「ネタバレ」の線引きはどうすれば良いのか? 〜週刊少年ジャンプの「早バレ」に関して思ったこと〜
先日、「週刊少年ジャンプ」で本誌発売前に漫画のネタバレをネット上にアップしたという人が逮捕されるという事件がありました。
…ジャンプの愛読者である夫曰く、「あんなのは氷山の一角」とのことだそうで。
「呪術廻戦」でもとあるキャラの死亡シーンが早々にネタバレされるという「早バレ」が以前物議を醸していたそうですね汗
当然、本誌を楽しみにしていた人にとっては大打撃です。
悪意のあるネタバレは絶対にいけません。
…が、ふと思ったのですが。
ネタバレっていつまでならNGでいつ頃からならOKなのでしょうか?
昨年放送され大ヒットしたTVドラマ「VIVANT」にて、ハリー・ポッターの某キャラに関する重大な秘密が作中の伏線として使われており、ハリーポッターを読んだことのなかった人達が「ネタバレされた」と一部ネット上で物議を醸していたこともありました。
ハリーポッターは完結してからもう十数年が経っており、言うなれば一昔前の作品です。
でも、世の中にはまだハリーポッターを読んだことがないけどいつか読もうと思っている人だって沢山います。
そうした人達にとっては確かに「VIVANT」の例のシーンは重大なネタバレを食らったも同然だったでしょう。
では、もっと昔の作品ならどうでしょうか?
スターウォーズのルークとダースベイダーの関係は?
…考え出してみたらきりがありませんよね。汗
そんなわけで、今回はあくまで私の独断と偏見によるものではありますが、どこまでがネタバレNGでどこからがOKなのか、ということについて考えてみたいと思います。
目安としては…
あくまで私見になりますが、連載終了後一年以上経過している作品に関しては、ネット上で自由に語っても大丈夫だと思います。
一年は早すぎかな、と最初悩んだのですが、最近のアニメブームのサイクルの早さ(鬼滅から始まり呪術廻戦、東リベ、チェンソーマン、スパイファミリー、今は葬送のフリーレン辺りでしょうか)を考えると一年で十分でしょう。
逆に完結してから、映画なら公開されてからまだ日が浅い作品に関しては、感想ブログやSNSではネタバレを語る前にワンクッション置くなど未読の人への配慮が必要とされるでしょう。
ちょっと悩むのは原作はとっくに完結しているけどアニメはまだ続いているというケース(鬼滅もそうですね)ですが、これに関しては原作未読側が極力ネタバレを見ないように気をつけるしかないでしょうね。
また、友達から今◯◯にハマってるんだ、と言われた場合は原作は完結しているけどそちらはもう読み終わっているのか聞いておくのは必須でしょう。
最悪、その友達が原作未読のアニメ派だった場合、会話の中でうっかりネタバレしてしまう危険性があるので。
ネタバレを自衛するには
これに関してはもう、ネットでその作品の情報を一切検索しないようにするしか方法はないと思います。
SNS、ブログはもちろん、YouTubeも最近は考察動画なんかも流行ってるので注意ですね。
また、念には念を入れて身近な友達に今更だけど◯◯見ようと思ってるからネタバレしないでね、とお願いしておくのも良いかもしれません。
あえてネタバレを見た上で楽しむという選択もある
ここまでは「ネタバレの線引き」というものに関して述べてきましたが、それでもやはりこのネット社会、完全にネタバレを回避するのは非常に難しいことだと思います。
特に古い作品&人気作品であればあるほど、その作品のファンからすればもう世間の大半の人は知っている前提ですので、SNSでファンの感想コメントを拾おうものなら◯◯が死んだときはショックだったとかまさか◯◯がラスボスだっただなんて、的なネタバレを食らう可能性は非常に高いです。
で、ここからは「もしネタバレを食らってしまったら」という話になるのですが、
敢えてネタバレを見た上で作品を楽しむという選択もアリだと私は思います。
例えばですが、私は割と最近になってONE PIECEのアニメを見始めたのですが、某キャラが死んでしまうということはもう事前に知っていたので、このときこのキャラはどういう心境だったんだろうか…と考えたりしながらアニメを見ていました。
先に述べたハリー・ポッターに関しても、某キャラに関するネタバレを見てしまったのであれば、主人公のハリーがあれこれ動いている裏でこの人は何をしていたんだろう?このとき何を考えていたんだろう?と考えを巡らせながら読むのも面白いかもしれません。
(あとついでに「実は…だった」というのはネタバレされていましたが「なぜ、どういう経緯でそうなったのか」までは明かされていなかったのでその辺も自分なりに推察しながら楽しめるかもしれないですね)
そもそも多くの物語というものは基本的に主人公の視点で物語が展開されていきますが、様々な立場・考えのキャラクターがおりそのキャラ達にはそのキャラ達なりの信念を持って行動しているものですので、敢えて主人公以外のキャラの視点で読んでみるというのはなかなか面白い試みだと思います。
