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”ワークライフバランス”が整っている企業とは🟰残業が少なく休みが多い企業ではない!!(3612文字長文です)
■ワークライフバランスとは(結論)
ワークライフバランスとは、人が安心して仕事と日々の生活を両立できる環境が整っていることを意味します。
決して【とにかく労働時間を短くすること】【仕事はほどほどにしてプライベートを楽しむこと】ではありません。
仕事とプライベートが対立している状況のことではなく、
どちらも大切な生活の一部と捉え、調和を保ちながら
心身ともに健康でいられる環境が整っていることが重要です。
個々の状況や立場、考え方を尊重し、安心して仕事と生活を両立できるよう、企業選びをしていただきたいと考えております。
また、企業がワークライフバランスをアピールする際には、単に残業時間の短さや休暇の取りやすさ、リモートワークの可否を示すだけでは十分ではありません。
従業員の健康管理やキャリアパス、待遇に対する志向性など、入社後のサポート体制についても注視し、総合的な働きやすさを整備することが重要です。
■ワークライフバランスの本当の意味とは?
「ワークライフバランスが整っている企業」と聞くと
【残業が少ない企業】【プライベートを重視する企業】【ホワイト企業】
etc…
”労働時間が短くプライベートに多くの時間を割ける会社”を
想像される方もおられるかもしれません。
しかし、ワークライフバランスが整っているとは、単に「働く時間が短い」という意味ではありません。
ワークライフバランスの本当の意味は、仕事とプライベートが対立するのではなく、どちらも生活の一部として調和し、お互いに支え合っている状態を指します。
つまり、仕事を通じて成長し、自己実現やキャリアの発展を目指しつつも、プライベートも大切にできるような環境が整っていることが重要です。
このような環境があれば、たとえ一時的な繁忙期があっても、従業員は無理なく仕事と生活を両立でき、長く安心して働くことができます。
また、企業がワークライフバランスを整えるためには、従業員の健康管理やキャリア支援、評価制度、柔軟な働き方のサポートといった、さまざまな要素が必要です。
労働時間の短さだけでなく、従業員が心身ともに健康でありながら、やりがいを感じられる環境を整えることが、ワークライフバランスの本質であるといえるでしょう。
■ ワークライフバランスの整った企業を選ぶためのポイント
ワークライフバランスが整った企業を選ぶポイントとして
大前提 ”ご自身のキャリアが明確か” が非常に重要です。
そもそもやりたいことが実現できない企業を選択していては、仕事とプライベートの両方を充実させるという条件を満たしません。
ご自身のやりたいが実現できる企業で、かつ健康的に働くことができることを前提として選択していきましょう。
・企業選びのポイント求人票編
企業の求人票を見るとアピールしたいポイントとして、下記が記載されていることが多いと思います。
・平均残業時間
・有給取得率
・リモートワークの不可
・フレックス制度の有無
これらはワークライフバランスが整っていることを示す有用な情報ですが、
求職者様に対して、当社は労働時間や働き方に理解がある企業です。というアピールにすぎません。
当然、個々の考えによっては、これだけ知ることができれば十分という方もおられると思いますが、下記の”明確な”記載があれば、よりワークライフバランスを重視している企業である可能性が高いです。
・社員の健康管理支援
・キャリアサポート
・待遇評価制度
・福利厚生
・オンボーディング施策
全ての記載がある必要はありません。企業によっては福利厚生が少ない企業もあるでしょう。
従って、より従業員に目が向けられている情報が豊富かが重要と考えております。
・企業選びのポイント面接編
とはいえ、求人票だけでは実態は理解できないと思います。
口コミやエージェントの話しだけでも参考程度にしかなりません。
一例ですが、面接では以下のように確認すると良いと思います。
・残業の実態を確認する場合
×「平均残業時間はどのくらいですか?」
〇「繁忙期や業務量に波があることは業務上理解しております。繁忙期の対応方法や、リソースの調整方法など、あればご教示いただけましたら幸いです」
ワークライフバランス=労働時間と考えている企業は非常に多く、残業時間は?ワークライフバランスをどう思う?などの直接的な質問はリスクになりやすいため控えるべきです。
繁忙期や稼働に波があることは全ての仕事に共通するので、そちらへの対応策や調整方法を確認することで間接的に、実態を確認します。
・従業員のキャリアを重要視しているかどうかを見極める方法
〇「入社後、仕事にアジャストしていくためのフローや、研修、施策などあればご教示いただきたいです」
従業員のキャリアの重要性を理解している企業であれば、確実に、定量的なオンボーディング施策が導入されています。
「入社後はOJTを中心に、実務経験を積みながら、各チームのマネージャーが細かく指導し、チームで育てていきます」と回答される企業がありますが、
私からすれば、何も施策を打っていないと同義と考えます。
そもそもOJT自体、具体的な計画と明確な目標設定がないと運用できません。
■ 企業がワークライフバランスを整える必要性とは?
