未来のサウンド:HARDWAVEとHARDWAVE2の世界
はじめに
HARDWAVEという音楽ジャンルをご存知でしょうか?エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の一種であるHARDWAVEは、最近急速に注目を集めています。その理由は、TrapやWave、TranceやDubstep、Hardstyleなどの多様な要素を融合させた独自のサウンドにあります。本記事では、HARDWAVEとその進化形であるHARDWAVE2について詳しく解説し、日本におけるシーンの現状や代表的なアーティスト、そしてサンプルパックによるシーンの活性化までを網羅します。
HARDWAVEとは何か?
HARDWAVEは、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの中でも特に個性的なサウンドを持つジャンルです。このジャンルは、重厚なベースラインや多層的なシンセサイザーの使用、そしてダークでアンビエントな雰囲気が特徴です。HARDWAVEの楽曲は、リスナーを非現実的で幻想的な音の世界に引き込む力を持っています。
HARDWAVE2の登場と再定義
HARDWAVEの進化形として登場したのがHARDWAVE2です。HARDWAVE2は、オリジナルのHARDWAVEの要素をさらに発展させ、より詳細に細分化されたジャンルです。この新しいジャンルは、Altered Soulをはじめとしたアーティストによって広められています。Altered Soulは、Twitterで「VirtuosoみたいなHardwaveが1番好きかも」というツイートに対し、「I feel u on this, we need to make a hardwave subgenre for that more trance style. I was thinking of naming it hardwave 2 and i got few ppl to agree on this already」とリプライし、HARDWAVE2のアイデアを紹介しました。
https://x.com/thealtered_soul/status/1756882572838121952
また、Altered Soulは「Made a HARDWAVE 2 playlist on spotify, only the best and headbanging material !!!」とツイートし、このとき公開されたプレイリスト「THIS IS A STATE OF HARDWAVE」を通じて、HARDWAVE2の音楽を広めました。
HARDWAVE2の特徴
HARDWAVE2の音楽は、以下のような特徴を持っています。
重厚かつ複雑なベースライン: HARDWAVEよりもさらに重厚で複雑なベースライン場合があります。リースベースの使用は、HARDWAVE2の象徴的な要素となっています。
多層的なシンセサイザーの使用: シンセサイザーのレイヤリングが多く、よりリッチでディープなサウンドを作り出します。
ジャンルの融合: トランス、ダブステップ、ハードスタイル、HYPERTRANCE、NEOTRANCEなど、さまざまなジャンルの要素を取り入れたハイブリッドなサウンド。
リースベースの使用: リースベースは、重厚でダイナミックなサウンドを生み出し、HARDWAVE2の象徴的な要素となっています。
TRANCE風の要素: HARDWAVE2は、もっとTRANCE風のHARDWAVEサブジャンルであり、lonown x Sace - Virtuosoのようなトラックがその代表例です。
HARDWAVEとNEOTRANCEの関連性
HARDWAVEとNEOTRANCEは、いくつかの共通要素を持っています。特にリースベースの使用やTRANCEのサウンドがそれらの共通点です。NEOTRANCEは、Virtual Selfによって広められたジャンルで、HARDWAVEと同様に複雑なベースラインとシンセサイザーの多層的な使用が特徴です。このため、NEOTRANCEの影響を受けたHARDWAVEトラックが増えてきています。
TENEKIの役割と貢献
TENEKIは、NEOTRANCEやNEOTRANCEの要素を含むHARDWAVEを作ることで、このシーンに大きく貢献しています。彼はVirtual Self後のNEOTRANCEシーンにおいて重要な役割を果たしており、その影響力は広範です。TENEKIによってリリースされた「Lost Audio x Teneki - Hardwave Essentials Vol.1」は、HARDWAVEのシーンにおいて非常に重要なサンプルパックであり、多くのプロデューサーに利用されています。
さらに、TENEKIはInterval Audioから「NEO SUBCULTURE」シリーズというコンピレーションアルバムをリリースしており、NEOTRANCEとHARDWAVEの融合を推進しています。このシリーズには、HARDWAVE2の要素を含む楽曲が数多く収録されており、シーンの発展に寄与しています。
NEO SUBCULTUREの世界観
NEO SUBCULTUREシリーズには独自の世界観が存在します。下記のリンクから楽しむことができます。
HARDWAVEのインターネットでの広がり
HARDWAVEは主にSoundCloudで盛り上がっているジャンルです。多くのアーティストが自らの楽曲をSoundCloudにアップロードし、コミュニティ内でシェアしています。また、YouTubeでもDJミックスやHARDWAVEを複数収録した長編の動画が人気で、それなりに再生されています。こうしたプラットフォームの存在が、HARDWAVEシーンの成長を後押ししています。ファンはSpotifyやSoundCloudで再生リストを作り、楽曲を管理することが多く、これもまたシーンの拡大に寄与しています。
