【遊戯王】202410環境デッキの詳細
お久しぶりです。
1.緒言
はい。
最近、全ッ然遊戯王してません。
9月に発売した「ホロカ」が楽しすぎて、
最近はそればっかりやってたんですが…
あー日本選手権…もうそんな時期か…。
さすがにやんなきゃな…ってなことで。
本記事で筆者と一緒に完全無知から環境デッキを勉強していきましょう。
ホントは202407環境の記事も書いてたんですが、ホロカに熱中してしまって気付けばシーズンが終わってたのでお蔵入りにしました。
すいません。
毎度のことながら文章量が多いので全部読むのはお勧めしません。今回はサイドカードとか環境の変遷とかを割愛したので3万字くらいしかなく、本当の本当にエアプの記事で内容も薄っぺらいです。今回ばかりはマジで、参考資料を見ることを本当に、本ッ当に、推奨します。
緒言と結言は敬語体で書いてますが、本文は常語体で書いてます、失礼。
2.【ライゼオル】
【ライゼオル】は手数の多さと汎用性の高いエクシーズモンスター群によって、202410環境のトップメタとなったデッキである。
2.1.【ライゼオル】の特徴
【ライゼオル】の最大の特徴はギミック内の下級モンスターほぼ全てを初動兼貫通札として使用出来ることである。4種の下級モンスターは全てが手札から特殊召喚可能なうえサーチ・リクルート・蘇生効果を有する。この破格の性能を持つカード群により、召喚権の重複による手札の浮きや初動への妨害による展開中止等の事象が起こり難いのがデッキの強みである。
エースモンスターである《デッドネーダー》はレベル4モンスター2体という緩い条件で1ターンに複数回発動可能な妨害効果を成立させる優秀なモンスターである。こういったモンスターは《無限泡影》等で無力化することが多いのだが、後述する《プラグイン》や《アグリゲーター》等の存在から妨害効果をアクティブな状態で維持し易く、手数による解答を相手に押し付けるアドバンテージの手堅さがある。
その他にも《クロス》によるチェーンブロックを介さない無効や、ランク4故に《バグースカ》等の存在から《G》の受け方に選択肢があるのも強みである。特に、下級モンスター以外の不純物の割合が少ないながら上記の特徴からスロットを空けることが容易であり、それにより誘発を沢山デッキに入れることが出来ることによって、妨害を受けて展開が止まった場面でも妨害の数を減らさずにターンを返せるという強みがある。
誘発が多いことで後攻でも強気に戦えるのだが、後手の捲り性能が優秀なデッキでもある。上述した《デッドネーダー》《クロス》が妨害を踏みつつこちらの展開指針として後手捲りに貢献するうえ、代表的なところだと《エクス》の特殊召喚コストで《アグリゲーター》を落として盤面の妨害に対し非常に低い損失で切り込みに行ける強みがある。
2.2.【ライゼオル】の動き
参考資料からの引用だが、【ライゼオル】は展開に全ツッパするデッキではなく《デッドネーダー》を出して後ろや手札に汎用札とリソースを抱えてゲームするデッキという認識が重要である。通説として、展開を上乗せしたところで《デッドネーダー》単騎と比べそこまで盤面は強くならず、捲り札等の受けもあまり変わらないと言われている。
【ライゼオル】は多くの展開でリソースが残らないという弱点があるため「《鏃》《拮抗》で捲られて次の攻め手がない」という負け筋を考えると、【ライゼオル】の正しい戦い方は「先行展開で盤面を制圧する」ではなく「手札のリソースを切らさずに汎用カードと《デッドネーダー》で戦う」という理解が重要である。
以上を踏まえたうえで、まず【ライゼオル】が発売した当初に流行した展開から見ていく。初動は《アイス》1枚から。
これで以下4つの妨害がアクティブになる。
(1)《デュオドライブ》の打点現象
(2)《デッドネーダー》の3素材分の破壊
(3)《クロス》のモンスター効果無効
(4)《深淵》の墓地効果封じ
この展開の優秀な点は、相手の手札誘発を2素材の《デッドネーダー》や《バグースカ》の着地で簡単に受けられることである。しかしながら、前述の通りリソースが残らないことで後攻の捲り札に対する受け及び盤面を返されたときに、次ターンの攻め手の不足が敗因になる可能性がある。
メタの研究が進んだシーズン中盤、《鏃》《拮抗》等のカードが流行したことで上記の展開ルートは以下の変化を辿ることになる。分岐点は《エクス》で落とすカード。
《鏃》や《泡影》《拮抗》に対する受けとして《プラグイン》を準備しておくことで、《デッドネーダー》を自壊からアクティブな状態で蘇生出来る。下級モンスターを1枚場に余らせておくことで、《プラグイン》でデッキ内の《ホールスラスター》をX素材を介し墓地送りして《バグースカ》等の相手ターンX召喚を狙える。
自ターンに《クロス》を使わずに墓地に《ソード》を残しておけば、《プラグイン》で蘇生した際に次ターン用の《エクス》をサーチし、【ライゼオル】にとって重要な後続の確保も可能である。この後続の確保手段が広まることで、シーズンが進むにつれて《アグリゲーター》を2枚採用する構築が増えた印象である。
ところが、この展開をメイン戦の先攻で行った場合、相手ターン《プラグイン》にチェーンして《墓穴》を撃たれるリスクがある。そのため相手の手札誘発の吐き方、及び自分の手札の後続の有無で以下のルートへ変化する。分岐点は《デュオドライブ》の効果で取り除くX素材。
