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「緻密な数字の世界で見る新しい地平、VC Finance業務の面白さ」— Finance Manager 角屋魁周

みなさん、こんにちは。
この度、ファイナンスチームにて公に中途採用の求人を行うことになりました。

改めて東京オフィスのDNXメンバーのキャリアや仕事を紹介します。
今回登場するのは、DNXでFinance Managerとして活躍する角屋魁周。
ベンチャーキャピタル以前には会計事務所に在籍、スタートアップ監査も経験。
ここ数年で進化を遂げてきたファイナンスチームを陰で支えてきた彼に、VCにおけるファイナンスチームの仕事や面白さについてたっぷり伺いました。

弊社の中途採用を検討されている方々のヒントになればと思います。
ぜひ記事の内容が気に入ったら、シェアなどご協力をお願い致します!

角屋 魁周|Finance Manager
大学卒業後、KPMGあずさ監査法人に入社。製造業を中心とした上場企業の会計監査・内部統制監査をはじめ、衛星開発・情報通信・不動産など、多業種のスタートアップの監査、上場準備支援、財務調査業務に従事。2021年12月、DNX Venturesに参画。
慶應義塾大学経済学部卒、公認会計士

https://www.dnx.vc/teamjp/kaishu-kadoya

会計士の仕事との出会い

前職では、5年ほど監査法人に勤めており、上場企業だけでなく、上場準備企業・スタートアップの監査も担当できる部署に在籍していました。

もともと会計士の資格を取得しようと思ったのは、小さい頃から漠然と”経営”というものに興味があったことが影響しています。小学生のときには無知な子供らしく、校長先生に「将来は会社をやります」と豪語していましたし(笑)、中学高校時代も、図書館で自然と経営に関する本をよく手に取っていました。
その後「会計士試験」というものについて知りました。会計だけでなく、会社法や経営学、税務など、会社運営の実務にまつわる幅広い知識を習得するのに良いなと思い受験。無事に大学2年時に合格することができました。

比較的早くに試験勉強が終わったので、卒業までの間に、学生起業家のなかに飛び込んでみたり、上場前のメガベンチャーでインターンをしたり、留学も経験。失敗も含め色んな事を試す時期を過ごしました。就職も色々と考えていた中、紆余曲折を経て、最終的に会計士のスタンダードである監査法人をファーストキャリアに選びました。

イレギュラーで大変だと思える仕事こそが、面白かった

監査法人に入所して一年目の担当クライアントは、ほぼ「くじ引き」です。引き合わせや運で、得られる経験が変わってくる。私自身が希望し配属となったのはいわゆる「IPO部門」で、上場会社だけでなく、上場を目指すスタートアップの監査も多く経験できる部署でしたが、前職で特に貴重だったと感じるのは、一年目から担当していた上場エンゲージメント2社での経験です。元々事業部でも名の知れたタフなクライアントでしたが、その上に予期しない事象により、うち1社が緊急案件化。精神的にも肉体的にもハードな期間を過ごしました。

でも振り返ってみると、そういった経験が一番面白くて。普段関わらない情報に触れながら、通常しない監査手続を立案したり、監査の方針を多忙を極めるクライアント側に要望し、折衝に奔走したり。それが落ち着いた頃にはもう一社の対応も再開し、「さすがに辛いだろうから、どちらか外そうか」とマネージャーに提案していただいたのですが、「面白いので、このまま両方続けさせてください」と言っている自分がいました。
ややもすると、監査はルーティンの仕事に陥りやすい。ところが、こうしたイレギュラーな状況下では必死に考え、クライアントとも社内とも折衝して乗り切る必要がある。大変だったけど楽しかったですね。自分が面白いと思える仕事は「イレギュラーの中で頭を振り絞って、乗り切っていく仕事なのかもしれない」と思いました。

事業再編を機に、新しい環境を求めて転職

前述のIPO監査の部署で、上場会社とスタートアップの両方を経験することができましたが、その後事業部再編となり、IPO監査からは完全に離れることになります。しばらく待てば異動もあったかもしれませんが、二十代の限られた時間をできる限りチャレンジングな環境に身を置きたいという思いが強まり、転職活動を始めました。

