食品リサイクルと豚の餌と
小学生の時、給食の残飯は「豚の餌になる」と聞いていて、そんなものだと思っていた。さらに、上手くリサイクルされるものだなと思っていた(にもかかわらず給食を残すことが一切許されず、嫌いなものを吐いても食べさせられたことがあったが、それについてはまた別途)。
あれからウン十年、今朝見かけた記事がこれ。
恵方巻があっという間に豚の飼料へ 食品廃棄とリサイクルの現場を歩く:首都圏の工場を取材 - ITmedia ビジネスオンライン
毎年恒例の「節分は恵方巻」の熱狂が過ぎ去った直後に取材して構成した記事。
「食品ロスはけしからん!」
「コンビニが仕掛けたマーケティングだ!」
「恵方巻きを押し付けるコンビニ業界の闇が!」
「いや、あれは主婦を休ませるための口実なのだからもっとやれ!」
なんて話を頭に浮かべながら読んでみたら、淡々とリサイクルの現場について述べられている。これが技術好きにとっては実に面白い。
リサイクル業者の社長が獣医師の資格を持っていたり、豚が食べられないものは受け入れないポリシーがあったり、異物が混じりがちな食品廃棄物から人の目を通して混入物を取り除いたり、異物を防ぐために排出する業者に何度も交渉をしたり。こうしたところが、 "SDGs" の大事な一歩なのだなと。そしてなにより、栄養バランスを考えて混合して、殺菌して、栄養価を加えてしっかり液状の飼料にするという手間暇をかけているところ。考えてみたら家畜も大切なお客様。変なものを食べさせるわけにいかないし、それが原因で怪我や病気になるなんて論外。良いものを食べてもらって、大きく育っていただくことが目的で、そのための飼料。
小学生の時に聞いた「残飯は豚の餌に」という考えでいたら、恵方巻きにせよシュークリームの皮にせよ、そのまま食べさせていると思いがち。こういう裏側があったとは大きな学びだった。人間にとってはゴミだけど、巡り巡って良質のお肉になって返ってくる、そのために手間を掛けている人達がいる。リサイクルって単純なものではないのだなと思った。