ハリー・ポッターで言うところですと、ハリーのライバルキャラ、ドラコも嫌な奴といえば嫌な奴ですが、由緒正しい魔法使いの家系でその家柄に相応しい教育を受けてきた嫡子として彼なりの考えがあり言い分があります。
そんな彼の立場に寄り添ってみると、ハリーだけの視点では見えてこなかったものもまた読者としては見えてくるものがあるのではないでしょうか。
一般的にミステリー作品と聞いて、思い浮かべられるのは探偵目線でストーリーを追っていき最後に犯人を当てる「叙述もの」が一般的でしょうが、その逆に犯人の視点からストーリーが始まり、最終的に犯人と探偵との対決が描かれる「倒叙もの」というジャンルもあります。推理よりも事件を起こしてしまった犯人の心理描写を重視する作品ですね。
(古畑任三郎とかもそのパターンですね)
そういった倒叙もののように、ネタバレを見た上でその該当のキャラクターの作中では明かされていない、語られていない事実や心境に思いを馳せながら作品を読み進めていく…
そういった手法もまた一つの楽しみ方なのではないかと私は思います。
ただし、当たり前ではありますがミステリー作品そのもので倒叙ものではないのに犯人のネタバレを見てしまうというのは作品を楽しむ上でかなりの痛手になってしまうので、犯人を当てる叙述タイプのミステリー作品に関しては極力ネタバレを見てしまわないように自衛するのが吉でしょう。
(※ミステリー作品でちょっと注意すべきは「金田一少年の事件簿」で、この作品、主人公のライバルである某キャラクターがそこそこ人気があり知名度も高いんですよ。
なので人気と知名度が高いのが災いして、そのキャラの初登場となる某事件の回を読んだとき、速攻で犯人はコイツだと分かってしまう…という弊害があるんですよ…汗(せめてまだ容疑者の段階では偽名を名乗らせるとか変装させておくとかしといたら良かったのに…と今更ですがちょっと考えてしまいます(苦笑))
ちなみに、この作品、別作者名義で犯人たちの事件簿なる公式スピンオフ漫画が出版されていますがタイトルを見て分かるようにおもいっきりネタバレしていますので、ネタバレが嫌な方は絶対に読んではいけません。笑)
以上、自分なりに考えてみた「ネタバレの線引き」と「もしネタバレを見てしまった場合の対処法」でした。
ネタバレを見てしまった場合の対処法に関してですが、ネタバレを見てしまった上でそのキャラの視点に立って物語を読んでみるというのは実は現実社会での人間関係の構築においても大事なことだと思います。
自分以外の人の視点に立って考えてみる、物事を多角的に考えるように心がけるというのはリアルの人間関係においても大事なことなので、主人公以外の脇役の考えにも寄り添ってみる、というのは単にエンタメ作品の楽しみ方だけでなく他者視点を持つというリアルの人間関係においても大事な練習にもなると思うんですよね。
とにかく、どこまでネタバレが許せるか許せないか、というのは本当に人それぞれです。
私自身はどちらかというとネタバレには寛容な方で、うっかりネットでネタバレを見てしまっても上に述べた「倒叙もの」の要領で楽しめる人なのですが、
中には映画公開前の予告ですら見たくない、徹底的に予備知識ゼロの状態で観に行きたい、という方もおられますからね…。
そもそも私の述べた「連載終了から一年以上経っている作品ならおおっぴらに語ってもOKじゃないか」というのも、あくまで私の中での目安です。
どこまでなら許せてどこからが許せないか。
そういった基準は人それぞれでしょう。
大事なのはその作品を愛するファン同士の気遣いだと思います。
もう既に先の展開を知っている人は極力作品の根幹に関わるようなネタバレを多くの人が目にするような場に書いてしまわないように。
また、ネタバレをされたくない側もされたくない側で極力自衛をすること。
私はピ◯シブなどで小説を読むのが好きなのですが、とある作品においてバッドエンドで終わるので地雷の方はご注意くださいと作者様自ら注意書きという名のネタバレを投下されているのを目にしてしまいまして…。
恐らく「私はバッドエンド嫌いなのに地雷を踏んでしまった」と後からクレームが来ないようにとの対処なのでしょうけど、そこまで読者(の中の一部)に気を遣わないといけないなんて作家さんも大変だな…と思ってしまったことがあります…。
その方からすればバッドエンドが地雷でしょうけど、結末をネタバレされるということが地雷の方だっていることでしょう。
繰り返しますが、どこまでならネタバレOKでどこからがNGなのか。
何が地雷で何が地雷でないのか。
それは本当に人それぞれです。
人それぞれ考えは違うのだということをきちんと前提に置いたうえで、お互いが不快な思いをしないようにきちんと配慮し合うことを心がけるということが何よりも大事なことなのではないでしょうか。
私自身も、漫画やアニメ、小説、ゲームといろんな創作物を楽しませていただいている者の一人です。
その一人として、しっかりとそのことは心がけていきたいなと思います。
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