がしたから嬉しかったすごく。谷崎潤一郎とか、吉行淳之介が好きだ。彼らの作品を読んで、自分の作品の稚拙さを再確認する。悔しかった。
冷めてきたアールグレイはギリギリ舌のゲートを通過するけど、嚥下した後、胃の方を燃やして落ちていった。焦りすぎた。もうこれ以上書けないかもしれないって書くたびに思うんだけど、あの苦しいのがなんとなく楽しくなっている。脚本を書き始めて2年が経とうとしている。もう一口。やっぱり内臓が熱い。
歌舞伎町を歩いてるのが好きです。頭から腰ぐらいまでの治安が悪くなった錯覚に陥るから。バイト先が新宿の3丁目だから、秋ぐらいはよくバイト前に空気を吸いにいっていた。美味しくないけど、心地の良いあの空気。あの中心に歌舞伎町タワーを建てたのは正直狂ってると思う。頭のおかしい量の電飾を使った、嘘の居酒屋街と、ゲーセン。嘘。有り体な言い方になるけど、あそこは嘘の町。だから心地がいいのかもしれない。あそこは池袋とかみたいな、透明と灰色の街じゃない。
クリスマスだからって、一日中ゴロゴロしてる自分はほとんど病人なんだからと思い、太宰の「パンドラの匣」を読んだ。1/3くらい読んだところで急に窒息しそうになって、奇声をあげて玄関から外に出るんだけど、それから自分が近所迷惑になってることを自覚して、あー生きるのも死ぬのも一緒じゃないかって、どっちにしろつらいんだって、もう太宰みたいなことを声に出した。生きるのと死ぬのがあるのは現実。僕は多分どうしても「新しい男」にはなれないから、戦争を経験したかったと心から思ったりする。自分の命を別のところに預けてしまいたい。戦時中の食糧不足の中、ホストが食料をよこせって言ったら姫は全部差し出すんだろうか。とりあえず出陣しろって言ったら、鉄帽被って、歩兵銃を持って我先にと駆け出していくのだろうか。エンジェル一本できっと特攻機は何機か飛びます。
普段はアディダスのスーパースターしか履かない僕が一目惚れした、水色の可愛いスタンスミスを履いて歌舞伎町を闊歩する。いつもより薄いソールはゴツゴツとした、いやゴツゴツしていると思い込みたいだけなのかもしれないんだけど、そんな地面からの強いエネルギーを伝え、チラチラとした瑠璃色の不安定な世界が僕の中に否応なく入ってくる。嘘がモゾモゾとうごめいている。
歌舞伎町タワーの1階(2階?)と、渋谷の宮下パークの下は虚構。嘘の情緒代が上乗せになったちょっと高いハイボールは若干濃い。濃いはずだきっと。フィクショナルな鉄板餃子は、絶対幸楽苑の方が美味しいのに、圧倒的に僕を幸せにする。
嘘をうつすはずのユーチューブをする歌舞伎町のホスト。マイナスとマイナスをかけたら真実かもしれないと思って全部見てしまった。キングオブなんたら。面白かった。嘘みたいに面白かった。
来年度は大学を卒業します。もう飲めるアールグレイはめちゃくちゃスルスルって口に入ってきた。もう何も傷つけない。僕の演劇は、僕の作る嘘の世界は、多分ある程度人を傷つけている気がする。でも描きたくて、面白いはずの世界があるから書き続けます。傷つけるつもりないんです。わかってください。
昨日の渋谷で信号を待ってたら、アントニーがいた。思ったより大きくて、オシャレだった。話しかけたファンみたいな人に笑顔で手を振っていた。僕はその奥の工事中の東急のビルを見ていた。シアターコクーンっていつ再開するんだっけ。
売れたいです。歌舞伎町タワーでも、シアターコクーンでも自分の作品を上演できるくらい。絶対売れたいなと心から思いました。
いい作品を、面白いと思っていただける作品を作り続けるので、ぜひ今後の新井と、劇団ド・パールシムもよろしくお願いします。
とりあえず、次回作見にきて欲しいです。もう一度、ご予約はこちら↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?