これで《墓穴》を重く受けない盤面を作りつつ、相手ターンにラグ無しで《深淵》《バグースカ》の着地が可能となる。この展開単体では《プラグイン》から《ソード》を蘇生していないので後続の攻め手がない点に注意が必要である。手札に《アイス》《ソード》等がある状態で狙いたい。
では最初に記載した《デュオドライブ》《デッドネーダー》《深淵》の展開は使わないのかというと、どちらかというとエクシーズモンスターを3体横並びする動きが後攻でのライフカットの基本となる。《ホープレイランサー》の存在から《プラグイン》で《ホールスラスター》を墓地に送ってバトルフェイズにX召喚することでキルのハードルを下げる等のテクニックも存在する。
展開の分岐についてだが、上記を1つの例として《エクス》で《アグリゲーター》でなく《双仔》を落としたり、《デュオドライブ》より先に《デッドネーダー》をX召喚したり、《ティフォン》を警戒して《デュオドライブ》のあとに《デッドネーダー》を立てなかったり、様々な分岐が存在する。《障壁》の受けだったり2枚展開の入り方だったり、そういった部分の考え方・見極めや各種テクニックについては参考資料に詳しい記載があるのでそちらを読んで欲しい。
2.3.【ライゼオル】の構築
《クロス》《プラグイン》《墓穴》《抹殺》《金謙》《ホールスラスター》といったカードがスロットを埋めるが、それ以外のデッキの16枚前後を初動兼貫通札として使用でき、残りの17枚前後を手札誘発等の汎用カードにすることが出来る。そのため環境に合わせて臨機応変に対応することも可能な順応性、及びサイドプランの選択肢の幅広さを持つ。EXデッキはランク4エクシーズという限定された戦い方の中ではあるものの、メインデッキは単発の妨害を受けながら撃ち込めるバリューの高い汎用札を多く採用するのが主流である。
《七皇》はどの『ライゼオル』下級モンスターをサーチしても初動兼貫通手段として使える有用さがあり、《昇格》でかさ増しすることも珍しくない。特に《デスサイズ》のサーチも可能である点が評価されており、《デッドネーダー》で簡単に《デスサイズを》アクティブに出来るため、サイドゲームでの先攻では非常に強力な選択肢となる。《七皇》を使う場合は《ドロバ》に注意が必要なのと、手札が減るカードである点に注意。手札が減るということは、相手視点で言うと《うらら》があっても《七皇》はスルーして、手札が減ってから《デュオドライブ》を無効にするという選択肢が生まれることにもなる。《アイス》《エクス》に妨害を受けてから《七皇》を使用する等する場合、貫通札として何を警戒するかが重要なので思考を深堀りする意識を持ちたい。
EXデッキについて、ランク4エクシーズの中でもピンポイントなメタで理不尽なゲームを避けたり押し付けたりする選択肢が有力となる。エンドフェイズに《ホールスラスター》で《竜巻竜》を出して《障壁》を破壊するプレイは要確認である。シーズン中盤には《双仔》が登場したことで、火力や後続のリソース性能向上の他、《深淵》や《竜巻竜》といったカードが刺さる対面には理不尽なゲームを押し付け易くなった。
繰り返しになるが【ライゼオル】は「手札のリソースを切らさずに汎用カードと《デッドネーダー》で戦う」ことが指針であるため、手札が【ライゼオル】関連カードで埋まって汎用札を引きたい…という場面の《デュガレス》という選択肢が大きな意味を持つ場面も存在する。とは言え上述した《鏃》等の受けが悪くなることもあって出番は少ない。
《デュガレス》《クロス》といった汎用札を引き込みたい場面のカードだが、展開がある程度通った場面でしか使用できないのも注意である。構築を改めて見てみると妨害に直結する《クロス》《プラグイン》は展開中にサーチすることになるため、ドローで引き込むカードがどうしても《フワロス》や《七皇》となる可能性が高くなりバリューが下がる。それを意識して後続のドローのバリューを上げる構築もなくはないが、入賞率は高くないのでプレイでカバーした方が賢明に思われる。
前シーズンは《フレシア》や《フォトンブラスト》で《デュオドライブ》への《ヴェーラー》《泡影》《うさぎ》をケアする構築も存在したが、《デッドネーダー》を先出しすれば《デュオドライブ》へのそれらのカードはケアできるので、シーズン終盤は減少した。
2.4.【ライゼオル】の裁定
以下は各種覚えておくといい裁定。
『ライゼオル』下級モンスターの手札から特殊召喚する効果はチェーンブロックを作らない。《アイス》《エクス》の特殊召喚効果についてはカードを墓地に送って特殊召喚するため、《裂け目》等の状況下では特殊召喚出来ない。
発動時に何も処理を行わないフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠の「カードの発動」を行った時であっても《デッドネーダー》の②効果は発動可能。ただし②の効果はダメステに発動不可。①と③の効果はダメステでも発動可。
③効果で取り除くX素材は効果処理である。発動宣言した時点では墓地に送られないため、《うさぎ》等で場のX素材が2つ未満になった場合は不発となる。尚、1枚取り除いて1枚サーチは不可。
②の効果は1枚でもデッキ・EXデッキに戻せた場合は1ドロー可能。2枚ともEXデッキでもドローは可能。尚、②の効果はデッキが0枚の時には発動できない。そして③の効果について、チェーンブロックを作らない効果であり、相手が発動したモンスター効果のチェーンブロックの「処理時」に無効化する。効果を発動した相手モンスターに適用する効果で、カードの効果を受けないモンスターの効果処理時や、既に効果が無効化されているモンスターの効果処理時にもXモンスターのX素材を取り除ける。(効果を受けないモンスターの効果は無効化されない)
