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キャラクターデザインについて考えling-Bang-Bang-Born~鏡よ鏡答えちゃって~
※某所のアドベントカレンダー企画に提出したものです。
こんにちは。はじめましての人ははじめまして。
マーラー風味赤えび揚げネギ添えと申します。
去年、こういった記事を出したところ、思ったよりも多くの方に見ていただけました。
前回は、一次創作の第一歩として、「なんでもいいからキャラクターを一人作ってみる」ということをゴールに設定し、色々な方法を試してみるという記事でした。
今回は、そこから一歩踏み込み、生み出したキャラクターの見た目を作ってみよう!という記事になります。
私はオリジナルキャラクターを作るのが大好き!ですが、キャラクターデザインというのは実はかなり不得意なほうです。
この記事で自分の中の考えや気を付けていることを整理して、描き終わるころには、皆さんと一緒に、何かうまくいくためのヒントなんかを見つけられたらな~と思っています。
前回と違い、全体的に自分で絵を描く人向けの記事にはなってしまいますが、picrewで作ったり、画像生成AIでプロンプトを打ったり、あるいは人に依頼する際にも考え方が活かせるのではないかと思っておりますので、最後まで見ていただけると幸いです。
①用途を考える
一口にキャラを作ると言っても、キャラを作りたい!といった際には、皆さん何かしら使いたい用途があって思い立っていることがほとんどではないでしょうか。
キャラデザの際に大事になってくることも、用途によって結構異なると思っているので、まずはそこを整理していきましょう。
・漫画など、繰り返し描く回数が多くなる場合
さて、今回は主にこちらの「繰り返し描く」キャラについて考えていきます。
あくまで持論ですが、何度も何度も描くキャラの場合、「作画コストをなるべく低くする」のが大切だと考えています。
何でかと言えば、シンプルに作画コストが高いキャラを描きまくると、イヤになるからです……。
では、作画コストを削る場合に大事になってくることはなんでしょう。
それは「シンプルながらも特徴を持たせる」ことです。
特徴的な髪型や瞳、顔立ちなど、主に顔面付近に情報量を増やすことになるかな?と思います。顔がアップになることも多いですしね。
例えば「推しの子」の星野アイさんの瞳のキラキラなどは、アイさんのキャラ性を物語りつつ、彼女のアイコンにもなっていますし、さらに息子や娘にあたるアクアやルビーにも引き継がれている、物語的にも重要な表現の一つになっていますね。
その代わり、動きやすさなどを考慮して衣装はシンプルに抑えるのがベターかなと思います。
シンプルな中にも、すぐにそのキャラだ!とわかる特徴のある、服装が違ったりしてもその人だとわかるようなデザインが理想です。
対して、最近流行りのTRPGなどのゲームの立ち絵や、小説の挿絵など、描く回数がある程度絞られてくるキャラクターの場合は、打って変わって、装飾を華美にしたり、シルエットやポーズに特徴をつけたりと作画コストを高くして、一目でキャラ性が伝わり、目を引くようなデザインが理想です。
とはいえ、シルエットの面白さなどは装飾を絞るキャラデザの場合でも意識したい大切な点なので、両方のいいとこどりをしていけるといいですね。
さて、これら気を付けるポイントを踏まえた上で、もう少し詳しく分解して考えていきます。
②パーツの与える印象について考える
漫画に登場させるキャラクターということで、
「作画コストはなるべく低くする」方向でいきたいわけですが。
私はいわゆる盛るデザインが苦手で、自然とシンプルなデザインになりがちのため、こっちの路線のほうが得意ではあるのですが、とはいえ、少ない情報量の中で覚えてもらえるようなデザインにしなければいけないため、こっちはこっちですごく難しいです。
さて、次は、キャラクターデザインのヒントとして「パーツが与える印象」について考えていこうと思います。
普段何気なく見ているキャラクターですが、そのすべてのパーツがキャラの性格を表す記号と言っても過言ではありません。
本項では、そんなパーツの中でも、首から上のあたりに着目して分析していきましょう。
・髪型:第一印象を決定づける重要パーツ
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さて、まずはこちらの絵を見てください。
それぞれどんな人物に見えるでしょうか?
左の男の子は活発で元気そうに、右の男の子は陰気で大人しそうに見えると思います。
色々要素はありますが、二人の印象を決定づけているものといえば、前髪の重たさ、髪の長さだと思います。
髪型、すごく重要なパーツです。
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すごくざっくりした図ですが、端的に言えば、髪が短いほど活発な印象に、髪が長いほどミステリアスな印象になります。
ものすごいロングヘアな人を見て、めちゃくちゃ元気っ子を想像はしませんよね。(もちろんそういうキャラもいるし、すごく魅力的だと思いますが、「見た目とのギャップ」を狙った性格だと思います)
あとは、上の二人の画像を見てもわかるように、前髪の重たさでも印象はかなり変わります。
前髪が短く軽ければ活動的に見えますし、長くて重たいと、陰気だったりクセのある雰囲気になりますね。
髪の長さや前髪の重たさを決めたうえで、さらにツインテールなどのヘアアレンジを加えたり、髪色を決めたりと、これだけでだいぶキャラ像が固まる気がしませんか?
