![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98057680/rectangle_large_type_2_b6f665bce0da30ffc9dadf33e8f56a37.jpeg?width=1200)
追加投資|ゼロボード
この度DNX Ventures(以下、DNX)は、GHG(温室効果ガス)排出量算定・開示・削減を支援するソリューション「zeroboard」を提供する株式会社ゼロボード(以下、ゼロボード)の総額24.4億円のシリーズAラウンドに出資させていただきました。DNXとしては、2021年のシードラウンドに続いて、2度目の出資となります。今回のラウンドのファーストクローズでは、DNXの他に、リード投資家のKeyrock Capital Management、既存投資家であるインクルージョン・ジャパンに加え、新たにジャフコ グループ、DBJキャピタルおよびCoral Capitalの合計6社を引受先として、19.8億円の資金調達が完了しております。
セカンドクローズでは、長瀬産業株式会社、関西電力株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、岩谷産業株式会社、豊田通商株式会社、住友商事株式会社、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、オリックス株式会社、みずほキャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、株式会社デライト・ベンチャーズ、U3イノベーションズ合同会社、合計12社の事業会社パートナー/CVCを引受先として、4.6億円の投資契約の締結が完了しております。設立からこれまでの累計調達額は約27.5億円となっております。また、引き続きサードクローズを予定しており、シリーズAの調達総額は約25億円となる見込みです。今回調達した資金は、「zeroboard」のプロダクト機能開発の加速化、顧客伴走型で支援するカスタマーサクセスなど専門人材の採用強化、グローバルなプラットフォームを目指す海外展開に活用致します。
GHG排出量算定・開示・削減を支援するソリューション「zeroboard」とは?
「zeroboard」は、脱炭素経営パートナーとしてGHG(温室効果ガス)排出量算定・開示・削減までを支援する一気通貫ソリューションとなっております。企業活動やサプライチェーン由来のGHG排出量をクラウド上で算定と可視化を行い、課題に合わせたGHG削減ソリューションを提供することで、企業の脱炭素経営を支援しております。
昨年のプロダクト版リリース以降もプロダクトは進化を続けており、「zeroboard」では例えば以下のような機能・サービスがあります。
国内外のサプライチェーン排出量(Scope1-3(※1))、製品別・サービス別排出量(カーボンフットプリント)の算定・可視化
サプライヤの実績値の収集・管理機能
多言語対応(日本語・英語・タイ語、中国語、スペイン語)
第三者機関が妥当性を保証済みの信頼性を担保されたシステム(ISO14064-3(※2)に準拠した検証)
各種報告書(温対法、CDP、TCFDなど)の定量的な開示項目に準拠した算定
サステナブルファイナンス、再エネ・省エネ、脱炭素ソリューション、原材料調達、人材の提供など、ユーザー企業の脱炭素課題に沿った多彩な削減支援を提供
![](https://assets.st-note.com/img/1676420927711-iibqvj4keC.jpg?width=1200)
(※1)国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準である「温室効果ガス(GHG)プロトコル」の中で設けられている排出量の区分(Scope1:自社の事業活動における直接的なGHG排出、Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用により発生する間接的なGHG排出、Scope3:上記以外の事業活動に関わるサプライチェーンのGHG排出)
(※2)国際標準化機構(ISO)が定めたGHGに関する主張の妥当性確認および検証のための仕様・手引き
今回投資に至った経緯
DNXが今回、ゼロボードへの投資を決定した理由・背景についてご紹介させてください。
1. チーム
ゼロボード創業前の渡慶次CEOのご経歴は、JPMorgan→三井物産→A.L.I.ということで、ファイナンスxエネルギー分野xスタートアップ経営のご経験が豊富で、ゼロボードの経営者として最高のFounder Market Fitをもっております。また、ゼロボードは弊社インキュベーションオフィス「SPROUND」に創業時から利用いただいております。ゼロボードの各メンバーは熱量高く、日々ビジネスに邁進されており、チームの一体感や熱量、勢いを間近で見ることができていた点が投資の意思決定を大きく後押ししました。創業以来、急成長を続けており多くのメンバーがジョインされておりますが、素晴らしいパーパスのもとに集まったメンバーは皆さん熱量高く、チーム一丸となってゼロボードが実現したい世界に向けて邁進している点が非常にポジティブでした。この度、事業拡大につきSPROUNDを卒業されますが、SPROUNDコミュニティのメンバー全員がゼロボードの益々の発展を願っております(以下、SPROUNDで実施されたゼロボード卒業イベントでの集合写真)
![](https://assets.st-note.com/img/1676420949214-aybOJ67Hg4.png?width=1200)
2. 大企業を中心とする大きなトラクション
ゼロボードはそのプロダクトをリリースしてから、大企業を中心に強い引き合いがあり、順調にトラクションを積み上げております。カーボンフットプリント(製品別・サービス別排出量)の算定機能を業界に先駆けてリリースするなど要求水準の高い大企業のニーズにも応え続けており、2022年1月のプロダクト版ローンチ後わずか10カ月ほどで導入社数2,000社を達成しております。また、海外を含めたサプライチェーン排出量の算定をさらに推進するため、新たに中国語とスペイン語の実装も完了するなど、脱炭素経営を推進する大企業にとって必要なソリューションとなっていることが投資の意思決定を大きく後押ししました。
3. マーケットポテンシャル
脱炭素の流れは大きなグローバルトレンドであり、すべての企業が考えなくてはいけないテーマとなっております。マーケットの追い風があることは間違いないところ、ゼロボードは各パートナー企業と協力しながら、この大きなトレンドの中心的な存在になっております。ゼロボードは、顧客企業にテクノロジーによる算定の高度化を実現するだけでなく、GHG削減ソリューションを提供するパートナー企業とのアライアンスを積極的に推進しており、今年1月にはパートナー数が100社に到達しております。顧客企業のニーズに合わせた多彩なソリューションを提供するエコシステムをパートナーとともに構築し、大きなマーケット・トレンドの中心的存在になっている点も投資の意思決定を大きく後押ししました。
最後に
気候変動によるリスク情報の開示の流れが強まる中、ゼロボードは脱炭素が企業価値向上につながるようなソリューションの提供を目指しており、既に多くの企業から高い評価を受け、SaaS企業として驚くべき成長を達成しようとしています。この事業を行う上で、最高のFounder Market Fitを持つ渡慶次CEOを筆頭に、パーパスに共感した素晴らしいチームが揃うゼロボードの、今後のさらなる活躍に期待しております。
(文・新田修平)