日本におけるHARDWAVE
日本では、wavformeからHARDWAVEのコンピレーションアルバムがリリースされています。特に「Intensity -HARDWAVE Compilation-」や「Intensity 2」は、HARDWAVEシーンを代表する作品として知られています。wavformeは「Intensity 2」において、Trapをベースにし、WaveがTranceやDubstep、Hardstyleなどの要素が融合したハイブリッドジャンルとしてHARDWAVEを説明しています。
https://www.youtube.com/watch?v=y7KA7lYRaP0
BeatmaniaIIDXとHARDWAVE
日本の音楽ゲームであるBeatmaniaIIDXには、HARDWAVEの楽曲が収録されています。特にYuta Imaiの「THE TIME MACHINE」がその代表例です。この楽曲には、HARDWAVEの特徴であるリースベースが効果的に使用されています。
クラブイベントDignision
日本にはHARDWAVEをテーマにしたクラブイベント「Dignision」が存在し、定期的に開催されています。このイベントは、ELVONやDJ86KTが運営し、デザイナー兼カメラマンとしてimadonも活動に参加しています。Dignisionでは、ステッカーやTシャツなどのグッズも販売されており、イベント参加者に人気です。
Dignisionは、参加者のDJに技術共有の場を提供し、彼らのDJ技術の向上を促進しています。これにより、イベントに参加するDJたちは技術的な成長を遂げ、シーン全体のレベルアップに貢献しています。過去のイベントでは、国内随一のwaveプロデューサーcrp.やTRANCE系で有名なアーティストであるNhato、DJ Noriken、crayvxnそして、海外アーティストでは、HARDWAVEで有名なBafuやJucheの来日出演や、HYPERTRANCEの始祖であるnuphoryがバーチャル出演するなど、多くのファンを魅了しています。こうしたイベントは、日本のHARDWAVEシーンの活性化に大きく寄与しています。
https://x.com/roxwindy/status/1584141854752223233
https://club-mogra.jp/2023/07/30/4993/
日本のDiscordサーバー
日本でもwave musicをテーマとしたDiscordサーバーが存在しており、楽曲の紹介や作曲の技術的なこと、DJの繋げ方についての議論が行われています。このコミュニティは、日本のHARDWAVEシーンの活性化に大きく寄与しています。メンバー同士が知識を共有し合い、新しいアイデアや技術を学ぶ場として機能しています。
サンプルパックとシーンの活性化
HARDWAVEシーンの成長は、サンプルパックメーカーからの支持によっても証明されています。SubplexやGhostHackなどのメーカーからもHARDWAVE向けのサンプルパックが発売されており、このことからHARDWAVEというジャンルが成長しつつあることがわかります。
TENEKIはVirtual SelfやNEOTRANCEをインスパイアしたサンプルパックをLost Audioからリリースしており、特に「Virtual - Neo-trance Sample Pack」と「Eon Premium Collection」です。
また、「Hardwave Essentials Vol.1」は、HARDWAVEに特化したサンプルパックもリリースしています。
Altered Soulも「Altered Soul's Free Pack Vol.1」を無料で公開しており、トランス、ハードウェーブ、ネオトランス、ハッピーハードコア/ブレイクコアなどの複合ジャンルの制作に役立つ素材を提供しています。また、MelodinumbraやKENØKもサンプルやプリセットパックを配布し、HARDWAVEシーンを盛り上げています。
他にも、LonownやOsiasといった大手アーティストがサンプルパックをリリースしており、シーンの活性化に寄与しています。
また、KENØKによる「FREE HARDWAVE SERUM PRESETS」やMelodinumbraの「HARDWAVELIKER (100 Free Serum Presets)」および「Very cursed samples (Free to Use)」などが無料で公開されており、新規の作曲家たちの助けとなっています。Serumはベースに強いソフトウェアシンセサイザーのプラグインであり、HARDWAVEでは多く用いられています。Serumはセールを行わないため、個人的にはRent to ownのオプションをおすすめします。
また、YouTubeにおいては、楽曲制作のチュートリアル動画が多く存在し、簡単にHARDWAVEに関する情報を学習することができます。
結論
HARDWAVEおよびその進化形であるHARDWAVE2は、エレクトロニック・ダンス・ミュージックの中でも特に独自のサウンドを持つジャンルとして、世界中で注目を集めています。日本においても、多くのアーティストやイベント、コミュニティがこのジャンルの普及と発展に貢献しています。サンプルパックメーカーからの支持や、クラブイベント、音楽ゲームでの採用など、さまざまな形でHARDWAVEシーンが成長しています。
これからもHARDWAVEとHARDWAVE2は、新しいアーティストや楽曲、イベントを通じて進化し続け、多くのリスナーを魅了するでしょう。この記事を通じて、HARDWAVEの魅力やその多様な側面について知っていただけたなら幸いです。
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