蘇生処理が出来なかった場合、X素材を入れる処理は行えない。また蘇生やX素材を入れる処理が成功したかに関わらず、《プラグイン》の効果が無効にならなかったのであれば、「自分はランク4のXモンスターでしか攻撃宣言できない」は適応される。
①の効果も②の効果も、場に条件を満たしたモンスターが存在しない場合は発動できない。例えば場にモンスターが存在しないときに《ホールスラスター》の②効果にチェーンして《プラグイン》でXモンスターを蘇生して《ホープレイランサー》をX召喚…の様な事は出来ない。《プラグイン》でXモンスターを蘇生してから、別のチェーンブロックで《ホールスラスター》②効果で《ホープレイランサー》をX召喚は可能。
2.5.【ライゼオル】の対策
まず手札誘発や後手の捲り札1枚で展開が止まる様なデッキは環境に存在しない前提で記載する。
展開を少しでも許せば敗北が確定する…という場面では手札誘発は初動に撃つことになるが、【ライゼオル】は初動と貫通札が非常に豊富なデッキなので有効ではない。「初動で止まればいいな」くらいの思考で手札誘発を撃っている様では勝率が安定しないので、後手のゲームプランをしっかりとイメージして手札誘発を撃つべきである。
多くの場面で勝敗を決定付けるマストカウンターは《デュオドライブ》になる。《デュオドライブ》による《クロス》《プラグイン》等のサーチの有無で盤面の強固さは大きく変わる。対戦相手の練度や引き込み次第だが、《G》《フワロス》といったカードや各種手札誘発が効果的に通ったとしても《デッドネーダー》や《バグースカ》の着地は許す前提でゲームしたい。
【ライゼオル】対面で特に意識したい点として、上述の様に「手札のリソースを切らさずに汎用カードと《デッドネーダー》で戦う」デッキである点が挙げられる。つまり「手札のリソースを切れさせる」「《デッドネーダー》を処理する」という2つのハードルを越えれば勝機が見えてくる。
これは《鏃》《オーバーディレイ》等で《デッドネーダー》を処理しても、手札のリソースを枯らせなければ勝機が薄いことも意味する。例えば後攻のサイドチェンジで《墓穴》を残すことで各種汎用手札誘発の貫通、《デスサイズ》の受けだけでなく《プラグイン》によるリソースの回復を阻止したり、《鏃》と《一滴》を重ねて持っておいて《鏃》の受けに発動された《プラグイン》で蘇生した《ソード》に《一滴》を撃ち込む…等のプレイが求められる。
サイドゲームはデッキの性質上《障壁》が先後問わずとにかく重い。《サモリミ》《神宣》といったカードも有効であるが、先攻時の素引きを要求されるので期待はほとんど出来ない。と言うか、こういった引けたらいいなというカードの選定よりも思考すべきは汎用カードの発動タイミングであり、例えば初手の《フワロス》を見たとき「スタンバイに撃つことで2素材《デッドネーダー》でターンを返された場合の期待値」と「メインに発動して《三戦》で《障壁》をピーピングハンデスされた場合の期待値」等、その後のゲーム展開をイメージした思考をする癖を持つことが、【ライゼオル】対面の1つの対策と言える。
2.6.【ライゼオル】の参考資料
3.【M∀LICE】
【M∀LICE】は除外されることで特殊召喚条件を満たす、L召喚を多用したサイバース族のテーマである。
3.1.【M∀LICE】の特徴
特徴は優秀な展開性能で《櫃》や《闇の誘惑》で下級モンスターを除外することで非常に簡単に爆発力のある展開を可能としている。墓地にリソースを貯める性質も有しているが、それでいて除外によるメタを受け付けない珍しい性質を持つ。
そして最も特異なのは各種『捲り札』に対して非常に受けが良いことである。詳細は後述するが、メインギミックの最終的な盤面は《ネオテンペスト》と《GWC-06》の2枚で完結しており、通常罠1枚から相手ターンに連鎖的な展開をすることで複数の妨害効果を生み出す。最終盤面の妨害が場のモンスターだけでなく魔法罠、墓地、手札等非常に広範囲に存在するため、《鏃》や《拮抗》等の捲り札を1枚貰ったところで妨害が残るという性質を持つ。
《闇の誘惑》《Cheshire》《BINDER》といったカードで展開中にドロー加速が可能な点も優秀で、先攻展開の中で手札誘発や貫通札を引き込みに行けるのも特徴である。除外ギミックを貫通札として使用出来るため『深淵の獣』を無理なく採用できたり、ドローが任意であることから《ドロバ》の併用も可能な点で高く評価される。
勿論サイバース族特有の連鎖的なL召喚も可能で、先攻の大量展開から《アポロウーサ》の先出しで《ニビル》のケアをしたり、後攻のキル手段に《スプラッシュメイジ》から《アクセスコード》を準備したりと、盤面の制圧性能及び後攻のライフカット性能も秀でたデッキである。
あとこれは完全に余談だが、「∀」という文字は全称記号である。「きごう」と入力すれば変換出来るがWindowsやiPhoneなら「すべて」でも変換が可能らしい。
3.2.【M∀LICE】の動き
早速展開を見てみる。《Dormouse》1枚から。
自分ターンの展開はここで終了で、盤面だけならパッとしない様に見えるかもしれないが、相手のターンに《GWC-06》を発動して展開することで妨害数を膨らませることが可能。
(1)《ネオテンペスト》で墓地送りした《ディセーブルム》の魔法罠無効
