11/9 来てけつかるべき新世界 / ヨーロッパ企画@札幌を観た(ネタバレあり)
ヨーロッパ企画、おもしろいですね〜〜〜〜〜。
父がチケットを余らせたらしく誘われたので観てきた。
まあ面白いだろうと思いなんの情報もなく観劇したため、舞台設定からなにから、全くのゼロスタート。
「君たちはどう生きるか」で実感したけど、「まあ間違いなく面白いだろう」だけ持っていって面白いモノを観るのって一番贅沢で一番面白いかもしれないね。
とは言いつつも、また再演されないかぎりDVD以外で観るチャンスはなかなかないだろうから、ネタバレしつつ書きます。まっさらでいたい方はここでご退出してDVDを買ってください。戯曲として書籍も出てるみたい。
動画は2016年版の告知CM。
大阪下町、汚めな串カツ屋を中心とした人情SF。
この設定からして本当に知らずに観始めたのでワクワク。身綺麗とは言えないおっちゃんたちが、口汚いまま「ドローンハイウェイっちゅうやっちゃろ」「お前んとこのけったいな配達ドローンが」とか言う、それだけで最高。
ドローンからはじまり、野良ロボット犬に野良警備ロボットの盗電問題、現実とVRどっちで暮らすか、AIによる思考能力強化将棋、果てはマインドコピーによる人権問題そして惑星移住まで…
通天閣を望む下町人情をベースに、バカバカしいコメディをやりつつもガッシリめなSF設定が乗っかる面白さ。
2016年の初演当時とは、我々の現実じたいがSF設定との距離感としてだいぶ違うので、2回目として観たお客さんは特に面白かっただろうな。
映画「リバー、流れないでよ」と同様、客演の俳優がいることで画面も演技も締まってとても良かった。板尾創路も岡田義徳も、よかったねえ〜。
以下いろんな感想を列挙。
タイトルはウェルズ「来るべき世界」の大阪新世界パロディ。
ドローン、ロボット、AI…と、エピソードのオムニバス形式になってるのだけど、(伏線回収とまで言わずとも)全体を貫く仕掛けがなにかあればなーとは思った。
「リバー」でも思ったけど、膝を打つようなアイデアのある脚本よりも、コメディと人情に重心を置いた劇団なんですよね。何か一つの光る設定を、あくまで人情の面で揉んでいくという。練習もエチュード的らしいし。
空気清浄機にタイヤと棒つけたくらいのローテクな警備ロボット(パトロー)のアームに腕を極められる人間。最高。警備ロボットの警備ってそうなんだ。
足元がおぼつかない警備ロボットを見るたびにハラハラするけど、アイツが転んでも舞台が止まらないようにする準備ができてそうでよかった。
AIゴーグルで近い未来を予測できるので、殴りかかられてもクロスカウンターができる。面白すぎ。
ただし、ミーハーだけがしていたはずのゴーグルが、終盤にはほとんどみんなの必須アイテムになっていたのは不気味だった。
AI女子高生りんなちゃんもとい、AI遊女りんねちゃん。懐かしい。
人格を持ったAIが現実世界にまで侵食し、ついに肉体を持ちだす…!というSFパニックホラー展開なのに、サイバー空間での出来事は観客から一切見えず、全部説明セリフとマイム頼りなのウケた。
それでも「パーママシンを改造したVRゴーグル」をかぶってるだけでおかしくて間が保つのはすごい。
主人公かつ狂言回しであるマナツの結婚のあっけなさ。人生のあっけなさとテクノロジーのスピード感の掛け合わせに感じられた。
人情SFの名手、丸岡九蔵先生ならどう料理したかなー、コラボしてくれないかな〜と思った。絶対面白いよ。
11/9 札幌がツアーの千秋楽。
最近は音楽ライブでも演劇でも、札幌飛ばし問題は本当に深刻。札幌民の感度が低いのが悪いんだけどさ…(でんぱ組ラストツアーに札幌入ってないの本当にショックだったよ)。
機材輸送費も安くないなか、札幌民の感度もイマイチななか、ちゃんと来てくれて本当に感謝です。
千秋楽ということでカーテンコール後すこしおしゃべり。
板尾が「ハードスケジュールのせいか、金沢公演でついに血尿が出ました。そんなに深刻ではないようだけど、今度尿管に麻酔なしで内視鏡を入れるので、気にしておいてください。15日の9時からです。」って話で爆笑をかっさらってった。
とちゅうまで観客全員かなり引いてたのに、最終的には拍手笑いでした。さすが。
サマータイムマシンブルース観たことありません!観ます!!
おわり。また劇みにいくわ〜。
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