「実需の円売り」と「投機の円売り」~薄氷の円安相場~
円相場の需給は改善中
11月11日、財務省から発表された9月国際収支は経常収支が+1兆7171億円と黒字幅としては今年1月以来の小さな水準に落ち着きました:
もっとも、前月は+4兆円近くの黒字であり、それ以前にも+3兆円を超える黒字が断続的に確認されてきたことを踏まえれば、2024年初来の黒字額は極めて大きな仕上がりとなっています。過去のnoteでも取り上げたように、収まらない円安傾向とは裏腹に国際収支統計から得られる円の需給イメージは明らかに改善傾向にあります:
2022~23年は「統計上の黒字」を確保しても、第一次所得収支黒字で円転されないフローを控除したキャッシュフロー(CF)ベース経常収支で見ると安定的な黒字が確保できないという状況が続き、それが円安相場の底流にあるというのが筆者の仮説でした。これが構造円安説の要諦と言えましょう。こうした需給分析に沿って2024年初来の現状と再起動しているように見える足許の円安相場に考察を与えると、一体何が見えてきそうでしょうか。筆者は「実需の円売り」が退潮になる一方、「投機の円売り」が主導する相場つきに代わりつつある印象を持っています。以下、定量的に解説してみます。
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