(2)相手ターン《ネオテンペスト》の墓地送りによる《アグリゲーター》《バックピット》《コードオブソウル》による動作
(3)《GWC-06》で蘇生した《BINDER》の効果で相手の墓地のカードを除外
(4)《GWC-06》で蘇生した《BINDER》で除外した《CRYPTER》の除外効果
(5)《GWC-06》で蘇生した《BINDER》で除外した《RANSOM》の効果で除外した《Rabbit》で伏せる《MTP-07》による除外効果
これに加えて、《BINDER》と《Cheshire》のドローにより潤沢になった手札から撃てる手札誘発も妨害手段である。
上述した展開の場合は《ニビル》を重く貰うのだが、ある条件が整えば《アポロウーサ》を立てることで《ニビル》をケアした展開が可能。
その条件とはニビルのカウントが4回の状態で《デコーダー》と『M∀LICE』下級モンスターを含めて場にリンク数を3稼げることである。ただし《UNDERGROUND》は使わないことと『M∀LICE』下級モンスター1種類は帰還効果を使用していないこと。《Dormouse》《Rabbit》《Cheshire》《櫃》『深淵の獣』等のうち2種類が手札にあれば大体の組み合わせで可能なので、そこまでハードルは高くない。今回は例として《Cheshire》と《ドルイドヴルム》の展開を以下に記載する。
初動に《Dormouse》が絡んだ場合は《UNDERGROUND》での除外を墓地の《RANSOM》に出来るので、リンク数を温存できる。これで《Rabbit》でセットする罠を《TB-11》に出来るのでデッキの不純物を1枚減らせる。そちらの展開は参考資料を参照して欲しい。
3.3.【M∀LICE】の構築
【M∀LICE】は制約がほとんどなく初動枚数も多いのだが、ほぼ全ての手札誘発を貰うため前シーズンはリンク数を伸ばせる貫通札のギミックとして【斬機】や《パラレルエクシード》等を採用することも珍しくなかった。が、昨今のゲームは先攻展開を許すと貫通札のギミックだけでは後攻のゲームを捲れないため、トーナメントで結果を残す構築は、ギミックを増やさずパワーの高い汎用札をデッキに多く積む形が主流である。
《ドロバ》がメインデッキに採用されるケースも珍しくない。これは【ライゼオル】等の後続を途切れさせる手札誘発としての機能だけでなく、《G》等のドロー系誘発の受けにも使用出来ることが理由である。上述した《Dormouse》の展開の場合の例が以下。
とは言え【M∀LICE】というデッキは性質上サイドゲームから《ロンギ》に対して非常に弱いことで《墓穴》をサイドアウト出来ないデッキである。そのため《ドロバ》は最終的にサイドアウトの枠として候補になり易いので、メインデッキに入れる構築は偏ったトーナメントでない限り難しい印象である。
《リトルナイト》《リザルドーズ》は自分の墓地のモンスターを除外する用途で使用される。その性質上『M∀LICE』下級モンスターを通常召喚した展開で使用されることがほとんどだが、普通は《櫃》《闇の誘惑》といった貫通札がある場合は上述したニビルケア展開に入るため貫通札が無いことを相手に伝えてしまい易いカードでもある。これらのカードの真価は《櫃》《闇の誘惑》からの展開中に妨害を受けたあと、《Rabbit》で伏せた《TB-11》で特殊召喚したモンスターを即墓地に送りつつ帰還できることにある。
一応、《リトルナイト》と違い《リザルドーズ》は《ヴェーラー》《泡影》で無効化されない…と言われるが、どのみちリンク3でそれらは貰うことになるので使い分けの基準はそのままの意味ではない。先攻展開で《ヴェーラー》《泡影》を撃たれるとき、《リザルドーズ》の場合はリンク3のL召喚までは繋がった以降に撃たれて《RANSOM》が棒立ちとなる可能性がある。それに対し《リトルナイト》の場合はリンク3の前に《リトルナイト》に撃たれれば《リトルナイト》の1妨害を場に残せる可能性があるので、そういった考えから「先攻では《リトルナイト》後攻では《リザルドーズ》」の様な使い分けの意識となる。
他にも《イヴリース》を採用して《ニビル》《泡影》をケアしつつ、相手の後攻1ターン目の動きを非常に制限することでイージーウィンを狙う構築もあれば、《通告》等のカードをメインデッキに多く採用してドロー系誘発を撃たれたときの妥協盤面や《ロンギ》の受け等を狙う罠型の構築も存在した。《ロンギ》の受けで言うならシーズン中期以降は《テンプレートスキッパー》の採用も見られた。
3.4.【M∀LICE】の裁定
以下は各種覚えておくといい裁定。
《Dormouse》の①効果で「M∀LICE」モンスターの攻撃力が600アップしているターンに《CRYPTER》が③効果で帰還した場合、攻撃力は5600になる。帰還さえしてしまえば攻撃力の上昇は《泡影》や《スキドレ》で無効にならない。ちなみにバトルフェイズに既に攻撃した《CRYPTER》が1効果で自身を除外し②効果で帰還した場合そのまま攻撃出来るので、《Dormouse》の①効果下で単体8700のライフカット手段として選択肢を持っておくこと。
《UNDERGROUND》の③効果が適応されている状態では、直接攻撃可能な効果を持つモンスターでも直接攻撃はできない。なので《ナイチンゲール》等の直接攻撃からの《アーゼウス》は《UNDERGROUND》で防げる。
『M∀LICE』罠カードの「このカードは自分フィールドの表側表示の『M∀LICE』モンスター1体を除外し、セットしたターンに発動する事もできる」の「『M∀LICE』モンスター1体を除外」はコストとして扱う。
