日本とフランス 女性の働き続ける意識の違い
久しぶりにフランス人の友人と会話をしていたところ、
「フランス人女性は産前産後に3ヶ月しか休みを取らず、産後2ヶ月経過したら職場復帰するのが普通」と聞いて目が飛び出た。
3ヶ月って、同僚視点からも既に「復職」という言葉ではなく「長めの休暇」レベルではないかな?
話を聞いたり調べたりすると、
取締役に占める女性比率が40%以上と定められているなど、指数上では男女平等率が日本より断然高いフランスでの「フランス人女性」のあり方が見えてきたように思うのでメモ。
女性も仕事を持って経済的に自立して社会参加するべき。専業主婦は「頭を使っていないイメージ」。
まず最初に面くらったのが、専業主婦は頭を使っていないというイメージ、無能で恥ずかしい、とまで、、私が日本在住だからかかなりどストレートな本音を言ってくれたフランス女性の友人。。
勿論、家事の夫婦での分担が日本よりマシ、家事に求めるレベルが違う、オペアやシッター含めて子育て支援サービスが充実、尚且つ一般的に日本より勤務時間が短い、という環境の違いの前提はあるけれども、女性が働いて経済的に自立していること、そして社会に参加していることが、在るべき姿となっている模様。
これは、夫が経済的にとても余裕があるケースにおいても、妻は妻の仕事を持つとのこと。
フィガロの記事ではこんな文章も。
一方日本では、過去数十年で出産・育児を機に離職するM字カーブはかなりマシになり、最近では女性の社会参加は継続できている傾向にある。
(下記の図で日本が最初トップなのは日本の若者の就職率が各国と比べてずば抜けて強いから)
一方で、就業形態を見てみると、出産・育児を契機に正規職員のポジションから離れる傾向は未だ顕著にあり、キャリアを築く上でのハードルはまだ存在する。日本での女性の社内取締役は4%(TOPIXのみ、大和総研2024)
また、給与も男性程には上がらない時期が長く、経済的自立にも障壁がある。
そもそもフランスの育休期間の手当が断然日本より少ない。
日本では育児休暇を取得する場合、賃金の67%が最初の半年間は支払われるが、フランスでは育休期間中は在職中の給与にかかわらず手当は月500ユーロも無い。2021年データ(JETRO)によると、月398ユーロ(6.5万円)。
フランスは毎年富裕層が逃げ出していくほど税金が高いのに、一体どこにお金を使っているの?と不思議に思ったけれど、生後2ヶ月から預けることのできる施設や預けに行けるベビーシッターサービスが普通に存在しているため、「休暇を取って子育てをする権利」よりも「働き続けてキャリアを断絶しない権利」を守る方に使っているのかもしれない。
しかし、日本人で、例えこの子育て支援のサービスがあったとしても、どれだけの人が実際にこのルートですぐさま育休から復帰したいと思うだろうか?
正直肌感覚から私は半々、というより2:8くらいの割合で、日本の半年以上の育休を選びたい人の方が多いのではと思っている。
専業主婦は年金を貰えない。
これは結婚という制度をとるかPACSを取るかによって変化があるかもしれませんが、基本、フランスには配偶者に対する年金の扶養制度は無し。
つまり、ずっと専業主婦として暮らしてしまった場合は、老齢になった際に受け取れる年金が無いことになる。それを避けるために、現役時代に自身で働いて税金を納めていくしかない。
一応、配偶者が亡くなった際にもらえる年金はあるが、離婚率も高いフランスのこと。絶対は無い。
※専業主婦でも別途自身で支払って積み立てる方法もある。
小学校・中学校で、女性も定年まで休み取らずに働くって教わったっけ?
一部のバリキャリルートの人たちを除くと、多くの日本人女性には、
「定年までめっちゃ働く。扶養?入ることは無い。キャリアや自己実現極めたる。」
なんて意識で働いている人たちは実際どのくらいいるだろうか?
私自身、現在仕事をバリバリこなしている人たちを多く友人に持つけれど、
少なくとも共学の小学校・中学校の教育や雰囲気では、
「はい、女性達。貴方は社会に出たら休みもほとんど取らずにひたすら働き続けますから、最初からそのつもりで覚悟を。」ということは聞いてこなかったし、勿論働くつもりではあったけれど、どこかしら仕事以外に時間を割く時期があるのだろう、と、どことなく思っていたのも事実。
しかし、もし女性を取り巻くサポート体制が充実して、育児や介護の負担がものすごく楽になり、両立が容易になったら。一方で働かない、または仕事をセーブする女性に対する国の補助が減ったら。日本人女性はフランス女性並みの覚悟で仕事をするのだろうか?
大学で出会った男性の友人達は、26くらいになった時に悟ったように、「女性はいいよね、人生がフレキシブルで。男は結局一家の大黒柱」といきなり言い始めたメンツがいたけれど、このフランス女性を取り巻く制度を見ると、その「自分の経済面に自分で責任を持つ」という意識がより鮮明になった気がする。
日本も物価高もあり、特に都心部では共働きの方がメジャーとなっている今。今後の日本の価値観の変化をウォッチしていきたいと思う。
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