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あたまで治す腰痛 2024・8・1

街なかの看板を見ていて秀逸なセンスに膝を打つことがあります。そういう文言っていつまでも記憶に残るものですね。大阪駅前ビルに「頭で刈る頭」という理髪店の看板があります。最初の「頭」は頭脳でしょうね。センスの良さとか感性とかそういう意味。後ろの方の「頭」は髪の毛の意味ですから、「単に髪の毛を切るのではなくて、センスの光る散髪ができますよ」ということを端的に言い表したキャッチコピーですよね。
 
さて本題です。腰痛は一般的に、脊椎とか骨盤の歪みやズレが原因とされます。近年あっちこっちの治療院で「骨盤矯正」という看板を眼にします。骨盤を「矯正」してもらうと一時的にせよ確かに腰痛は和らぎます。でもほとんどの場合すぐに元に戻ってしまいます。
 
腰が痛い方をうつ伏せにして拝見すると、たいていの場合右脚が極端に短くなっています。これを見てセラピストは「骨盤が歪んでいます」と説明するわけですよ。骨盤矯正の流派?はたくさんありますが、どこの治療院でも同じことを言われるだろうと思います。
 
ところが、です。「骨盤はどうして歪むの?」と質問してもまともに答えられるセラピストはあんまりいません。ちなみに骨盤は頑丈な骨のかたまりで、周囲を強靭な靭帯や分厚い筋肉で覆われています。構造的に歪みにくくなっているということです。
 
なので骨盤が「歪む」理由は物理的なものではなく心身のストレスで交感神経が優位になったことだと思います。ストレスでしんどくなった脳が骨盤周辺の筋肉に「緊張しろ」という命令を出して、筋肉が緊張した結果、骨盤が「たわんだ」状態、それが骨盤の歪みであると考えています。歪んだ骨盤の影響で脊椎(背骨)も曲がりますからどこかで腰痛が起きることは想像に難くありません。
 
腰痛患者さんの骨盤を「矯正」すれば骨盤周辺の筋肉の緊張は緩和しますし、脊椎もまっすぐになるでしょう。その結果、腰痛は楽になります。一時的には。
 
ただし、脳から筋肉に出ている「緊張しろ」という命令は出たままですから遅かれ早かれ筋肉の緊張も骨盤の歪みも脊椎の曲がりも、そして腰痛も再発します。根本的に腰痛を軽快させようと思えば頭蓋骨を調整して自律神経のバランスを整え「緊張しろ」という脳からの命令を解除する必要があります。
 
腰が痛いからと言って来る日も来る日も骨盤矯正を繰り返し施術するというのは一種の思考停止です。「頭で治す腰痛」をおすすめする次第です。

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