区役所の思考停止っぷりよ
スイスへの転勤にあたり、ワークパミットの取得に時間がかかってまして。
ワークパミットの申請には、給与証明、学歴証明、無犯罪証明などのほか、家族のパミットも申請するため、婚姻証明・出生証明が必要になります。
日本人のそれは戸籍謄本です。
「香港にいながら、日本の戸籍謄本を取得せよ」
このミッションが気絶するほどメンドクサイのです。
「郵送」というパワーワードですでに私は気を失いかけていたんですがね。
戸籍謄本は日本語でしか発行されず、フランス語への翻訳と外務省が発行する翻訳認証(アポスティーユ)も必要になるため、郵送という原始的な手段すら使いにくいんですよ。
日本にいる代理人を立てて手続きを代行してもらうのがベスト、という結論になります。
こんなメンドクサイことを頼める人なんているか? と悩みまくったすえに、元同僚で東京在住の K氏に「助けてくれ!たのむ!」とお願いしました。
離婚するたびに戸籍ロンダリングしてきた私の現在の本籍地は東京都港区。
港区のホームページで、「代理人による戸籍謄本の請求方法」を精読する。
「委任状」が要るのね。
「委任状の例」という書式をプリントアウト。
代理人である K の個人情報と私の個人情報などを手書きで記入。
「押印」とあるところに私のハンコをついた。
海外生活が長い私は、家宅捜索よろしく印鑑を探し出すのに半日かかったがそれはいい。
完成した委任状をフルカラーで PDF 化し、K にメールで送りました。
数日後、Kから電話がかかってきました。
K「今、港区役所に来てるんだけど」
私「おー、すまんな、面倒かけて」
K「委任状は原本しか認められない、って役所の人が言うんだわ」
委任状の・・・ ”原本”?
意味がわからないんですが。
K「PDF をプリントアウトしたものは ”コピー” だからダメなんだとぉ」
私「まさか、委任状の原紙を香港から国際郵便で送れとでも?」
K「そういうことらしいな」
私「えーと。役所の人、本人が海外におること知っとんのやろ? 現代社会にスキャナーとか Eメールとか PDFってもんがあることも・・・」
K「ぜーんぶ説明して食い下がったんだが、原本、原本、の一点張りでな」
私「そいつ、アタマ大丈夫か?」
K「イカれてるな(笑)てゆーか、終わってんな、この国」
終わってる、か。今このときのためにある言葉だな。
K「俺が書けばいいんだろうな。委任状」
私「は?」
K「やつらの言う原本ってのは、誰が書いたかはどうでもよくて、誰でもいいから肉筆で書いてハンコ押した原紙ってことなんだろ」
私「それが委任状か。新しい解釈やね」
K「おまえの名前のハンコ買ってくるわ」
日本よ。どこまで狂っておるのじゃ。
たぶん、その職員のアタマが古い、といった話ではないんだろう。
役所全体が終わってる。公務員が終わってる。日本という国が終わってる。
本人が書いた本物のスキャンを認めず、別人が書いてシャチハタ押した偽物を認めるというのだ。
そりゃヘーキで公文書偽造もやるわな。
K「なんなら、あの職員の目の前で書いてやろうか、委任状(笑)」
私「それはやめとくれ」