【神演出】画期的なカラーの使い方~漫画『SKET DANCE』~
noteを始めて2週間、SNS音痴の僕には新鮮な毎日です。たくさんのフォローとスキをありがとうございます。試行錯誤を重ね、ひとつずつ出来ることが増えてきています。次はマガジン機能ということで……。
心の四次元ポケットにしまっておきたい【神演出】を創刊しようかと😄
「放送作家の仕事で応用したい!」と思わされたアイデアをストック。心の四次元ポケットを一杯にして、いつでも取り出せるようにしていきたいです。
第1回は、漫画『SKET DANCE(スケットダンス)』から。
まず、この漫画をざっくり紹介します。
*週刊少年ジャンプで2007~13年に連載していた学園コメディ
*基本はコメディだけど、笑いあり、涙あり、なんでもあり
*人助けを目的とする「スケット団」の3人が主要キャラクター
*クセが強い登場人物多数
今回、紹介したいのはコミックス12巻に収録されている「ドロップ」という回。これを最初にジャンプで読んだときは……。
思わず唸りました。
カラーページの使い方に。
✅定説を覆す「逆転の発想」
ジャンプって、パラパラっとめくっていくと、途中でカラーのページがあるんです。この「センターカラー」は大体1~2ページほど。普通の作者なら、作品タイトルが入った「扉絵」など、最初のほうでカラーを使います。
しかし『SKET DANCE』の篠原健太先生は、その定説を覆してきたんです。
以下は、12巻に載っていた先生による制作ウラ話。
この回はジャンプ本誌では「連載2周年記念」として、見開きを含む3ページのカラーページを貰ってました。
見開きのカラーは滅多にない事ですし、記念すべき連載2周年だし、どういうイラストを描こうか、けっこう以前から悩んでいました。何か変わった事がしたい!
そこで担当と話し合った結果、ちょっと趣向を変えて「カラーページを後ろに持ってくる」事にしました。つまり物語のクライマックスシーンでカラーを使う。(原文ママ)
そう、最初ではなく最後、物語が最も盛り上がった場所をカラーに。
主人公たちが友達のため、色とりどりの風船🎈を青空へと放つシーンでした。クライマックスで使ったことで、感動的なストーリーがより引き立つ。前回も書いた通り、こうした「逆に」という考え方は僕も大切にしています。
✅漫画だからこそ映えた「色彩のギャップ」
一見、か弱そうな女子高校生が、大男をぶん投げる!
漫画『YAWARA!』の主人公・猪熊柔の魅力は「ギャップの大きさ」にあると思いませんか? このように、なにかを際立たせたいときは「ギャップ」を使うと効果的です。
恐いと見せかけて実は優しいとか、静かだった場所が一転して爆音に包まれるとか。その差が大きいほど、変化が一瞬で切り替わるほどいい。
『SKET DANCE』の場合は、色彩のギャップを巧く使っています。
ページをめくると、モノクロだった世界がカラフルに。
また、色とりどりの風船っていうのがいいじゃないですか。カラーページにする意味がある。まさに、漫画だからこそ映えた神演出です。
残念ながら、コミックスではこのシーンがカラーではなくなっているんですが、その雰囲気は表紙カバーで再現されています(今回の見出し画像)。
ちなみに、色彩のギャップでもう一例。
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」というアニメがあります。そのエンディングも、とても印象に残る演出でした。
曲は「Secret Base ~君がくれたもの~ (10 years after Ver.)」
最初は、白を基調とした背景にグレーの花びらが舞い散っているんです。しかし、サビに入った瞬間、花びらが鮮やかなピンクに色づき、今度は舞い上がっていく。一気に華やいだ画面が美しい。
✅篠原先生の最新作に期待
篠原先生はこの『SKET DANCE』で小学館漫画賞(少年向け部門)を受賞。さらに次作の『彼方のアストラ』ではマンガ大賞を受賞。笑えるし、泣ける。とてもオススメの作者さんです。
ジャンプでは先々週から『ウィッチウォッチ』がスタート。今後の展開をとても楽しみにしています。