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『日本人と働こう』 上級コース

このセミナーは 2日コースでした。前回の記事に載せたのは 1日目のレジメです。
今回は、2日目のレジメを和訳しました。
1日目よりグッと仕事向け・上級者向けの内容となっています。

外国人慣れしている方は、見出しを一瞥しただけで、「全部知ってるよ」と思われるでしょうが、日本人に対するイギリス人講師の解釈はときどき意表を突いていますので、おさらいのつもりで読んでみてください。

I vs We

日本人と働くうえでまず理解しておかなければならないのは、日本人には「個人」 (individual) という概念がないことです。
これは、自分と他人を区別しないことを意味します。
つまり、彼/彼女の問題は私の問題でもあり、私の問題は彼/彼女の問題でもあるのです。

🔍 事例
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日本人マネジャーがオランダ人の同僚にある仕事をお願いした。
オランダ人同僚は「それは私の責任範囲ではないので、お手伝いできない」と答えた。
日本人マネジャーはびっくりして、なんて協調性のない人だろうと感じた。
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西洋人(あなた)と日本人の違いは以下のとおりです。

あなた: クリアな手続き
日本人: 柔軟な手続き

あなた: 明確な個人の責任範囲
日本人: あいまいな責任範囲

あなた: 個人による意思決定
日本人: グループによる意思決定

あなた: 独立して仕事する
日本人: 共同で働く(1つのプロジェクトに全員が手を入れる)

あなた: 「 “私” がやりました」
日本人: 「 “私たち” がやりました」

📝 重要!
メールを送るときは、そのプロジェクトに関係ない人も CC に入れること!

ある人を CC に入れるべきかどうか迷ったときは、とりあえず入れておくのが無難です。

言語 vs 非言語

西洋では言葉ではっきりとメッセージを伝えることが重視されますが、日本では「非言語的表現」を読み取る必要があります。

日本人の言うことを言葉どおりに受け取ってはいけません。
「So-desune」 ⇒ 必ずしも「同意」ではありません。
「Kekko-desu」 ⇒ 「No」と言っているのです。
「Naruhodo」 ⇒ ほとんど聞いていなかった可能性があります。

日本人の会話における主役は、「話し手」ではなく「聞き手」のほうです。
sassuru ⇒ 相手の言いたいことを “guess” する必須スキルです。
aizuchi ⇒ 相手の意見への「賛成」 (agree) を表します。aizuchiがない場合は、「反対」 (disagree) を表しています。

日本人の会話は、結論から最も遠い話から始まり、円を描きながら少しずつ本題に近づいていきます。言いたいことは最後にきます。

あなた: 直接的な言い方
日本人: 間接的な言い方

あなた: 問題はオープンに話し合ってこそ解決する
日本人: 相手を傷つけないことが大切

📝 重要!
「あなたの意見に反対です」は「あなたが嫌いです」と言うのと同じです!

meeting vs kaigi

日本人が行う “kaigi” は、あなたが行う meeting とは全く異なることを理解しましょう。
kaigiとは、すでに下った決定を確認するセレモニーなのです。

日本の組織においてコンセンサスに達する手段として通常用いられるのが、 “nemawashi” です。
あなたのアイデアを採用してもらうために、nemawashi のやり方を学びましょう。

まずは、グループ内の「キーパーソン」を正しく見極めなければなりません。
事実上のキーパーソンは、必ずしも組織図上のトップパーソンとは限りません。日本の組織には、トップの他に、陰然たる影響力をもつ人物が存在するケースが少なくないのです。
kaigi の中で、最も「声が大きい」人物や、最終的に話をまとめる役を自然と担っている人物など、様々なパターンがありますが、最大のヒントとなるのは、その人物が発言したときに誰も反対意見を言わない「空気」になることです。

キーパーソンを見極めたら、kaigi の前に、その人物と 1対1 の「オフレコ・ディスカッション」をもつようにしてください。
キーパーソンの合意が得られれば、kaigi の中であなたがやるべきことはもうほとんどないはずです。

慣れてくると、誰が・いつ・どこで nemawashi工作を行っているかを察知できるようになるでしょう。日本人の nemawashiサークルの中に加えてもらう努力をしてください。

kaigi の秘訣
✅ 英語はスーパーゆっくり話してあげて!
✅ 話し手の「言葉以外のもの」を聴くこと!(👉「非言語的表現」参照)
✅ 常に出席者全員の「感情」に配慮して!
✅ パラフレーズをうまく使おう!
✅ 難しい英単語を使ってはダメ!