裁定とは関係ないが、基本的に《ヴェーラー》《泡影》を避ける意味でも『M∀LICE』罠カードはセットし得なので、ブラフも含めて魔法罠を積極的にセットするプレイを意識したい。
尚、伏せたターン以降に『M∀LICE』罠カードを発動する場合、コストとして『M∀LICE』モンスターを除外することはできない。
3.5.【M∀LICE】の対策
まず手札誘発や後手の捲り札1枚で展開が止まる様なデッキは環境に存在しない前提で記載する。
上述の通り【M∀LICE】は後攻の捲り札に対して非常に高い耐性のあるデッキである。そのため手札誘発で展開を阻害して、弱化した展開の盤面を手数で崩すゲームを狙うことになる…のだが、【M∀LICE】の主な妨害である《ネオテンペスト》《GWC-06》は1枚で複数妨害を構えるカードなので、単純に妨害を踏みに行くと手数負けする可能性が高い。そこで《ネオテンペスト》《GWC-06》をアクティブにしないことが非常に重要になる。《うらら》《ヴェーラー》といった手札誘発の発動判断は《ネオテンペスト》《GWC-06》へのアクセスを考え、初動やリンク数を膨らませるカードを止めに行く意識が有効である。
とは言えそんなに都合よく手札誘発を引けていれば苦労しない。メイン戦の後攻のゲームを落とさないためには、《ネオテンペスト》《GWC-06》に対して有効な汎用札をそれぞれ認識しておきたい。《ネオテンペスト》は強力な効果を有する分、《ディセーブルム》を踏んでからの《三戦》のコントロール奪取や《アニマ》で確実に妨害を踏ませる等が狙える。《GWC-06》は《わらし》《墓穴》が有効である他、《一滴》で蘇生した《BINDER》を無効にすることで複数の妨害を防ぐことが出来る意識を持ちたい。サイドゲームで後攻だからと言って《墓穴》を抜くべきかどうか等、しっかりと精査したい。
《ロンギ》は【M∀LICE】の展開を完全にシャットアウトするカードで、【M∀LICE】視点では如何に《ロンギ》を乗り越えるかがサイドゲームの重要なゲームメイクとなる。今シーズンは【ライゼオル】が《七皇》でサーチしたり《号》で《神智》をセットする等のプレイで、引き込めなかった場面でのアクセス手段をサイドゲームから取り入れることが有効だった印象である。
3.6.【M∀LICE】の参考資料
4.【白き森】
【白き森】は『罪宝』『スネークアイ』といったストーリーの流れを組むデッキで、シンクロ召喚を軸にしたテーマでありながら『アザミナ』の融合やリンク召喚を多用出来るデッキである。
4.1.【白き森】の特徴
【白き森】は、自身の効果で特殊召喚可能な下級モンスターの豊富さ、サーチ効果を有するカードの豊富さを武器に、手数の豊富さで各種妨害を貫通する能力に秀でたデッキである。
ここ1,2年の【スネークアイ】等と似た系統のデッキ性質ではあるが、差別化できる内容としてEXデッキ等の上級モンスターのレパートリーが挙げられ、それによる展開の中継地点の多さが特徴である。コンパクトな展開を連続で行う様な展開ルートを辿ることにより、デッキの多様化やドロー系誘発を撃たれたあとの妥協盤面に多くの選択肢を有する点が魅力がある。大量展開で盤面形成することも可能だが、本質はアドリブ性の高い中速のデッキである。
『センチュリオン』『スネークアイ』『デモンスミス』等多くのギミックとの共有が可能なデッキであるが、『白き森』というギミックだけでも非常に高い妨害貫通性能を有する。そのため貫通性能の向上というよりは、初動の弱さのカバーや展開ルートの選択肢を増やすためのギミックの採用が必要となる。
4.2.【白き森】の動き
【白き森】は『スネークアイ』や『デモンスミス』といったギミックの有無で展開が大きく異なるのだが、本記事では割愛して【白き森】の純構築展開を記載する。
まずは《シルヴィ》1枚初動から。
この展開は《シルヴィ》1枚の基本展開ではあるものの、《シルヴィ》を使った展開は同時に引いた様々なカードとの組み合わせで強力な2枚初動となるため上記の展開を行う機会は少ない。「1枚初動で動くことも可能な2枚初動のデッキ」という認識でいるべきである。
以下は2枚初動の例。
この盤面による妨害は以下。
(1)《バロネス》の万能無効
(2)《シルヴィア》の万能無効
(3)《アポロウーサ》のモンスター効果無効2回
(4)《白き森の罪宝》による特殊召喚か融合
(5)《わざわいなり》のシンクロ召喚
融合召喚は《レジーナ》による2枚破壊や《ガーキマ》による盤面破壊とドローが狙える。シンクロ召喚は《シルウィア》を出すことで、相手フィールド上の全モンスターを裏側にする強力な妨害効果となる。【白き森】はギミックの持つ妨害の質も高いため、ドロー系誘発に対して少数のドローで良質の妨害を構える妥協盤面の選択肢が多い。《白き森の罪宝》や《わざわいなり》は妨害だけでなく後続のリソースを確保しやすく、妥協盤面の指針になり易いので【白き森】の明確な強みの1つと言える。
上記の理由もあって、プレイの指針が各種妨害の受け方や初動の入り方に関わる。以下は《泡影》を切り捨てて盤面を強化する展開例で、魔法罠1枚を切り捨てることで誘発の受けや妨害を非常に強力にすることが出来る。頻発する展開ルートなので要確認である。
《聖徒リゼット》か《ルシア》を素引きしている場合は、《ルシエラ》で《ヴェーラー》をサーチすることで妨害を増やすことが可能。他にも展開ルートは多種多様であり、各種手札誘発の受け方を考えて使い分けすることになるのだが、その考え方については参考資料を見て欲しい。
