シード投資|miive
この度DNX Ventures(以下、DNX)は、VISAカードとアプリを活用したポイント型の福利厚生プラットフォーム「miive(ミーブ)」を提供する株式会社miive(以下、miive)の総額約4.5億円(借入含む)の資金調達ラウンドに出資させていただきました。DNX以外の投資家として、明治安田未来共創ファンド、株式会社セブン銀行、株式会社kubell、AGキャピタル株式会社など複数の新規投資家も同ラウンドに参画しております。
miiveが解決する課題や時代背景とは?
背景① 賃上げ要請を背景とした従業員の手取り向上
賃上げ要請が高まる昨今、その代替案として従業員の手取りを増やすことができる「福利厚生」が注目されています。過去の歴史を振り返っても、賃上げが難しい日本において1980年代に福利厚生の普及が進み、平成初期には春闘など賃上げ圧力がある中で、給与と近い性質ながら変動費で税務メリットのあるカフェテリアプランの導入が進みました。昨今の中小企業も含めた賃上げを求める世の中的な動きを背景に、賃上げの代替手段としての福利厚生ニーズが大きくなっています。
背景② 人的資本投資の重要性向上
また、人口減少や働き方の多様化により、人的資本投資の重要性が高まっています。人的資本開示が義務づけられたことに加え、従業員のライフスタイル・価値観が激変、コロナ禍で更にそれらが加速したことで、終身雇用から転職を前提としてキャリア感への転換が進み、企業は採用の差別化や従業員リテンションのためにも、従業員への人的投資やエンゲージメント数値向上に取り組む必要性が増加しています。
例えば、チームビルディングを促す部活動手当や、在宅業務の環境を支援する補助など、一般的な家賃補助や通勤手当とは一線を画す、ユニークで従業員にとって魅力的な福利厚生をより柔軟に設計することで、採用や従業員リテンションのための大きな魅力・差別化となります。
背景③ 中小企業には制度整備・管理のハードルが高い
福利厚生の外部サービスは大企業向けのものが多い一方で、企業体力が相対的に弱い中小企業はこれまで自社で福利厚生制度の運用をしてきました。しかし、福利厚生制度・手当は、各種ルール整備や手当付与条件の策定、申請処理、確認作業、決済処理など、実際に運用していくには管理コストや事務処理コストが高く、特に人手不足で悩む中小企業にはその運用コストが大きくなっています。
miiveが提供するソリューションとは?
miiveは、独自の福利厚生の在り方を目指す企業にとっての最適解となる、柔軟な制度構築を支援する福利厚生プラットフォームを提供し、この領域での課題解消に取り組んでいます。VISAカードの加盟店網を活用することで福利厚生の利便性を高め、miiveのプラットフォーム上で、福利厚生の対象となる従業員や利用できるメニュー、金額などを自由にカスタマイズして設定、運用することで、企業側が独自色のある福利厚生制度や手当を簡単に作ることが可能となります。従業員はスマートフォンのアプリを活用し福利厚生を気軽に利用することができ、制度の利用促進も実現しています。また、ソフトウェアで複数制度を一括管理ができ、各種申請や確認作業も一括で実施できるため、福利厚生制度の社内運用者の業務効率化、運用コストの大幅な削減を実現しております。
2022年のサービス提供開始以来、上場企業やトップシェアを誇るメーカー、地域の小売店や士業事務所など、数百社以上の幅広い規模・業種のお客様で導入が進み、従業員の月次利用率は90%を超えております。
今回投資に至った経緯
弊社が今回、miiveへの投資を決定した理由は、福利厚生に伴うペインの存在、マーケット、経営者です。
1. 福利厚生に伴うペインの存在
miiveは中小企業から大企業まで幅広く使える福利厚生ソリューションですが、いわゆるmiddleマーケット(従業員数百人規模の会社)からのニーズが強くなっております。中堅企業は複数の福利厚生制度・手当を社内で運用していますが、管理側の人手不足の中、管理コストや事務処理コストが高く、運用面でペインを抱えています。miiveのソリューションはまさにソフトウェアとしての業務効率化・運用コストの大幅な削減に貢献しており、このようなプロダクトのレベルの高さと中堅企業顧客における大きなペインの存在を確認できたことが投資の意思決定を後押ししました。
2. マーケット
上述の通り、昨今は大企業だけでなく中小企業も含めた賃上げ要請があることや、人的資本投資の重要性が増しております。企業側は採用の差別化や従業員リテンションのためにも、従業員への人的投資やエンゲージメント数値向上に取り組む必要性が増しており、福利厚生がそのソリューションの一つとして今後注目されると考えています。一方で、中小企業が福利厚生を効率的・効果的に運用するための外部サービスの選択肢は必ずしも多くなく、大きな機会が広がっていると考えています。
3. 経営者
miive創業者の栗田CEOは、非常に謙虚で誠実な方で、人を惹きつける魅力のある人です。また、傾聴力があり、貪欲に学んでいく姿勢はこれからの大きな成長を期待させます。常に高い目標を持ち走り続ける栗田さんと今後のmiiveの大きな成長を共に伴走させていただけるのを楽しみにしております。
miive栗田CEOからのコメント
最後に
昨今の賃上げ要請や人的資本投資の重要性の高まりから、大企業だけでなく中小企業からも、福利厚生が近年注目されています。運用コストを抑え、独自色のある福利厚生制度を柔軟かつ効率的に構築できるmiiveのソリューションが、福利厚生のあり方を新しく定義し、日本の福利厚生市場を牽引してくれることを期待しております。
(文・新田修平)