間違いだらけの少子化対策
ゆうです。
先日、社会学の先生と日本の少子化問題について話しました。
最初に、こんなデータを見せてくれました。(某シンクタンク調査 2019)
✅結婚願望は、女・男ともに依然として強い。90%近くが「結婚したい」
✅20~30代未婚者のうち、恋人がいる人の割合は 20%
✅未婚者で恋人がいない人にきいた「恋人がいない理由」(回答の多い順)
「出会いがない」「べつに欲しくない」「付き合う時間がない」
どこからツッコんでいいかわからないんですけど。
少子化問題を考えるため、子の出生に至るまでのプロセスを分解してみる。
①出会う
②付き合う
③結婚する
④第一子を産む
⑤第二子以上を産む
「ゆうちゃんは、どのプロセスがネックになっていると思いますか?」
と先生にきかれ、
ゆう「やっぱり・・・④でしょうか?」
先生「なぜそう思いましたか?」
ゆう「だって結婚願望は強いんですよね、男も女も。子供をつくらない夫婦が増えてるってことでしょう?」
先生「ははは。ゆうちゃん、政府と同じ発想ですね」
ゆう「げっ・・・間違ってますか?」
先生「日本の政府は、④と⑤ばかり対策してきたんです」
ゆう「そうですね。児童手当とか、保育所の充実とか」
先生「それで効果はありましたか?」
ゆう「あ・・・」
先生「政府は、少子化の原因を読み違えているゆえに、その対策は根本から間違っているのです」
ゆう「少子化の原因・・・。先生は何だとお考えですか?」
先生「一次的な要因は、婚姻率の低下でしょうね」
ゆう「でも、90%近くの男女が『結婚したい』って」
先生「はい。ですから、なぜ『したい』のに『しない』のかを分析する必要があります」
ゆう「できないから?」
先生「なぜできないのでしょうか?」
ゆう「経済的な理由ですか?」
先生「メディアはそう言っていますね。でも問題の本質ではありません。先ほどお見せしたデータにヒントがあります」
ゆう「・・・。恋人がいる人の割合、20%・・・相手がいないから?」
先生「そのとおりです」
むかしは、恋人がいなくても結婚できたらしい。
お見合い、政略結婚、世話焼きオバちゃんといったシステムが機能してたの。
それらがマイナー化してきて、結婚するためには恋愛しなければならない、というメンドクサイ社会になった。
それでも、若者の最大の関心事が恋愛だった時代はまだよかったのよね。
80~90年代のトレンディドラマってさ、登場人物たちが恋愛とか結婚のことばかり考えてて、いま観るとものすごく違和感がある。
でもね、それを「おかしい」って感じる現代の感覚こそおかしいんじゃない?
若者は若者らしく、恋だの愛だのセックスだのにいそしみなさいってことよ。
①②③のすべてに原因がある、と先生は言う。
①「出会う」については、マッチングアプリなんて便利なものができた。
あたしは、アプリで男女が出会うのは全然ありだと思うし、アプリで知り合った二人が付き合ったり結婚したりするのは、恥ずかしいことでも後ろめたいことでもないと思ってる。
先生も、マッチングアプリが「出会い」に貢献してることを認めているわ。
でも、先生は言う。
アプリで知り合った男女は本気の恋愛に発展しにくいのです、と。
なぜだかわかる?
それは、属性だけでマッチングしているからなの。
容姿、年齢、収入、学歴、趣味・・・
そんな条件で出会った相手とは、恋に落ちる確率はむしろ下がるんだそうです。
先生のお話を聞いてスイッチが入った。あたしも言いたい。
「恋」ってなんですか?
なんだかよくわからないけど、好きになっちゃった。
条件を 1つも満たしてないのに、なんでこんなに好きなんだろ。
これでしょ?
ある作家が言ってた。
「その人が好きな理由を挙げよ」と言われて、1つも書けなかったら、それはホンモノの恋だってさ。
「出会う」場所として、相席居酒屋なんてのもあるけど、あれはダメね。
女は「タダ飯が食える」くらいの気持ちしかないし、男は最初から相手を見下してる。
そのむかし、合コンってシステムがあったんだって。
合コンは、相席居酒屋と似ているようで全然違うの。
合コンには、男たちも女たちも、本気で付き合う相手を見つけに来てた。
イマドキの若者よりずっと、恋愛と結婚に真剣だったのよ。
そういう姿勢をイマドキの若者は「かっこわるい」と言うのかもしれない。
でもね。
「結婚したい」とか思いながら、本気で恋人をつくる努力をしない人こそ、一番かっこわるいんだよ。
①「出会う」プロセスに問題があるから、②「付き合う」に発展しにくく、ホンモノじゃないから ③「結婚する」が発動しない。
結婚に必要なのは勢いだから。
先生「出会いの質を高めるべきなのです」
ゆう「でもそれって、政府が介入できることでしょうか?」
先生「かつて職場が出会いの場だった時代がありました。合コンも、職場の延長のようなものでした」
ゆう「職場に代わる、新しい出会いの場をつくるとか?」
先生「いい線です」
ゆう「政府がやる、というのがピンときません」
先生「"国" がやる必要はないと思いますよ。もっと小さい単位でやれます」
ゆう「市町村とかですか?」
先生「問題の所在地は、おもに東京です」
ゆう「区ですね? 区に何ができるんでしょうか?」
先生「まちづくりです。例えば、独身の男性・女性が住みやすいまちを目指して、人が集う施設、イベント、共同で作業する部会などを立ち上げます」
ゆう「部会?」
先生「区民が区政に参加する仕組みをつくるのです」
ゆう「そんなこと、できますか?」
先生「すでに始めていますよ。まだごく一部の区ですけどね」
ゆう「それが少子化対策ですか?」
先生「"少子化対策" と銘打つことはしません。名目はあくまで "まちづくり" です。ただ、隠れた狙いは独身者たちが出会うことです」
「少子化対策」とか「出会いの場」とかのワードをオモテに出してしまうと、当事者たちがシラケるんだよね。
別のタテマエを用意して、真の狙いはひそかに仕込むのがクレバーなんだそうです。
少子化対策は出会うことから。
仕掛けは小さなユニットから。