4.3.【白き森】の構築
【白き森】単体の構築の場合は自由枠を多く確保でき、ギミック内では後攻の捲り性能が高いカードが少ないため、手札誘発等の後攻札を万全に採用することが必要である。かといって展開札を削ると貫通力が落ちるので、「先攻でも出番がある、後攻のバリューが高いカード」という難しい基準でカードを選定したい。
例で言うと、先攻でドロー系誘発を受けたあとに弱化した盤面を補強する《ニビル》や、先攻は当然として《リゼット》のコストで墓地に送ることで盤面の妨害を踏める《ルンペル》等、メインデッキに採用されるカードが他のデッキと比べると少し毛色が違う印象である。
環境に分布する『デモンスミス』を採用した多くのデッキでは《セクエンツィア》をリンク素材にする場合《アバオアクゥー》が使われる。【白き森】ではその選択肢に《スプリンド》が選ばれることがあり、『デモンスミス』の展開から《スプリンド》で《アステーリャ》を墓地に送り《レクストメンデ》を融合召喚することで《アステーリャ》を蘇生してギミックの橋渡しに出来る。が、『白き森』のギミックに触れられない場面でも、『デモンスミス』をフル展開して《アバオアクゥー》に繋げるだけで十分盤面形成が可能…という意見もあってスロット節約で不採用にすることも少なくない。
4.4.【白き森】の裁定
以下は各種覚えておくといい裁定。
《アステーリャ》の②効果は、カードが墓地に送られた状態でカードの種類を参照する。そのため《トイソルジャー》等がコストで墓地へ送られた場合は発動できない。
発動時に何も処理を行わないフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠の「カードの発動」を行った時であっても《ディアベル》の②効果は発動可能。ただしダメステには発動不可。
《レジーナ》の②効果は「時」の「できる」効果なので、「アザミナ」カードか「罪宝」カードの効果が発動した時、相手がそれにチェーンしてカードの発動が無い場合に限り、直接チェーンして発動できる。
《欺き》の②効果はダメージステップには発動できない。戦闘破壊した際には発動出来ないので、ETEDに戦闘を経由してでライフレースの有利を取ったりは出来ないので注意。
4.5.【白き森】の対策
まず手札誘発や後手の捲り札1枚で展開が止まる様なデッキは環境に存在しない前提で記載する。
【白き森】は1枚初動で動くことも出来るが、手札誘発の受けを考えると2枚初動のデッキとして考えるのが自然である。構築の項で「自由枠を多く確保できる」と記載したが、手数となるカードの割合がメインデッキの中でそこまで多く占めるわけではないので、ギミックのカードを複数枚引き込めない場合は手札誘発の受けもなにも無く《ヴェーラー》等1枚で展開が止まる場面も少なくない。他デッキと比べて順当にじゃんけんの先攻後攻、初手の先攻後攻札のバランスがゲームを左右することになり易いと言える。
【スネークアイ】等の手数で妨害貫通を狙うデッキとしては、純構築の【白き森】における《シルヴィ》は《エクセル》等と比べてあまりに細い初動である。手数のあるデッキではあるもののリソース性能が高いわけではないので、『デモンスミス』等で場・墓地のリソースを展開に繋げる動きにも出来るが、その場合は相手にマストカウンターを教え易いので注意が必要である。
対面を想定した明確な勝ち筋として、環境に分布するほぼ全ての手札誘発を大なり小なり貰うという弱みに注目したい。対面する側の意識、手札誘発を2枚引き込んで的確に撃てれば盤面形成を防げる可能性が高い。
【白き森】視点、各種手札誘発をケアして展開することが可能だが複数の手札誘発を同時にケアして展開するのは難しい。加えて意識外の手札誘発・後攻札を撃たれることがそのまま負け筋になり易いので、対面する側の意識としては《ニビル》をはじめ《ドロバ》《応戦》といったカードの中でも相手の意識外で撃てるカードを選出できれば、それだけで対策になる。
4.6.【白き森】の参考資料
5.【メメント】
【メメント】は『遊☆戯☆王』初期のカードがリメイクされた形のモンスターが多く存在し、《テクトリカ》の存在からそれらを余さず多種採用・使用するデッキである。
5.1.【メメント】の特徴
【メメント】を代表するモンスターである《テクトリカ》は攻守5000という高ステータスに加え、毎ターン緩い条件で墓地の「メメント」モンスターを蘇生するという文句無しのエースカードである。【メメント】というデッキは如何に《テクトリカ》をサポートするかのデッキであると言っても過言ではなく、ギミックが多種多様なカードを採用しなければならないことから展開ルートのアドリブ性を楽しむことが重要なデッキという認識である。
自分フィールドのモンスターを破壊する効果を多く有しているのも特徴であり、その真価はフィールドを経由して山札から各種【メメント】のモンスターを墓地に送ることにある。これにより高速で墓地を肥やして《テクトリカ》の着地、及び強固な盤面の形成を目指す。ギミックの持つ墓地肥やしの速度・勢いが破格であるため《G》《フワロス》というカードに対しても1~3枚程のドローを許せば《テクトリカ》の着地を目指せる誘発受けの良さも特徴である。
