新規投資|Levetty
この度DNX Venturesは、クラウドセキュリティプラットフォーム「Cloudbase」を提供するLevetty株式会社(以下、Levetty)の総額1.3億円の資金調達(シードラウンド)を、Arena Holdingsと共同リードし、投資実行致しました。本ラウンドは、Arena Holdings以外にも、Delight Ventures、East Ventures、京大創業者応援ファンド、その他エンジェル投資家を含む多くの投資家が参画しております。
Levettyが解決する課題とは?
昨今、DX化が日本でも進み、AWS、GCP、Azureをはじめとしたパブリッククラウドの利用が加速しており、国内市場規模は1兆円を超えております。一方で、こうしたパブリッククラウドの利用におけるセキュリティインシデントが後を絶たず、大企業における大規模な情報漏洩や不正アクセスなどが発生しております。このようなセキュリティインシデントの原因は、設定ミスというものに起因することがほとんどであり、その割合は2020年時点では95%を占め、2025年時点では99%を占めると予想されております(ガートナー社予測)。
クラウドにおける設定ミスの主な例
設定ミスを原因とするセキュリティインシデントのリスクが急激に高まる一方で、そのリスクに対して有効な対策がなされていないのが現状です。多くの企業・サービスにおいて、「パブリッククラウドのセキュリティ対策の知見がない」、「リソースを割けていない」、「エンジニアが手作業でクラウドの設定をしている」、といったような状態で、パブリッククラウドとの繋ぎ込みにおいて危険な設定ミスを犯したまま放置しているケースが多く存在します。また、Security Hubなどのパブリッククラウドにおけるデフォルト機能を使うこともできますが、項目の網羅性が低い上に、複雑なUI/UXで非日本語対応、といったように、日本企業の担当者にとっては効果的に使いこなすのが難しいものとなっております。こうしたパブリッククラウドの設定ミスは、情報漏洩やサーバー乗っ取りなどの重大なセキュリティインシデントにつながる危険性も高く、セキュリティ状態の確認やリスク項目の洗い出しを早期にすることが求められます。Levettyが提供するCloudbaseは、まさにこうした設定ミスを原因とするセキュリティインシデントを防ぐためのソリューションです。
Levettyが提供する「Cloudbase」とは?
「Cloudbase」は、クラウド環境におけるリソースの可視化及び数百項目にも及ぶセキュリティリスクを監視するプラットフォームで、主要クラウドであるAWS、GCP、Azureすべてに対応しております。Cloudbaseの特徴をいくつかのキーワードで表すとすれば、
”即座”に利用開始でき、
利用者の手を煩わせることなく”自動で”、
”網羅的”にリスク項目を洗い出し、
重要性に応じて”視覚的に”理解でき、
セキュアなクラウド運用を“継続的に”実現する
という点かと思います。どれか一つの要素でも欠けてしまうと顧客体験が損なわれてしまいますが、Cloudbaseは顧客にとって効果的で使いやすいプロダクトになっております。
また、運用しやすい管理画面や、権限管理機能、通知・レポーティング機能も充実しており、開発者だけではなく、CISO, CIO, CSOなどのエグゼクティブ層や、情報システム部・IT部・インフラ部・セキュリティ部のご担当者様といった多くのステークホルダーにとって分かりやすいユーザー体験やサポートを提供しております。
Cloudbaseはリスク項目の可視化するだけではなく、豊富な修正ガイドも用意されており、リスクの正体、事故例、対応方法などが平易な日本語ですぐに参照できる点もCloudbaseの特徴の一つと言えます(下記はその一例)。
今回投資に至った経緯
弊社が今回、Levettyへの投資を決定した理由は、マーケット、プロダクトのレベルの高さ、そしてチーム力です。
1.マーケット
Cloudbaseがアプローチしているクラウドセキュリティ市場は直近数年間で急拡大している市場でもあり、海外ではクラウド化の浸透率が高く、セキュリティへの意識も高いため、イスラエルや米国を中心にユニコーン企業が誕生しております。また、先日アナウンスがありましたが、Levettyと同じくクラウドセキュリティを提供しているスタートアップのWizが、SaaS企業としては最速のARR$1 millionから$100 millionまでをわずか18カ月で達成したという点からも推察できるように、クラウド化の進展とともにクラウドセキュリティの需要は非常に強く、大変有望な市場であると考えております。日本国内でも、DX化の名のもとにAWSをはじめとしたパブリッククラウドの利用が加速しており、クラウドセキュリティの需要は今後ますます強くなるものと期待しております。
2.プロダクト力
Cloudbaseはただ単にリスクを見つけるだけでなく、即座にかつセキュアに利用開始できる仕組みや、ユーザーフレンドリーなUI/UX、視覚的にリスクを理解できるダッシュボード、また、リスクの正体や事故例、対応方法などを平易な日本語で解説している豊富なドキュメントが即参照できるなど、プロダクトを使いやすくする工夫や効果を最大化するための仕組みが多く、プロダクトのレベルの高さが魅力でした。また、製品を入れるだけではなく、「しっかり運用に乗せる」ことを重視しており、CISO, CIO, CSOなどのエグゼクティブ層はじめ、情報システム部・IT部・インフラ部・セキュリティ部の担当者などにも分かりやすい仕様となっており、まさに日本企業のあらゆる担当者に受け入れられるレベルまで作り込まれている点も魅力でした。投資検討中も、凄まじい勢いでプロダクト開発を進め、当初スケジュールを前倒しして次々と新しい機能やサービス範囲を拡大していく姿に、Levettyのプロダクト力の高さを確信しました。
3.チーム力
CEOの岩佐さんは、小学生からプログラミングに携わり、数多くのサービス開発を経験してきた方で、非常にプロダクトの知見が豊富なのですが、それだけではなく、内に秘めた熱い想いをもちながら、常に謙虚さと感謝の心を忘れない素晴らしい人間力の持ち主です。そこに、コミュニケーション力が高くビジネスセンス抜群の小川COOと、持ち前の能力の高さを武器に爆速でプロダクト開発を進める一流エンジニアの宮川CTOが加わり、同世代の若き3人が醸し出す抜群のチーム力が非常に魅力的でした。投資の決定後も、彼らがもつ魅力で新しいメンバーをどんどん惹きつけており、まさにLevettyのチーム力を日々目の当たりにしています。
Levetty 岩佐CEOからのコメント
最後に
国内でもAWSをはじめとしたパブリッククラウドの利用が加速する中、多くの日本企業が上述の通り、共通したセキュリティ上の課題に直面しています。こうしたセキュリティリスクを即座に網羅的に監視・可視化でき、その対応方法まで平易な日本語で参照できるCloudbaseは、まさに日本企業が「セキュアなクラウド運用」を実現するのに必要なプロダクトだと思います。海外では多くのユニコーンが誕生しているこの領域において、日本のクラウドセキュリティのあり方をLevettyがリードできるよう、DNX一同これから最大限Levettyをサポートして参りたいと思います。
倉林との対談もぜひご覧ください。
(文・新田修平)
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