製薬会社の営業で糖尿病薬の処方が増える?
今回はぼくの個人的な感覚から、糖尿病治療薬の処方への影響を考えてみたいと思います。前回製薬会社との癒着について書きました。
医者は、製薬会社に強力な営業をされて薬を使ってほしいと言われます。知識が乏しい若い医者や多くのエビデンスがきちんと理解できない医者がほとんどだと思いますので、営業力があるMRがいればかなり処方に影響があります。イコールそれがMRの給料に反映されることになりますので。
以下薬の大枠に分けて考えを簡単に書いていきます。
①GLP-1受容体作動薬(注射)
2010年10月にバイエッタ(アストアラゼネカ社)、ビクトーザ(ノボノルディスクファーマ社)が最初に発売され10年が経過しました。改良版のトルリシティ(イーライリリー社)は週1回注射で効果が持続するため使い勝手が向上しました。ジェネリックはないため、営業は今でもおおいです。美容外科でやせ薬としても使われているくらい効果は絶大、比較的安全に使えます。しかし、専門ではない医者は使い慣れていないので他のくすりほどは使われていないです。もう数年すると飲み薬バージョンがでるので、そちらのほうが一気に処方されるようになるでしょう。製薬会社の営業による医者への影響は中だと思います。
②インスリン注射薬
インスリンのジェネリックである、バイオシミラーが発売されています。バイオシミラーは普通の飲み薬とは異なり、既存のインスリンを作っている製薬会社のみが作っています(品質保持のため作れる会社が限定されています)。①同様一般の医者は使い慣れないので営業の影響は中です。
③ビグアナイド薬
1個10円以下ですべての糖尿病薬の中で一番やすいお薬です。ぼくも一番処方する薬のひとつです。多数のジェネリックがあり製薬会社の利幅は少なく営業は少ないです。営業の影響は無しです。
④SGLT2阻害薬
2014年4月にスーグラ(アステラス社)が発売されました。飲み薬で効果が大きく副作用も比較的少ないため、とてもいい薬です。1個200円以上しますので大変高価です。製薬会社の営業は激しく、知人の医者は50人に処方したら200万円もらった(直接ではないと思いますが…詳細は不明です)とのことです。ぼくはボールペンくらいしかもらったことはありませんが、営業の影響は大です。
⑤DPP-4阻害薬
2009年12月ジャヌビア(万有製薬)発売、1個100円ほどの高価な薬です。効果は少ですが、副作用も少なので安全に使えるため幅広く使われています。数年でジェネリックが発売されます。糖尿病の人は自分の薬をみてみてください。この薬を飲んでいる人は非常の多いです。ぼくも処方はおおいです。営業の影響は大だと思います。
⑥スルホニルウレア剤
古い薬でお安くジェネリックのみになりましたので営業の影響は無です。効果は高いですが使い方が難しいとぼくは思います。
⑦即効型インスリン分泌促進薬
最近ジェネリックがでましたがそれまではまずまず営業がありました。しかし通好みのお薬かつ1日3回飲まなくてはいけないので人気がありませんでした。営業の影響は少です。
⑧チアゾリジン系
アクトス(武田薬品工業社)という先発品が発売されたときは、心不全にも効果があるといわれて爆発的に売れました。しかし、膀胱がんの危険度アップや逆に高度心不全の場合悪化させてしまうことが分かり一気に人気が下がりました。ジェネリックも発売されたため営業の影響は少です。
⑨α-グルコシダーゼ阻害薬
ジェネリック、1日3回飲む、効果少です。営業の影響は無です。
まとめ
ジェネリックが出ている薬は処方量が安定する
高い薬は製薬会社の医者への営業が多く処方が必要以上に増える
モチベーション維持になりますので、記事を読まれたら♡をクリックしていただけると嬉しいです。