《フラクチャーダンス》《クレニアムバースト》といった非常に強力な罠を先攻展開で準備できるのも特徴で、《テクトリカ》のステータスの高さも相まって盤面のリソース・妨害の性能が非常に高いのも魅力である。加えてギミック内のリソースが墓地から循環するのも特徴で、これにより強力なカードを使い切ったあとでも非常に高い盤面を形成し続けられるその継戦能力も特徴である。
5.2.【メメント】の動き
【メメント】は展開のアドリブ性が非常に高いデッキである。一度、以下に1枚初動の展開を4種まとめて記載するので、まずはそれを見て欲しい。
次は《エンウィッチ》初動。
続いて《シーホース》初動。
最後に《ゴブリン》初動。
4種類の展開を並べたが、実戦では素引きしたカードのせいで上記展開を倣えなかったり、《ヴェーラー》《泡影》にチェーンして《ボーンパーティ》等を発動して貫通展開することになったりと、様々な要因でとにかくアドリブ性が求められる。そのため散々長々と展開を記載したものの、それを暗記しても実戦で活かせる場面は少ない。
アドリブの展開の指針は「①1回目の融合⇒②1枚目の融合モンスター⇒③2回目の融合⇒④2枚目の融合モンスター⇒⑤最後に《テクトリカ》」という順番で墓地を肥やして《テクトリカ》に繋げるイメージを持つといい。回し方のポイント等を記載するとかなり長くなるので、とにかく経験値を積むことが大事…くらいに思って欲しい。
【メメント】についてはとにかく数を回すことが重要で、実戦を経てアドリブの考え方を蓄えることがプレイヤーに求められるという認識である。
5.3.【メメント】の構築
上述の通り【メメント】は《テクトリカ》の特殊召喚条件の関係で、ギミック内のモンスターをほぼ全て採用する。初動としての弱さから《カクタス》《ホーンドラゴン》等を不採用にする構築も存在するが、前者はドロー系誘発や《クロウ》等の除外に対する受け等、後者は《G》を受けた後のキルの補助や相手ターンの《ボーンパーティ》のバリュー底上げ等、全ての「メメント」モンスターが代替のない仕事を有しているため、構築がシーズンを通して精査された結果、最終的にトーナメントでの勝ち抜きを狙う場合は全採用が通説となった印象である。
流行のデッキによって最終盤面は多少の変化がある。非常に強力な制圧力と妨害数を誇る《クレニアムバースト》は、【ライゼオル】の《デッドネーダー》や【天盃龍】の《燦幻荘》の前ではほとんど無力なので《フラクチャーダンス》にスイッチしたり、そもそも最終盤面に罠を採用しない場合は「メメント」ギミックの罠カードを採用しない場合もある。
最終盤面に《テクトリカ》さえ出せれば《エンウィッチ》を蘇生して《スリーピィ》から《融合体テクトリカ》で妨害を作れ、最終盤面に《ホーンドラゴン》と《ボーンパーティ》があれば盤面の2面除去も難しくなく、オーバーパワーとなるカードを見極めて構築の時点で削ることで、汎用札や環境のメタを増やした構築に出来る印象である。
【メメント】の強みの1つに速攻魔法のパワーの高さが挙げられることがある。これは単純にバリューの高さもあるが、初動の《ダークソード》《エンウィッチ》等に《ヴェーラー》《泡影》を撃たれたとき、《ボーンパーティ》《フュージョン》でサクリファイスエスケープを狙える意味が大きい。しかしながら対面側の意識として《ヴェーラー》にチェーンされた《ボーンパーティ》は明らかなマストカウンターであり、《うらら》を撃てさえすれば大打撃を狙える。そこで《第収監》は《うらら》を撃たれてもサクリファイスエスケープを成立させることが出来るため、速攻魔法のかさ増しに採用されることが珍しくない。《大収監》を採用する場合は《ゴブリン》の枚数もかさ増しすることが多い。
EXデッキには自由枠が多くあり、サイドゲームで相手の捲り札を止めるための《虚光》や、耐性持ちのモンスター処理の《サロス》、エンウィッチを釣り上げて《アポロウーサ》《アクセス》に繋げる《セレーネ》、妨害の選択肢を増やせる《スタペリア》等、様々な選択肢が存在する。
5.4.【メメント】の裁定
以下は各種覚えておくといい裁定。
各種「メメント」モンスターの場で発動する「自分フィールドのモンスターを破壊する」効果は、破壊した後にそれぞれの固有効果を適応する。そのため《うさぎ》等を撃たれて破壊効果を適応できなかった場合、固有効果も適応されない。
手札・墓地から「メメント」モンスター5種類デッキに戻して自身を特殊召喚するのは効果外テキストなので、効果を拘束する《ネクロバレー》が適応された状態でも墓地の「メメント」モンスターをデッキに戻して墓地の自身を特殊召喚することは可能。
また発動時に何も処理を行わないフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠の「カードの発動」を行った時であっても《テクトリカ》の②効果は発動可能。
《融合体テクトリカ》の「①②の効果は同一チェーン上では発動できない」の記載の通り、F召喚成功時の①効果に対して《ヴェーラー》《泡影》等を撃たれた際に、②効果でサクリファイスエスケープを行うことは出来ない。
《クレニアムバースト》の①効果は、攻撃宣言時に適応された場合でも戦闘の巻き戻しが発生してアクティブになる。また①効果が適応されている状態では直接攻撃可能な効果を持つモンスターでも直接攻撃はできない。なので《ナイチンゲール》等の直接攻撃からの《アーゼウス》は《クレニアムバースト》で防げる。
