第27回柔道整復師国家試験11
27-106 22歳の男性。サイクリングが趣味である。最近、右手の環指、小指のしびれを自覚し来所した。(図の検査を実施し陽性であった。)わずかではあるが骨間筋と小指球筋に萎縮がみられた。また、前腕の感覚障害は見られなかった。他に考えられる所見はどれか。
1.下垂指
2.祝祷肢位
3.スワンネック変形
4.鉤爪指変形
患者のプロフィールが「サイクリングが趣味」ていうだけで、傷病名はギヨン管症候群、そうしたら絞扼されるのは尺骨神経なので4.
ギヨン管症候群を知らなくても環指、小指のしびれとか骨間筋と小指球筋の萎縮とかで尺骨神経麻痺→鉤爪指変形(鷲手のことな)でもええねんで。
祝祷肢位いうのは母指と示指の屈曲ができないことで正中神経の高位麻痺の症状。(肘のあたりで正中神経が障害される。)
鈎爪指変形は環指、小指の完全伸展不能。祝祷肢位とちょっと見が似てるから区別してね。「曲げられへんのが祝祷肢位」「伸びひんのが鉤爪指変形」
27-107 25歳の女性。2週前、転倒した際に右手を衝いて受傷したが、しばらく安静にしていたので症状は治まっていた。最近、手を使う作業が多く、手関節尺側に疼痛が出現してきたので来所した。手関節尺側に圧痛があり、尺骨頭に軽度不安定性がみられた。困難な動作はどれか。
1.ドアノブを捻る。
2.食事を摂る。
3.顔を洗う。
4.文字を書く。
3行目手関節尺側の疼痛と圧痛、職骨頭の不安定性で傷病名は三角繊維軟骨(複合体)損傷、またはTFC(C)損傷。( )の中はあってもなくても同じ。
三角繊維軟骨複合体てゆうのは手関節の関節円板のことな。コーレス骨折で短縮転位が残存したときに損傷するのを尺骨突き上げ症候群ていうねん。
骨折に合併するだけやなくて、この問題みたいに手をついて転倒したときにも損傷は起きる。症状としては手関節尺屈時痛、と手関節回内外時の疼痛とクリックなんかがあるねん。選択肢の中に手を尺屈させる運動はないから答えは1.ていうことになるな。あと「ペットボトルのキャップを開けるのに不便を感じていた」みたいな文章も昔出題されとったな。
27-108 8歳の男児。6歳からサッカーを始めた。特に肥満はない。1か月前から右ひざから大腿部にかけての疼痛を訴えていた。しばらく様子を見ていたところ、母親が跛行に気付き来所した。膝関節に腫脹や圧痛、不安定性などはなく、大腿部も若干の筋緊張はあるものの明確な所見はなかった。股関節は外転、外旋に制限がみられた。スカルパ三角部に圧痛を認め、パトリックテストも陽性であった。最も考えられるのはどれか。
1.鼠径部痛症候群
2.単純性股関節炎
3.ペルテス病
4.大腿骨頭すべり症
5行目に「スカルパ三角部に圧痛を認め」てあるやん。いうことは大腿骨頭に病変がある、言うことやんな。そしたら3.か4.のどっちか。
一行目に「特に肥満はない」とあるから3.でええねんけど、年齢で覚えといたほうがええと思うな。ペルテスは基本、幼稚園から小学校低学年の男児。大腿骨頭すべり症は思春期の肥満男児。ちょっとすべり症のほうが好発年齢が高いねん。
それから「股関節に病変があるときは患者の主訴、愁訴が膝の痛みであることが多い」ゆうのは覚えといてな。大腿骨頸部噛合骨折なんかでも事情は一緒。臨床実地問題で出題されるほかに実際の臨床でもなんぼでも経験するで。
27-109 36歳の女性。退職し母親の介護を始めた昨年から体重が10㎏増加した。2週前から右足関節内顆周辺に疼痛がみられ、内果後方から遠位にかけて軽度の圧痛を認めた。踵部は外反位を呈し、つま先立ちは痛みのため困難である。考えられる疾患はどれか。
1.内果疲労骨折
2.シンスプリント
3.変形性足関節症
4.後脛骨筋腱炎
これは初顔の傷病やな。圧痛が内果ではないから1.は×。2.は痛む部位も年齢も違うわな。「体重が10キロ増加」と踵が外反位を呈するとことから4.を選んでちょうだい。腱が断裂すると偏平足に移行いうのも覚えといてな。
27-110 30歳の男性。スキー滑走中に転倒し、ストックのストラップに右母指が引っかかり受傷した。来所時右母指に疼痛、腫脹がみられた。最も困難な動作はどれか。
1.キーボードを叩く。
2.鍵を回す。
3.ボールを握る。
4.瓶の蓋を開ける。
傷病名は「母指MP関節尺側側副靭帯断裂」、別名スキーヤーズサム。バスケットボールみたいな大きなボールを使う球技でも発生する。母指外転強制で発生、とか橈側(尺側違うで)動揺性とか、断裂した腱が母指内転筋の下に潜り込んでしまうステナー損傷とか覚えといてな。
子の傷病で一番障害されるのはピンチ力、つまみの能力やねん。そやから答えは2.