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④サンスケさんの、これから

【「③サンスケさんが大切にしている言葉は?」から続く】

ここまで聞いてきて今になって思ったのですが、サンスケさんが最初に買ったレコードって?
えーっとね…YMOの「ライディーン」か、ジグソーの「スカイ・ハイ」かもしれない。どっちもプロレスのテーマ曲で使われてたんだよ(一同笑)。小学校3~4年生の時だったと思うな、そこからは中々広がっていかなくて本当にもどかしかったけど、宇都宮線に乗ってさ、大貫憲章さんのロンドン・ナイトに行った時は感動したよ。東京にいる人は毎週ここに行けるんだ、って思うとやるせなくもなった(笑)けど、あそこにいた色んなジャンルの先輩DJはすごいエリートなわけ、お洒落だしケンカも強いし(笑)、音楽センスもあって完璧で、そういう人たちには今でも敵わないしひっくり返らないな、って歳を重ねても思うもんね。でも、そういう人たちのいる所で今、DJをやれているのは幸せなことだと思うよね。

サンスケさんにも入ってもらって
お店をチラ見せ🎶
こちらでライブなどが出来ます

この場所も本当に色んなアーティストやDJが来てくれているけど、レコードショップでのインストア・ライブって、レコードの棚を皆で寄せて、レコードの周りでライブをするんだけど、レコード屋の奥にBarがあってライブやDJも出来てレコードも探せるっていう所は、世界中を見てもあまり類を見ないみたいで。ギャズ(・メイオール)が最初に来た時は“レコードを見て日本酒飲んでDJブースで踊れる!”って興奮してさ。“こういう場所を持ってるんだから大事にしろよ”って言われたんだよね。ギャズとか海外から来た人たちが、そんなふうに言ってくれることを誇りに思うよ。
レコードコレクターって、自分で所有して満足するじゃない。でもボクがギャズとかジェイソン(・メイオール)とか他のDJにレコードを売ったりするのは、やっぱりプレイしてもらえることがあるでしょう。プレイした時に“これはサンスケの所で買ったレコードだよ”って。
常日頃やっていることで、音楽を通して…ここのイベントスペースもそうだけど、人の暮らしとか生活が、レコードとか音楽で豊かになってもらいたいなと思ってて。それでこの場所をやっているところもあるからね。

竹澤サンスケ政明
recordshop 「SNOKEY RECORD」と
レコードショップ隣に併設のmusic bar「SMOKEY JOES CAFE」を
栃木県宇都宮市で展開
独自のイベントをこの場所で企画・運営しながら
自らもDJとしてイベント等に出演し
2024年にはFUJI ROCK FESTIVAL'24・BLUE GALAXY
朝霧JAM2024・CARNIVAL STARのステージへ

趣味:旅すること
好きな食べ物:蕎麦/出汁が染みた豆腐

ちなみにこのイラストは
茨城県結城市のイベント「結のおと」に
サンスケさんがDJとして出演した時を描いてくれたのだそう
サンスケさんもとても気に入って
プロフィール写真のように使っている(笑)そうです!
(Illustrated by イマトモ・ヒロさん)