企業がワークライフバランスを整備することで以下のようなメリットがあります。
・企業のブランディング(口コミや評価も変化)
・激化する採用競争での他社との差別化
・定着率の向上
・従業員の健康、メンタルヘルスの管理による生産性の向上
・イノベーションの促進
などです。
従業員だけでなく、企業側にもたらすメリットが非常に多いため。
ワークライフバランスを整備するための投資は惜しまないことが重要です。
■ 企業がワークライフバランスをアピールリスク
ただし、企業がワークライフバランスをアピールする上でのリスクもあるので、最後に記載したいと思います。
再三にわたりお伝えしておりますが、
”ワークライフバランス=労働時間の短さ”、”休みの多さ”と理解されているのは企業だけではありません。候補者目線でも同じです。
そのため以下のようなリスクがあるので、やはり、稼働量、キャリア感、サポート力、ヘルスマネジメントなどを総合的にアピールする必要があります。
・残業0、完全定時退社を期待されてしまう。
・会社が間違った推し方をすることで生産性の低下や業務の偏りが発生。
・柔軟性が求められる業務、場面に適応しにくい候補者が集まりやすくなる。
などです。
企業の対策例も一部ですが記載します。
・面接で候補者の現状と、意向を具体的に確認する
一部の候補者には『残業ゼロ』や『完全な定時退社』を期待される可能性があるため、面接時の説明や具体的な質問を通じて認識のギャップを減らすことが不可欠です。
候補者の実際の働き方と今後のキャリアに対する希望を面接内で明確にしなければいけません。そのためにはワークライフバランスとキャリア感の一致を確認する質問を準備することが重要です。
・もっと仕事がしたいと考えている従業員へのケア
社内には、今の仕事が好きで、もっと働きたいと考えている従業員の方もおられます。
ただし、自分の仕事や職務に関することに、やりがいを感じておられるだけで、他人の仕事を押し付けられて、長時間働きたいと考えている方はおられません。
従業員一人一人に合ったワークライフバランスの施策をとるのは難しいですが、マネジメントを通じて仕事観、キャリアパスを共有することは可能です。
社員がどの方向を見て仕事をしているか、どういった価値観をもっているかをイメージできるだけでも定着率に大きく差がでますので、
定期的なケアは重要です。
・企業の繁忙期やキャリアサポート力を明確にし、候補者の現状を改善できる事実を定量的に伝える
繁忙期は月末月初、長期休暇前後の〇〇日です。また〇〇の業務が発生する場合は、残業時間は約〇時間程度。通常は何時間残業/月で、、など、可能な限り具体的に説明します。
また具体的なオンボーディング施策、定期的なキャリア支援、ヘルスケアサポートなども説明できるよう、足りない所は整備していくことが重要です。
■まとめ
ワークライフバランスとは、単に労働時間が短いことではなく、仕事と生活が調和し、従業員が心身ともに健康でいられる環境を指します。
企業がワークライフバランスをアピールする際には、残業の少なさだけでなく、健康管理、キャリア支援、柔軟な働き方といった総合的なサポート体制を示すことが重要です。
ワークライフバランスの整備は、従業員と企業双方にとってメリットが多いため、投資を惜しまず整備を進めることが重要です。
また就職、転職を考えておられる求職者様には、ぜひ労働時間にとらわれすぎることなく、
・ご自身のやりたいことが実現可能な環境か
・会社が主体的に、社員のキャリアに目を向けた施策をとられているか
を重視して企業選びをしていただければ幸いです。