08【ポカラOn The Roadトンチンカンな異文化コミュニケーション】
ゴアのダンスパーティーで一文無しになった私は、
ポカラの路上で、毎日絵を売って生活を営んでいた。
昔々…。
front of 'ONECE UPON A TIME RESTURANT'
という名前のお店の前。
隣りで露店を出しているチベタンのおば様は、
いつも商売のアドバイスをくれる。
「外国人が来た時だけナマステーと挨拶をしなさい。インド人、ネパール人は買わないから沢山話さなくていいんだから。」
とか。
「あんたはお客さんが見てるのに絵ばっかり描いて!もっと絵の説明、話しをしなさい!」
と、喝を入れられたり。
そして時にはクッキーを差し出してくれたり。
その日も路上で絵を描きながら販売していた。
ある日のこと。
リー君という中国のダーリーとチベットのラサに住んでいて、
漆芸をしているという男の子が興味津々に話し掛けてくれた。
いはゆる現代ヒッピー風チャイニーズボーイだろうか。
リー君は1人旅らしいけれど、中国人らしく男女のグループでわらわら。
その中のヒトリの男の子はアノニマスのTシャツをまとっていた。
私は露店の前、レストランの前に人がたまってしまうのが、やや気になっていた。
リー君は英語が喋れない様子。
私より喋れない気もする。
私たちはスマートフォンの翻訳ソフトとジェスチャーで会話をはじめた。
翻訳アプリケーションのフォントは、何故かラブリーな丸文字ハートで。
ちょっとした韓流ドラマ風な設定。
しばらくすると。
バンコクに住んでいるという日本お茶の水博士みたいな初老の男性来訪。
お茶の水博士は、リー君にお構い無しで日本の話をマシンガントーク開始。
私は、リトル聖徳太子気分で一所懸命2人と同時に会話を試みようとした。
リー君は君と一緒にインドを旅したい。
と言いだすし。
お茶の水博士は、勿論のこと日本人なのですが。
如何せん、お茶の水博士風なので、
リー君よりはお歳をめしていて耳が遠いのか。私の声が小さかったのか。
何度も「えエっ?」と、聞き返され会話は全く進まず。
そんな、てんやわんやな中に隣り露店をしているチベタンのおば様の登場。
「この子はね、ひとりで来てるから日本人と話すと嬉しいのよ。」
とリー君に英語で話し。
「ハロー!ノーマネー!私たちチベタンは国を追われて、レイプもされて大変なの!だからこうやってお店出してるのよ!」
と日本人のお茶の水博士に詰め寄りパワフル全開である。
チベタンのおば様は気を利かせて、
若い者は若い者同士…。
なんて思った上での計らいだったのか。
民族、ジェネレーション、
様々な関係が色々と入り乱れた
かなりトンチンカンな異文化交流だった。
毎日。
多民族、多文化、交流。を楽しみながらの露店生活は飽きない商い。