【勝手に電波少年企画〜フェスティバル前半のメルヘン世界は???〜一文無しからBoom Festival へ向けて。そして片想いの先輩も探す旅!12】
私は。
自由に遊びながら、楽しいな、凄いな。このキラキラメルヘン王国。
とメインダンステンプルへ。
音が凄い。
嬉しくなって、中へ中へ。
物凄い人である。
音は凄く良い!
最高に複雑で難しいのにキラキラと美しい音たち。
でも。
何かが違った。
全然、みんな音を聞いていない、しかも、その聞いていない人数が桁外れの人数。
そんな難しい環境に思えた。
みんな、呑んだり、話したり、移動してばかり。
音楽がBGMにしかなっていない感じで。
こんなに最高に難しくて面白い音楽なのに!と。
私が音に集中しようとすればするほど、私の前を通り過ぎる、普通に歩く人が絶えない。
なんなんだ。ここは。
私が想像していたヨーロッパのパーティーの雰囲気とは異なった。
私は。
ヨーロッパのトランスパーティーなら。
もっと。トランスミュージック好きでトランスミュージックを聞きにきている、そんな人が多いのかと思っていたが否。
印象は一変。
縦乗り、腰振り観光客的インド人のヨーロピアン若者バージョンである。
これは。
ゴア以上に別の意味でハードであった。
フェスティバル2日目ともあり、とち狂った、ぶっ飛んだ面白い人も少なく。
なんというか。小綺麗でお洒落を楽しみにきている若者たち。
そんな印象で。
私が1人でニコニコ楽しみすぎているんではないか?という疎外感も一瞬感じた。
なんだこれは。
思っていたダンスフロアのイメージと違い。
少し疲れた感じで、私はダンスフロアを出た。
すると。
出入り口のところにいた車椅子の男性が、何も言わず笑顔で私の肩をポンっと叩いてくれた。
私は笑顔で車椅子の男性に挨拶をした。
人がギュウギュウで立ち止まることができず流れに乗ってその場を去ってしまったのだが。
凄く元気が出た。
もしかすると。
その車椅子の男性は。
このダンスに集中していない芋洗いダンスフロアで。
四苦八苦している私を見て、肩を叩いてくれたのかもしれない。
そう。
スポーツの試合で選手交代や休憩の時に声をかけてくれるチームメイトみたいな。
そんな風に私は感じた。
そして、私は一晩中踊るのではなく。
自分がワクワク楽しめる場所の選択を無意識にして。
森やアートの探検を楽しんだ。
セキュリティの目を盗む緊張感もまた、
サバイバルゲームらしくワクワクする。
そしてテントに戻り夜明け前に就寝。
だが。寒い。
物凄い寒かった。
私はフリース1枚にタンクトップ、ショートパンツにニーソックスのメディキュット。
防寒具も荷物も何も無いテントの中は物凄く寒く、寝付くのに時間がかかった。
翌朝。といっても、昼前。起床。
荷物を預けたフランス人のルイもフェスティバル終了までに探さなきゃいけない。
iPhoneの充電は残りわずか。
レストランエリアの端に、携帯充電用の電源スペースはあるのだが、いつもどの時間帯も混雑している。
更に。
少しでも目を離すと、自分の携帯が抜かれ、他の携帯が充電されていて全く自分の携帯が充電されてない始末。
そう。薄っすらと感じていたのだが。
フェスティバル内の観客人数も多いが。
マナーが悪い人が多い気がする。
それも。ドラックで、とっ散らかってマナーが悪いのではない。
柄が悪いというか。
なんというか。
現代用語なら。
DQN(ドキュンとカタカナで打ち込むとDQNと自動変換される驚き)な者が多い気がした。
細かい他者に対する配慮とマナーが無い者が多い。
そんな感じ。
それでも。
笑顔で親切な車椅子の男性のような人々も点在していた。
そう。
私が若い頃にクラブという場所が苦手と感じていた理由そのものが現れたような現象だった。
20代の頃は。
みんな、お酒などでハメを外してしまい。
柄の悪いDQNみたいになってしまうのかと思っていた。
が。
その後の気づきとして。
柄の悪いヤンキーみたいな人間は、お酒やドラックに関係はなく柄が悪い。
マナー感覚の良い人は、お酒を飲んでも、ドラックを摂取しても、
マナー感覚が良いのだ。
定職についていなくても根っから礼儀正しいもいれば
役所や病院、大企業、などに勤めていても仮面を剥がせば礼儀が正しくない人もいる。
そんな感じ。
ゴアで3ヶ月踊りほおけ、道売りやヒッチハイクの旅を繰り返すうちに私の世界線に現れたロジック。
なのだが。
そうではない世界線で生きている人々も世の中には沢山いる。
眼に見える
肩書きや職業、服装や趣味趣向
で
瞬時に相手をジャッジして、その無意識の色眼鏡で相手と接する。
本来、人類は。
ZOO。僕たちはこの街じゃ、夜ふかしの好きなフクロウ。
