見出し画像

【もうすぐ臨床が始まるPTOTSTの先生向け】ICFの理解を深めておきましょう vol.2

いよいよ2020年度が始まりました。世間は本当にそれどころじゃない!という感じですが、それでも時間だけは平等ですのでやってきます。

そんななか、明日日帰りで出張。新幹線って大丈夫なのかしら。

ICFの構造で最も重要視すべきところ

昨日のnoteではICFについての話をしました。基本的な説明ですからぜひまずはコチラからお読みください。

そして、最も重要視すべきところはなにか!?と言いますと、、

「階層構造」

になります。

階層構造についてはIAIRのコラムで昔書いたのでそれを紹介します。

さて、その階層構造を少し紐解くと、面白いので紹介します。

階層なので当然、1階、2階、3階みたいに建物みたいな風に分かれています。

画像1

1階に住む人と2階に住む人が違う人だとすると、この二人には絶対に相容れぬ部分があります。

見知らぬわけですから、その人の趣味や過去など、知らない部分があるわけです。

画像2

あとは単純に1階の住人は蚊に悩まされていても、高層階の住人は蚊とは無縁なら。これも1階の住人ならではの悩みになります。

画像3

でも、このビルが同じインターネット会社しか契約できませんよ、とかガスや水道の契約も指定のところしかできませんよ、という共通点があったとしたら。

1階だろうが10階だろうが関係なく、関連していますよね。

階層構造の重要なポイントは縦と横

これらの例でわかること。それは階ならではの共通点、もしくはその階だけに当てはまることがあったり、階が離れていても共通していたり影響していたりすることもある、ということです。

ICFではこの縦と横を縦横無尽に行き来できるか、という点がとても重要視されています。

画像5

まず、前者の同じ階のものをICFでは「相対的独立性」といいます。

対して後者の縦のものは「相互依存性」といいます。

では、少し難しくなってきてますけど、整理のために少し定義を紹介します。

「相互依存性」
ある階層のものが別な階層のものに影響してそれを規定することである。これは隣接する階層の間だけとは限らず、離れた階層の間でも起こりうる。

「相対的独立性」
ある階層の法則は他の階層の法則によって規定しつくされることはなく、必ずその階層独自の法則をもっているということである。

上田敏(2002).「ICF:国際生活機能分類と21世紀のリハビリテーション」『広島大学保健学ジャーナル』,2(1),pp.6-11.

こんな感じです。

この階層構造というものが、非常に鍵になるなと自分は思っています。

大事なのは評価法のエビデンスだけじゃない

多くの評価法において重要視されているのは、その評価法の妥当性信頼性といったところがよく言われますけれども、評価法そのものの理解が人間が充分できていないと、せっかく妥当性信頼性の高い評価法でも言葉の使いかたによって解釈が大きく変わることがあります。

そしてその解釈のズレというものがほとんどの場合において、この相互依存性と相対的独立性が関わっていると自分は考えています。

RPGのゲームとかでせっかくいい武器を手に入れたのに主人公のレベルが1だったら、使いこなせませんよね。最強の呪文を覚えたとしても呪文唱えるレベルに満たなければ使い物にもなりません。(この例えは同世代にしか響かないかもしれませんが、、)

評価法には「何を評価しているか」という前提を理解していなくては使えません。

そしてそれは評価の見ている階層によって大きく異なったり、逆に飛び越えて繋がったりします

生物学的な階層構造でも同様の現象がおきます。

東京海洋大学、海洋科学部の羽曽部正豪先生のwebでも詳しく説明されていましたので引用させていただきます。すごく内容が濃いので興味ある方は下のバナーをクリックしてみてください。

もう少しざっくり言うと、皮膚の評価、皮下組織の評価、筋膜の評価、組織間液の評価、筋肉の評価、骨の評価、神経系の評価、脳機能の評価をしていても、生理的な内臓機能の評価をしているわけでもなければ、認知機能の評価もしていません

でも、それは相互依存性で繋がることは多々あります。

自分がそもそも
・何を評価しているだろう?
・何に対して治療しているのだろう?

というのを明確にするために、評価法の前提を知ることがとても重要になります。

このように、ICFでは縦と横の繋がりを前提に扱う必要がある、ということが言いたいわけです。

迷子になりそうな方は、まず冷静に。目の前の患者さんの話をじっくり聞いてください触るばかりがリハビリテーションではありません

次回は前提のズレによる危険性について、です。


巷で言われているICFの一般論に加えて、さらに踏み込んだところまでしっかりお伝えしているのがIAIRだと思います。興味のある方は

画像4

上のバナーをクリック!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?