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生まれついてのハスキーヴォイス。

留守番電話を再生してみると、ガサガサ…シャカシャカ…なんか喋ってるみたいだけど、何言ってるか聞き取られへん

自分の声なのにね!

子どもの頃から?…気付いたらこんな声になってました。

声変わりする前はもっと高い声だったし、おしゃべりなほうだったから、学校でもうるさい奴だと思われてたことでしょう。

「風邪ひいた?…のど大丈夫?」と心配されることも頻繁にありました。おかげで電話で「ずびばぜん、今日休ばしてぐだざい。」と言うと、納得されやすいというメリットも。

歌うのは好きだったし、それこそ子どもの頃から「ザ・ベストテン」とかを観ていたら、森進一やもんた&ブラザーズや葛城ユキやGAOやら、ハスキーヴォイスを売りにしているシンガーが結構いたので、「意外とこの声、逆に特徴的でありなのかも。」と思ってもいました。

「その声はロックに向いてるよ!」とおだてられて、バンドでヴォーカルを担当したりもしました。(ハウンド・ドッグをものまねレベルで)

比較的男にしては地声のキーが高いほうだったから、自分ではわりと歌えるほうだと思ってた、のに…。


己の挫折を知ったいい例がスピッツですよ。スピッツ聴き続けて30年。若い人は知らないかもしれないけど、マサムネの声も最初はそこまで高くなかった。

実際、初期の3枚のアルバムの曲…ギリギリ「Crispy!」の裏声使わない曲ぐらいまではカラオケで原キーで歌えると思う。

ところが笹路正徳さんがスピッツをプロデュースするようになり、「草野くんは高いところの声がいいんだから、もっと自信持って歌おうよ!」的な励ましをされたんだと思います(たしかそういうエピソードある)。

そこから覚醒したマサムネの声がどんどん高くなっていって、「青い車」の時には「もう原キー、無理〜!」となりました。

マサムネの声はどんどん高くなる。自分は加齢とともにどんどん高い声が出なくなってくる。

それと並行して、プロアマ問わず、歌上手い人のレベルがどんどん上がっていく。男性ヴォーカリストで高音出せる人が続々現れる。

マサムネほどキーが高くなくても、裏声を駆使して音の高低差が大きいメロディの曲が普通にヒットするようになってきた。

カラオケでそこそこ声張り上げて、「わ〜上手〜。」とかお世辞言ってもらえたら、それだけで満足してたのにですよ。

そこで、このハスハス声ですよ。裏声が出せないんですよ。この声じゃ。

子どもの頃から、テンション上がった時のみんなの「フウゥ〜ッ!」が…あれが言えなかったんです。

マイケル・ジャクソンの「ポーゥ!」…みんなモノマネしてるけど、それどうやって声だしてんの?…自分がやると「ホーッスススス…。」みたいな息しか出ないんだけど。


これ、病気でした。病気?…病気っていうのと違うか、発声障害でした。生まれつきの。

数年前、新宿ボイスクリニックという専門科を受診してみました。

「あの…子どもの時から、こういう嗄れ声で。裏声というものが全く出せないんですけど。」っつって。

「じゃあ、内視鏡で声帯の状態見てみましょう。」っつって、カメラ突っ込まれて喉の奥の写真撮ってもらいました。

先生おっしゃるに、「これは『声帯溝症』ですね。」

はあ…。「声帯溝症」とは?

生まれつき、声帯のところに溝が掘られたような形状になってて、そこが隙間になって、きっちり声帯が閉じないので息漏れするから嗄れ声になるんですって!

声帯

「あら、生まれつきの症状?…こういう症状の人って世の中に多いのかな?…自分の声って結構特徴的だと思うんだけど。」と思って、受診後ネットで調べてみたら、スピードワゴンの小沢さんが同じ症状らしい。

…ものすごーく納得いった。

周りの人に聞いても「あーあ!」と合点がいった様子。「その声、誰かに似てると思ったけど、そうか…スピードワゴンの小沢さんね。確かにおんなじ部類かも。」と。

…いや、スピードワゴンの小沢さん…めちゃめちゃ「歌えない人」として有名じゃんかよ。


これはマズイですよ。単なるカラオケ大好きおじさんだったのに、最近はカラオケ行く機会もほとんど無くなって、仕方がないから自分で歌う曲を作ろうと思ってしぶしぶDTMを始めて、ようやく自作の曲がかたちになってきたから、恥を忍んでYouTubeやらに発表していこうと思っているところなのに…。

正直、ハスキー声が特徴的だから、好き嫌いは分かれるにせよ、どう転んでも個性は出ると。若干ヘタウマでもオリジナル曲として成立するんじゃないかな〜…と甘くみてました。

いざ、自分で歌って録音してみたら…こんなに歌えないとは。

今、みんな上手いですからね。

やっぱ「曲作りました〜。」っつっても、歌がヘタだとまったく聞いてもらえないですね。


そういうわけで今、毎週ボイトレ受けてます。リモートですけど週1で。

厳しいけど、いい先生見つかったんで。初めてレッスン受けた時は、実際の音楽教室で対面で教えてもらってたんですけど、途中で一旦挫折しちゃって。

その時、ペン大も美学校も行って、サーフィンもやってたので、気づいたら毎月習い事に数万円遣ってて、ちょっと家計的にもやばいぞとなりまして。

とりあえずその時はトラックメイキングのほうに集中しようかな…と思って、半年ぐらいでレッスンをやめてしまったのですが、そうこうしているうちにコロナ禍となり…。

先生がオンラインレッスン始めるという告知を見たので、再びボイトレをお願いすることにしました。

週1のZOOMレッスンとはいえ、もうすぐ1年続いてますね。

自分の声帯の状態とかも知ってくれて、少しずつ負荷をかけてまともに声が出るようなレッスンをしてくださっているんで、ほんとにちょっとずつですが向上していってる実感があります。

もともと「声帯溝症」というマイナスからのスタートなのでね、焦らず長期的スパンでやっていきたいと思っています。(とはいえ、せっかちな性分なのでね。呼吸の仕方からいちからやり直しなのはもどかしい〜。)

これで10年がんばって続けて、「ロビンソン」歌えるジジイになったら、結構すごいんじゃないかと。

なので、今の段階で発表している曲はまだまだ拙いですが、これが「人は50歳からでも歌は上手くなれるのか?」というドキュメントの一部だと思ってもらえるように、進化していきたいと思っています。

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