本当の気持ち隠してるカメレオン、、、、、
な多種多様な生物の集まりであるのに。
「人間」
と一括りにまとめられてしまっているので。
きっと仕方のない防衛手段が、色眼鏡で相手を判断して接する行為なのだろうけれど。
私は。10代はパンクキッズ。
ライブハウスで、時に熱狂する人の上にダイブしたり、ゴチャゴチャになりながら音楽を楽しんだ。
高校を卒業し、何故か初めて行ったクラブは2丁目のレズビアンナイト。
音楽はトランスミュージック。
耳もまだ敏感ではなかったので。
なんなんだろう?この、音楽を堪えながら聴く感じ。
一所懸命な部活みたい。
と。理解出来ず。
その後の謎のチークタイムで知らない女の子と、セクシャルな雰囲気で手を繋いでお喋り。
大学生になってからは。
インドに没頭し、日本では山奥で開催されるヒッピー祭りに好んでヒッチハイクで参加していた。
音楽は野外ライブ。
私がよく行っていたヒッピー祭りでは、トランスミュージックエリアは無かった。
今となっては、ゴリゴリのトランスミュージックとヒッピー祭りは分かれてしまっているが。
その昔は、ゴアギルも日本のヒッピー祭りでプレイしていたという。
私がトランスミュージックやハウス、テクノを楽しむようになったのは20代後半。
日本の野外パーティーを初めて経験。
感動的に楽しかったのだ。
音も。人も。
私が旅の友人に誘われて日本で初めて行ったレイヴパーティーは「Labyrinth」
本当にマナーの良い大人たちが楽しんでいる感じだったので心置きなく楽しめた。
柄の悪さは無く。
変人ぽさは物凄い。
そう。マナーの良い、音楽を楽しむ大人が多いパーティーでは。
自然と集団催眠だか、意識なのか。
その空間もマナーの良い、互いに互いの世界を邪魔しない、共存しながら自分の世界を楽しむ。
そんな空間が仕上がる。
なので。
まず。ゴアでは驚いた。
マナーがどうこうではない。
無法地帯。
しかし。
最終的にその無法地帯、サバイバルパーティータウンが刺激的で感動的で面白い世界だと思うようになる。
自分の身は自分で護る。
それは。
インドという土地柄。
インド人や外国人の観光客。
ドラックを摂取する者、しない者。
パーティーピーポーと普通に生活してる人。
そんな、ごちゃ混ぜ一色単な空間が、街規模で続いているからこその。
面白い無法地帯パーティーサバンナだと思っていたのだ。
なので。
ヨーロッパのトランスパーティーなら。
日本のトランスパーティーよりも規模が大きくて、日本のトランスパーティーみたいに、音楽好きな変態大人たちが楽しむ心地よい安全な空間が繰り広げられていると、想像していた。
現実は、かなり異なる空間であった。
ゴアの様に年がら年中、ぶっ飛んだ変人がウヨウヨしている訳ではなく。
フェスティバル初日から数日は。
一般社会からバカンスでやってきた者たちが、
酔っ払って、馬鹿騒ぎをしている。
そんな雰囲気に感じた。
音も音響も最高なのに、良い環境、良いバイブレーションを見つける、
または保つのが大変。
私は私の空間と音とパーティーを楽しみたかったので。
この状況でどう、自分を上げていくか。今日は何して遊ぼう。と。
そんな事にだけを考えた。
L神S様Dも欲しいので、誰かに会わなくてはならない。
しかし、それらに関しては。
欲しいタイミングで、自分に必要なタイミングで出会えるので全く問題はなかった。
テントを出ると、A君。
ゴアで会ってダラムサラでも会った。
が。
私は何故かゴア以降、日本人とつるむ。事が出来なかった。
一文無しの大荷物。
そんな自分の状態もあり、日本人と一緒にいたら、必ず、何か気を遣わせ助けてくれてしまうから。
そんな遠慮もあり。
または。ひとり旅好きの性格か。
無意識で近寄れなかったのかもしれない。
A君も素性は謎だが。
ヨーロッパやオーストラリア、ゴアとトランスパーティーを楽しんでいる人間。
「A君だ!わーお!おはよー!」
「キーちゃん!久しぶり!よく来たな。チケット買えたん?テントそこなんや。近いな。」
「いやー。チケットはやっぱり買えなくて。裏山から入ってきたの!しかも、荷物多いからヒッチハイクの友達に託して中に入れてもらったんだけど、まだ見つからないんだよね!笑」
「なんや、結構、危険なことしてんなぁ。腕、隠しとき。」
と。
驚き笑う感じのA君。
彼は、ブームフェスティバルの前から他のフェスティバルに参加していた様子で。
既に。調子は仕上がっているのだと思った。
私はA君と別れ、自分の世界に戻った。
また、絵画ギャラリーへ。
毎日。
好きな時間に好きなだけ、ギャラリーで絵が見られるのは幸せだった。
私もいつか、トランスミュージックの音でライブペインティングがしたい!
そんな風に思い始めていた。