追加投資｜Cloudbase

この度DNX Ventures（以下、DNX）は、クラウドセキュリティプラットフォームを提供するCloudbase株式会社（以下、Cloudbase）の総額11.5億円のシリーズAラウンドに、リード投資家としてジャフコグループ株式会社とともに投資を実行致しました。DNXとしては、2022年にArena Holdingsと共同リードしたシードラウンドに続き、2度目の同社への出資となります。

Cloudbaseが解決する課題とは？

AWS、GCP、Azureをはじめとしたパブリッククラウドの国内市場規模は2兆円を超え、現在も急速に拡大を続けています。日本の大企業においても、DX化の名のもとに8割以上が全社的にクラウドを導入している状況となっております。

一方で、クラウド利用におけるセキュリティ事故が後を絶たず、大企業では大規模な情報漏洩や不正アクセスといった問題が絶えず発生しています。このようなセキュリティ事故の要因として、クラウド上の構成ミスや脆弱性が挙げられますが、日本国内では社内に専門人材が不足しており、有効な対策が実施されていません。また、日本の大企業では様々な事業部でクラウド活用が進んでいるため、全社での統制管理が求められている一方、多くの企業のクラウドセキュリティ管理体制は以下のような状態であり、常に事故のリスクに晒されています。

• セキュリティ部門や情報システム部門といった専門チームが、社内の各事業部のクラウド利用の実態を監視できていない

• 事業部によってセキュリティ対策の濃淡が存在している

• 導入時、設計段階のレビューのみでセキュリティシステムが運用されており、定期的なアップデートがなされていない

このような状態の場合、情報漏洩やサーバーの乗っ取りといった重大なセキュリティインシデントを引き起こす可能性が高く、セキュリティ状態の確認及び必要な対策項目の洗い出しを早期に実施することが求められます。

Cloudbaseが提供するソリューションとは？

上記のようなクラウドセキュリティに関する課題に対して、企業の安全なクラウド運用を実現するセキュリティプラットフォームを提供しているのがCloudbaseです。

Cloudbaseは、AWS・Microsoft Azure・Google Cloudといったパブリッククラウドを利用する際に発生する設定ミスや、サーバーやコンテナの脆弱性といった様々なクラウド上のリスクを、統合的に可視化し、対策項目の優先順位付けと実施・管理までを一貫して行うセキュリティプラットフォームとなっており、以下のような特徴があります。

エージェントレススキャン

各企業の既存環境に影響を与えることなく、全社のクラウドリスクを可視化します。専用のソフトウエアのインストールを必要としないエージェントレスのスキャン技術により、既存環境に影響を与えることなくスキャンを実施することができます。これにより、インストールの手間やサービス負荷を気にせずAWS・Microsoft Azure・Google Cloudを一元的に監視することが可能になります。

トリアージ

クラウド上の構成ミス（ポート開放、パブリック公開など）や脆弱性（Log4Shellに代表されるCVEで管理されるもの）を統合的に検出することができます。検知される膨大なリスクから、クラウドの構成情報や設定ミスの組み合わせを独自に評価することで、ハッカーによる攻撃経路が存在しているものや情報漏洩が発生しているものなど、緊急度の高いリスクを優先的にアラート表示します。

「導入して終わり」ではなく、本質的な運用まで徹底サポート

クラウドセキュリティは、製品を入れて終わりではなく全社でリスク対応を継続的に実施することが重要です。

企業が全社でセキュリティ戦略を推進できるよう、説明会、定例会、ルール策定をはじめとした、多くの関係者にとって分かりやすいユーザー体験やサポートを提供しております。

このような特徴が、特に日本の大企業中心に非常に高い評価を受けており、以下のような日本を代表する企業（一部抜粋）にシード期の段階からご活用いただいております。

今回投資に至った経緯

弊社が今回、Cloudbaseへの投資を決定した理由は、大企業を中心とした大きなトラクション、マーケット、レベルの高いプロダクトとそれを支えるチーム力です。

1. 大企業を中心とした大きなトラクション

Cloudbaseはプロダクトをリリースしてから、大企業を中心に強い引き合いがあり、急速にトラクションを積み上げております。一般的に大企業は導入に際して要求水準が高い場合が多いですが、同社のプロダクトはすでに多くの日本の大企業に活用いただいており、また、導入後に大きくエクスパンションする例も多く、クラウド化を推進する大手企業にとって必要不可欠なソリューションとなっていることが投資の意思決定を大きく後押ししました。

2. マーケット

Cloudbaseがアプローチしているクラウドセキュリティ市場は直近数年間で急拡大している市場でもあり、海外ではクラウド化の浸透率が高く、セキュリティへの意識も高いため、イスラエルや米国を中心にユニコーン企業が誕生しております。日本国内でも、DX化の名のもとにAWSをはじめとしたパブリッククラウドの利用が広がっていますが、上述の通り、十分なクラウドセキュリティ体制を構築できている企業は多くありません。こうしたクラウド化の進展とともにクラウドセキュリティの需要が今後ますます強くなるものと考えております。

3. レベルの高いプロダクトとそれを支えるチーム力

Cloudbaseはただ単にリスクを見つけるだけでなく、即座にかつセキュアに利用開始できる仕組みや、ユーザーフレンドリーなUI/UX、トリアージ機能、リスクの正体や事故例・対応方法などを平易な日本語で解説している豊富なドキュメントなど、プロダクトを使いやすくする工夫やその効果を最大化するための仕組みが多く、プロダクトのレベルの高さが魅力です。
また、セキュリティリスクの発見だけではなくその改善まで含めた、クラウドセキュリティに関するトータルオペレーションの構築・運用を重視しており、プロダクトだけではなく、セールス・CSチームが協働し、トータルソリューションを提供することで、顧客のIT担当者から現場の利用者まであらゆるユーザーへの価値提供を実現しております。高いレベルのプロダクトを開発した同社のエンジニアチームや、大企業を中心に急成長を実現させたセールス・CSチーム、そして、それを可能としたCEO岩佐さんはじめとした経営陣の採用力・真摯なチーム作りが大変魅力で、投資の意思決定を大きく後押ししました。

Cloudbase 岩佐CEOからのコメント

前回ラウンドに引き続き、DNX Venturesの皆様からリードで出資をいただきました。
シードから常に起業家ファーストな姿勢でご支援いただくのみならず、厳しい調達環境の中で投資の意思決定をいただき、とても感謝しています。

Cloudbaseは「日本企業が世界を変える時代をつくる。」というミッションの実現に向けて、飛躍を遂げていきます。
DNX Venturesの「日本のスタートアップ・エコシステムをより善い方向へ」という倉林さんの想いをお聞きし、ともに、仲間として日本の変革を目指して歩んでいきたいと強く思っています。
まだまだ旅路の途中ですが、チーム一丸となって今までにない未来を切り拓いていきます。

ーー Cloudbase株式会社 代表取締役 岩佐 晃也

最後に

国内でもパブリッククラウドの利用が加速する中、クラウドセキュリティの対策が十分になされている企業はまだ多くありません。Cloudbaseのプロダクトは、セキュアなクラウド運用を実現するソリューションとしてすでに多くの大企業にとって必要不可欠なものとなっています。海外では多くのユニコーンが誕生しているこの領域において、日本のクラウドセキュリティをCloudbaseがリードしてくれることを期待しております。

（文・新田修平）