リスクラヴァー vs リスク回避

🔍 事例
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日本の大学で、日本人学生とオランダ人留学生がゼミのプレゼンの準備をしている。パワーポイントの資料作りについて 2人の意見が対立している。
日本人は、スライドにできるだけ多くの文章を載せることを主張している。
オランダ人は、スライドに情報が多く盛り込まれすぎると、聴衆が質問する余地がなくなり、ディスカッションの機会が失われる、と主張する。
日本人学生は言った。
「聴衆がしそうな質問を想定して、答えを用意しておこう」
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あなた: 間違えることを恐れない
日本人: 間違いを極力避けたい

あなた: すぐに行動する
日本人: 行動に対して慎重で保守的

あなた: トライアル&エラーにより、修正を重ねながら完成に近づける
日本人: 最初から完璧を目指し、始める前に情報収集、分析、議論を尽くす

📝 重要!
大切なことなので何度も言います! 日本人はサプライズが大っ嫌いなの!

Why vs How

🔍 事例
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日本人マネジャーがオランダ人の部下にある仕事を指示した。
オランダ人は、「その仕事の目的は何ですか?」と質問した。
日本人はその質問が気に障り、答えようとしなかった。
オランダ人は、仕事の目的を説明してくれない上司に、自分が子供のように扱われていると感じた。
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あなた: Why? が重要
日本人: How? が重要

日本人は、「なぜその仕事をするのか」よりも、「どうやってするのか」というプロセスに関心があります。スポーツの試合について語るときも、勝敗よりも試合の内容を評価する人が驚くほど多いのです。

もっと驚くべきことを教えましょうか。
日本人が “kanji” という中国から来た文字を使用していることは、あなたもご存じかと思います。
あんな複雑な文字を書けるだけでも感銘を受けますが、なんと、kanji には “kaki-jun” というものが決められていて、正しい順序で書かなければならないのです。
まったく、日本人のプロセス好きには感動させられますね。

プロセス好きの日本人は、計画好きでもあります。
日本人の「計画」のお作法とは?
✅ リスクゼロを目指して、あらゆる情報を駆使して計画を練ろうとする。
✅ メインの計画の裏に、複数のプランB が用意されていることがある。
✅ 計画を作ったら、実行に移す前に、何度もシミュレーションを行う。

日本には「段取り八分」という格言があるほどで、日本人は事前に用意周到な計画を作ることが大好きなのです。
しばしば、計画を作る計画を作成することもありますが、驚いてはいけません。

ロジック vs ヴィジュアル

🔍 事例
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日系企業に勤めるイギリス人がプレゼン資料を作っている。
資料を提出するたびに、彼の日本人上司は、何度も資料の修正を指示してくる。
日本人上司の指示は、タイプミスの指摘や、フォントサイズの変更のようなことばかり。イギリス人は、表面的としか思えない修正に長時間を費やされることに苛立ちを感じた。
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あなた: 「ロジック」重視
日本人: 「見ばえ」重視

日本人は、グラフ、チャート、画像など、視覚的なフォーマットを好みます。
そのうえ、文字情報も大量に盛り込もうとします。
日本人が作るプレゼンの枚数が異様に多くなるのはこのためです。

日本人は、パワーポイントのスライドに、話す言葉をそのまま記載することが多く、プレゼン資料というよりは台本です。
日本人のプレゼンは、スライドに書かれた文章を読んでいるだけになります。

📝 重要!
口頭で説明しようとしてはダメ!
あなたが話す言葉の全文をパワーポイント上に「書いて」あげて!
プレゼンは聴かせるものじゃないの! 読ませるものなの!

Work With Japanese セミナーへのご参加ありがとうございました!