広く様々な仕事を見ていくなかで、スタートアップの世界に関わる仕事や、海外赴任などグローバルな環境を探していました。そんなときにDNXの話が舞い込んできました。ベンチャーキャピタルの仕事は未知ながらとても興味深く、DNXは日米で活動していてグローバル。そしてインタビュー記事や面接を通じて素敵な人たちが多そうだなと感じたことが決め手となりました。

ファンドの会計・財務はもちろん、投資チームとの連携業務も

私がDNXで担当している仕事のうち一番大きなもののひとつは、ファンドの決算、そして監査対応です。これに加えて、月に一度の投資報告書の取りまとめや、LPさん(Limited Partner:ファンド出資者)向けのレポーティング、LPさんからの問い合わせ対応、そして運用管理会社の経理周りなどの業務を担っています。3-4年に一度行っているファンドレイズの時期には、Finance/Accouting周りのDue Diligence対応もしています。

監査法人での経験はすごく活きていると感じています。会計数値に対する感覚や、投資家向け開示書類の一言一句に至るまで緻密に作り込む大切さを理解していること。データに基づいた事実確認や、会計基準など一次情報に当たって判断する事は、数字を扱う仕事の基本動作であり、前職で身に着いたことだと思います。

一方、これまで経験した会計や監査からストレッチした仕事もあります。例えば、チームが投資に関わる様々な分析ができるよう、投資に関する社内のあらゆる数字データをまとめたデータベースを構築しました。決算に関するものだけではない多くの数値情報を組み込み、様々な切り口で集計・分析できる仕組みで、投資チームにも活用してもらっています。最近で言うと、投資先のモニタリング体制を整備するタスクフォースにも参加し、監査法人時代に培った内部統制に関する知識や経験を活かすことができました。スタートアップの内部管理体制を実感を持って知っていたことや、一般的に生じる課題を把握してたことは、IPO監査を経験して良かった部分です。また、通常のFinance/Accounting業務以外に、私の強みが活きる領域での投資DDに携わったこともありました。

深淵なスタートアップ評価の世界

VCファンドの財務諸表の中で最も重要かつ難しいのは、投資の公正価値(フェアバリュー)の部分です。要は、我々が1株当たり100円で買ったスタートアップの株式を、今事実上いくらの価値と評価するのか。最近資金調達ラウンドがあった場合は、当該ラウンドでの株価を適用するのが基本です。しかしUS GAAPやIFRSでは、一定の期間を経過後は公正価値の算定が必要となります。DNXでは主にUSファンドでその算定をしていますが、これが本当に難しくて。上場会社など一定の規模と過去実績がある会社は、利用可能な情報が多く、将来の見通しを立てる上での材料も豊富にあるため、比較的理論に当てはめて計算しやすいと言えます。ところがスタートアップは、過去の実績が少なく将来の見通しもブレるのが当たり前で、革新的なビジネスほど類似企業が少ない。不確実性が高く、不確実性の程度もわからない中で、会計的なひとつの数字に落とし込むのがとても難しいんですね。

「スタートアップ公正価値評価の絶対解」はこの世の中にありませんが、その中でGPと監査法人との議論の間に入り、両者の言い分を理解する立場で最適解を見出すプロセスは、ファンド決算をやる上でのひとつのやりがいだと感じています。定量的な計算結果を踏まえた議論は、GPの判断にも資する材料になると考えていますし、またこうした公正価値の模索を経て、ファンド決算数値もより有用性の高いものになると思っています。

昨年の決算では、特に米国ファンド向けに公正価値評価をブラッシュアップしました。昨今VCに出資する海外を含む機関投資家の増加に伴い、日本でも公正価値評価を導入する流れが加速しています。まだ一般的な慣行が確立されていない日本において、より高いレベルのスタートアップ評価のロジックを構築するプロセスは、これまで以上に面白い取り組みになるな、と想像しています。