目元:キャラの感情を直接伝える「窓」
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さて、ちょうどよく目のアップを描いた絵があったので、こちらを例として使います。
上の目を見て、キャラの性格を何となく想像してみてください。
左の子は、目が丸くぱっちりしているので、純粋そう、素直そうな印象、
右の子は、ジト目でハイライトがないため、不敵でミステリアスに見えると思います。
目というのは、髪型と同じくらい、キャラデザにおいて重要なパーツです。
目イキングなんて言葉があったり、目だけにフォーカスした絵の教本がある辺りからも、それはうかがえますね。
目の形や大きさ、瞳のデザインはキャラの性格や感情をダイレクトに示せるアイコンです。うまいこと活用していきたいところです。
例えば、タレ目かツリ目か、それだけでも、見た目から受ける性格のイメージは大きく変わります。
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最近流行りの目の中に模様などを入れ込んでしまうデザインは、わかりやすく性格を表せて、目を引くデザインになって効果的ですね。
前述の「推しの子」のほか、「鬼滅の刃」などは瞳のデザインで大きく描き分けをしている作品だと思います。
あとは、まつげも、普通の黒いまつげと、白抜きまつげ(「呪術廻戦」の五条先生の素顔のような、あれです)だけでも全然印象が変わりますし、眉毛の太さなども、少し変わるだけで別人です。
自分の絵柄や作りたいキャラのイメージと相談しつつ、大胆に遊んでいくと楽しいと思います。
上に挙げた2つ以外にも、顔の輪郭の形、鼻や口の形など、顔のパーツは少し変えるだけで全然受ける性格のイメージが変わります。
色々試しつつ、伝えたいイメージに近いものを選んでいくと、納得のいくキャラデザになりやすいと思います。
③つくってみる-情報の取捨選択
さて、ここまで、キャラデザについて大切なことを色々考えてきました。
ここまでで出てきたことを踏まえて、一体キャラデザを起こしてみたいと思います。
今回デザインを起こしたいキャラクターですが、すでに中身はある程度決まっています。
「『信念のある人間』を好み、自分がそうでないと判断した人間を撲殺してくる、連続殺人犯」
この情報だけだと完全にナイフぺろぺろヒャッハーになってしまいそうですが、見た目でギャップを狙いたいので……、いったん使いたい要素を書き出します。
「物語中盤の山場の悪役」「海」「ギャップ」「強さ」
「旅」「航海」「水」「主人公と関係がある」
「52ヘルツのクジラ」「海賊風」「白・ライトブルー」
さて、ちょっと取っ散らかってるので、この中から、必須ではなかったり、別に見た目で表現しなくてもいいなという要素を削っていきましょう。
このキャラの場合、「物語中盤の山場の悪役」とか、「主人公と関係がある」「強さ」とかは、どっちかというと見た目にはあんまり入れなくていいかなと思うので、いったん除きます。
「旅」「航海」なども重要なワードですが、見た目での表現は少し難しいかも?
色々考えていったなかで、絶対に入れたい要素は
「52ヘルツのクジラ」「海賊風」「白・ライトブルー」、このあたり。
あまり欲張ると散らかったデザインになってしまうため、取捨選択は大事です。
キャラデザをする前に、いったん使いたい成分を書き出すなどして整理するとやりやすくなると思います!
④つくってみる-完成
さて、前項で使いたい要素が整理できましたので、いよいよ描いていきましょう。
②で考えたパーツの印象から、髪型や目元などを決めてしまいます。
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クセの強いキャラなので、まず目元はツリ目~ジト目の中間といった具合に。
声のデカい船長のようなイメージなので、前髪もあまり重たい印象にはせず、髪も短くしました。
エアインテークとクジラのしっぽをイメージしたしっぽをつけて見た目に特徴をつけています。
あとは左の直毛か右のくせっ毛で迷うところですが……、直毛だと少し印象がさわやかすぎる気がするので、今回は右のくせっ毛にしましょう。
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首から上が定まったので、あとは入れたい要素やキャラ設定と相談しつつ、好き勝手こねた第一案がこちらです。
キャラ設定とのギャップを出したかったため、少年風の見た目にし、
「海賊風」のモチーフは、いったんもう少し幅を広げて、同じ海の男ということで水兵・セーラー服をモチーフの衣装に落とし込みました。
『撲殺』ということだったので、大きな錨を武器にしてしまいました。
あとは全体の配色は予定通り、白とライトブルーでまとめ、「52ヘルツのクジラ」の要素は、胸元のブローチと、帽子に着けた装飾に「52」の数字を入れ込んで表現しました。
要素の整理や、パーツの与える印象などを考え直したことで、スムーズにデザインすることができましたね。
作画コストも、漫画で繰り返し描くということを鑑みても許せる程度に抑えられた気がします。
おわりに
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さて、第一案からもう少しだけ衣装をゴージャスにし、これにて「ファイブ・ツー」くんが完成しました。やったね。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
長い文章になってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
自分なりに気を付けていることを整理でき、私はなんとなくいい発見ができた気がします。
上の考え方は一例として、皆さんもやりやすいやり方を見つけてほしい!
皆さんにとって、何かヒントや創作のモチベーションのきっかけになれていたらうれしいです。
それでは、さようなら。