今の場所になる前・ユニオン通りでお店をやってる時、夏の暑い日にすごく奇妙な格好のカップルが店に入って来たことがあって(のちに大切な友人となる)。外に聞こえるように流してた音を聴いて入ってきたんだけど、話したら(その年の)フジロックに出てた人たちで。ボクは今回、ジム(Jim West)さんのBLUE GALAXY(=ステージ名/インタビュー③参照)に出たんだけど、ジムさんとも仲が良くて。ロンドン在住の夫婦で英国人の旦那さんと奥さんが宇都宮の出身で、その後も毎年フジロックで日本に来ればフジロックのエピソードを聞くにつれ、“ボクもいつかフジロックに出てみたいな”っていうのが、少しずつ芽生えてきたんだよね。
自分がやっているDJスタイルをこの30何年突き詰めてきて、DJとして(イベント等に)呼ばれるようになってきて、そこで出会った人が今度は宇都宮に来てくれる。北関東の小ちゃい店だけど、これはちゃんとしなくちゃいけないなと思って。レコード屋としてボクの人生が終わる、だからこの店ももっと花開かせなきゃいけないと思ってさ。それもあって今、色んなところでDJをしてるのもあるし、話がフジロックに戻るんだけど、今年のフジロックに誘ってくれたジャポニクスのボス・しょうごさんが、南米のクンビアとかレベル・ミュージックのイベントを“ここ(=スノーキーレコード)でもやろう”って言ってくれて。5~6年目になるんだけど、ある時、“サンスケ、フジロックに出てみない?”って…ボクのDJスタイルも見せていたし、これだったら良いって思ってくれたのかも。
でも何より、ロンドンから来た友人たちに出会ってなかったらこんな風にはならなかっただろうな、とも思う。BLUE GALAXYも5年ぶりに復活したステージだし、彼らはコロナ禍以降はまだフジには来られてないからね。
そもそもサンスケさんって拠点を変えようとかは全く思わなかったの?
そうなんだよ、ずーっと栃木にいるんだよ(笑)。お店を構えちゃってるからね、ここから動こうっていうのは…うん、なかったね。やっぱりどこかに好きな街だという思いとか、暮らしていて思い入れもあるんだろうね。
宇都宮・栃木って、ボクが若い時からもそうだし、10年前に今のこの店を構えてからもそうだけど“音楽の文化がない”って言われたりすることがあって。でもボクは、ジャズをプレイしてみたりとかバンドとDJのイベントをやってみたり海外から招聘するなんてこともやってるから、心ない人にギャフンと言わせたくて宇都宮で頑張ってるところもあるんだよね。
ここに店を構えた時、音楽関係でお店をやってる先輩たちもいるしボクもそれなりにやって来たから、“もう皆、仲良くしましょうよ”みたいな感じで、音楽とかジャンルとかはもう関係なく仲良くしましょうって言った時があって。中々難しいけど、亡くなった矢部直(U.F.O)さんに“これからはもっとオープンに、心も開いていかないと。音楽をやっていく上で絶対に良くなっていかない。シーンは作っていけないよ”って言われてさ。その言葉がずっと胸にあって自分は行動してみてるんだけど中々、実を結ばないなぁ。
でも、宇都宮のミュージシャンとかバンドとかDJ、色んな人とここでやってみて、面白い人たちが結構たくさんいるんだなぁって思ったりしててさ。昔はジャンルが違えば接点も持たないし交流もしなかったけど、東京の先輩のところに遊びに行くと、東京のクラブシーンとか音楽シーンの人って、ジャンルを超えて皆、仲良いんだよ。それはきっと、オープンマインドなんだろうね。それが本当に素晴らしいことだし、ウチも今は20代の子がイベントをやったりライブで来てくれたりしてるけど、未だがっぷり四つ、とまではいってないから、そこはボクの技量っていうことで。今後、音楽者として生きていく自分の課題かなぁ。
個人的には最近、倉品翔くん(GOOD BYE APRIL)の弾き語りがサンスケさんのお店であったのもSNSで見ていて、面白いなぁと思ったりしていて。
いやぁ本当に、倉品くんのステージには感動したよ。彼は最高だね、印象に残ってるなぁ。色んな人がライブで来てくれるけど、そういう出会いが、最上の喜びだね。

では最後に必ず聞いている質問を。今の話に答えがあったような気がしますが、今後の夢ややってみたいことを聞かれたら?
もう若い時に夢は見たからね、志はあるけど夢はもう見てないかもしれないな。志としては、もうひたすら音楽と向き合っていきたい、っていうのがあるかな。倉品くんもそうだけど、新しい音楽家ともたくさん出会いたいし、何だろうな…音楽ってさ、やっぱり人だと思うんだよね。良い人と出会いたいし、悪い人(笑)がやっている音楽ってあんまり聴きたくないじゃん。あ、でも、ジェームズ・ブラウンとかはカッコ良いからなぁ(一同笑)。
ボクがこの場所でやっていることって、素晴らしい音楽家と、それを楽しむ音楽好きに来てもらいたいっていうのがあるから。それがあれば、他には何もいらないなと思うよね。

サンスケさんの愛犬・マリちゃん
“基本は一緒に店に来てるね。
階段を登ってくる音とかドアの音で
もう、いつも真っ先に飛び出して行くよ”

【「ひとのちから、まちのちから。」〜竹澤サンスケ政明さん編〜/完】

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