より成熟したVCを目指すための仕組み作り

DNXのファイナンスチームは、フルタイムとしてはCFOと日米のFinance Managerの3名で、それに日米1名ずつの経理アシスタントを加えた計5名体制で運営しています。今回、新規ファンドの立ち上げや業務領域の拡大に伴い、日本で1名、米国で1名メンバーを追加します。ファンドが日米に跨った構造になっているので、ファイナンスチームの日米連携は重要で、日々のコミュニケーションに加えて週次で日米メンバーで定例ミーティングをしています。決算時には、米国の会計基準に即した公正価値をどのように落とし込むか、日米で深く議論をしました。
私は決算の取りまとめや投資チームとの情報共有、公正価値等論点検討などがメインの仕事です。日本におけるファンド業務は尚子さん(CFO)と私の二人体制なので、かなり幅広い仕事をさせてもらっていますし、「ここをやってみたい」と言えば挑戦させてもらえています。

転職活動当時、尚子さんのインタビュー記事を読んでいました。彼女が入社した2019年当時は日米統一された仕組みがなく、彼女がゼロから仕組みづくり・ルーティン化してきました。私もそれに重ねる形で、より良いオペレーションができるよう少しずつ工夫を重ね、円滑なファンド運営を行う体制は整いましたので、ここからはより高いレベルを求めて、プラスアルファを構築していくステージです。
DNX Valuesに即して表現すると「その仕事はホンモノか」。アメリカの本場のVCを知るDNXがグローバルなレベルを目指す過程で、ファイナンスチームとして投資やエグジットの判断に資する分析や、財務会計周りの投資先支援にも貢献できればとてもいいなと思っています。

求められる業務領域の広がり

こうした新しい仕組みを考え構築していく段階にあることや、希望した業務をさせてもらえる業務の広がりに加え、身に着けるべき知識の幅広さも特徴だと思っています。前職で必要であった会計・監査周辺の知識に加え、コーポレートファイナンスや法務、税務について、外部の専門家と一緒に進める上でも、より広範な一定の知識が必要となります。それがさらに、日本だけではない。たまに、学ぶべきことの膨大さに呆然とすることもありますが、チャレンジが好きな人にとっては面白い部分ではないかと思います。

DNXはまもなく4号ファンドの組成を完了する段階にきています。2号ファンド以降、日米それぞれにファンドを構え、AnnexやSeedなど複数のファンドが存在します。その全ファンドが四半期/半期ごとに決算、監査は年に一度、加えて税務上の対応もあります。国境を跨いだ投資であるがゆえに、日米両方で各種申告や届出、ファイリングが必要になります。米国の会計税務知識があれば大いに活きると思います。

今回ファイナンスチームが求める人物像は、ファイナンスチーム自身のカルチャーでもあると思うのですが、数字周りを細かく見える人、プロアクティブに自主的に動ける人です。数字周りの緻密さや正確性は、LPさんへの責任説明を果たす上での基礎であり信頼なので、責任感を持って取り組んでくださる方だと嬉しいです。その上で、主体的に動いて、DNXのファイナンスチームとして何をすべきか自主的に考えて行動していただけると嬉しいなと思っています。

DNXは部署や役職にかかわらずフラットでオープンな組織で、かつそれぞれの尖りや強み、個性を重んじるカルチャーが特徴です。
日本チーム全体で行うミーティングを通じて、新規投資の検討や投資先の経営状況について接する情報は、投資評価の際に有用であるのはもちろん、とても興味深いです。また、投資先の大事な情報だけでなく各チームの活動も常に共有され、自分達が何を目指し、どういう方向を向いて走ればいいかがわかりやすいので、主体的に動きやすい環境だと感じています。

DNX Venturesの新メンバー募集!

DNXでは、ファイナンスチームのポジションFinance Associateをはじめ、4つのポジションで新メンバーを募集中です。

ぜひまずはカジュアルにお問い合わせください!

(写真・文 上野なつみ)


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