「攻撃力が一番高いモンスターを攻撃しなければならない」効果について、「攻撃対象に選択できない効果」と「攻撃しなければならない効果」の両方が適用されている場合「攻撃しなければならない効果」が優先される。なので《アストラム》が居る状態でも相手は攻撃力が最も高い「メメント」モンスターに対して攻撃可能である。
5.5.【メメント】の対策
まず手札誘発や後手の捲り札1枚で展開が止まる様なデッキは環境に存在しない前提で記載する。
【メメント】は良くも悪くも召喚権を強く使うデッキである。通常召喚された《ダークソード》に対する《ヴェーラー》《泡影》は《ボーンパーティ》《フュージョン》で避けられる反面、避けられない場合は致命傷になり得る。《エンウィッチ》なら素引きの《シーホース》で《ウラモン》を落とす等して貫通できるが、《シーホース》まで《ヴェーラー》をガメられると致命傷となる。無効系の手札誘発だけでなく《うさぎ》も致命傷になり得るので覚えておきたい。
対面する側の意識、手札誘発を2枚引き込んで的確に撃てれば盤面形成を防げる可能性が高い。仮に引き込めなかった場合、はじめに述べた通り【メメント】盤面の要は《テクトリカ》なのでこれを《泡影》で無効にしたり、《三戦》でコントロール奪取する等することが有効なので汎用札が腐り難いので、それらの後攻での使い方を意識したい。それと【メメント】対面の必須知識として《リトルナイト》の着地が挙げられる。
《リトルナイト》の①効果で《テクトリカ》を対象に取られると《クレニアムバースト》《フラクチャーダンス》のバリューが格段に下がる。加えて《クレニアムバースト》の場合、《リトルナイト》の②効果だけでも《クレニアムバースト》の対象となった《テクトリカ》をエンドフェイズまで除外されるだけで《クレニアムバースト》が無効になり、盤面は大幅に弱化する。一直線に《リトルナイト》を着地する意識を持つだけで、練度が低い【メメント】であれば完封することも狙える。【メメント】はただでさえアドリブ性が高く練度がものを言うデッキなので、つけ入る隙が多い。
5.6.【メメント】の参考資料
6.【原石青眼】
みんな大好き『青眼』である。かっこいい。
6.1.【原石青眼】の特徴
言わずもがな、【青眼】は高ステータスの打点で相手にプレッシャーを与えることを得意とする。大量展開による盤面の制圧なら様々なデッキが得意とするが『青眼』のギミックはそういった戦術ではなく、前シーズンに存在した【粛声】の様に「ぱっと見突破しやすそうで突破できない、しても返しきれない」という強固で堅実な戦い方を得意とする。
元々環境で戦うには攻撃力3000のモンスター1枚では圧倒的に脆弱であり、相性差や環境における立ち位置の優位からシーズン前期にポツポツと使用者が居た程度であった。
そんなとき、環境で戦えるまでに『青眼』のギミックを活かすことになったのが『原石』ギミックである。『原石』はアドバンテージの獲得と妨害性能に長けており、特に《アナザーベリル》は展開の要になる上に毎ターン墓地から帰還するという破格の性能である。後述するが、これによる継戦性能の高さが【原石青眼】の重要な強みになる。
【原石青眼】を知る上で念頭に置きたいのは、強力な先攻展開が可能でありながら『青眼』による堅実な攻めによる長期戦も可能であることである。相手が手札誘発を撃ってこなければシンクロ召喚で強力な盤面を作れるし、相手の手札誘発を警戒するなら適度な妨害と次ターンのリソースを確保した弁面を作れる。【青眼】は古くから使用するプレイヤーが多い故に融通が利かない思考になることが多いが、【原石青眼】はそれらを捨てて柔らかい頭で戦術を見極めてプレイする度量が求められる。
6.2.【原石青眼】の動き
《賢士》1枚による先攻展開を見てみる。
この盤面は以下の妨害を有する。
(1)《究極霊竜》の場で発動した効果の発動無効
(2)《スターダストシフル》の破壊耐性
(3)《スターダストシフル》のモンスター効果無効と追加で場のカードを破壊する効果
(4)《賢士》でサーチした《ヴェーラー》
(5)墓地の《真青眼の究極竜》の対象効果無効
これに加えて《真の光》で後続が確保された形になる。《賢士》でなくとも《乙女》《祈り》でもほとんど同じ展開が可能で、《祈り》から入った場合は《威光》を構える盤面にすることも可能。参考資料に詳細な記載があるが、動きの順番を変えて『深淵の獣』や《うさぎ》をケアして展開する等の工夫が可能。
ケアしたいカードによって展開を流動的に変化させながら使うことがプレイヤーに求められ、こういった点も【粛声】に近い。初動となるカードとプラスアルファの手札を使って、盤面を厚くしたり誘発のケアをすることが【青眼】の展開の基礎となる。
ちなみに、【粛声】の場合は《ロー》等の初動に《泡影》を貰って止まることもあったが、【原石青眼】の場合は《アナザーベリル》が《精霊》のリンク素材になるというだけで誘発の受けが良くなるケースがある。
ギミック外のカードを貫通札として使用出来た流れで、なんてことはなく《霊堂》で追加された召喚権で《ヴェーラー》をチューナーとして使っただけである。しかしもし上記の《ヴェーラー》が《賢士》だったらと考えて欲しい。貫通力が大きく変わることが分かるだろうか?
対面する側立場になると、《アナザーベリル》を通して《穿光》がアクティブになると《泡影》にチェーンして《穿光》を撃たれて《泡影》が無効になるリスクがあり、撃つ選択を押し付けられた形になる。カードの性質自体が手札誘発等の妨害に対して耐性を持つうえ、展開によって誘発をケアできるという強みが、【原石青眼】の動きの基盤となる。
6.3.【原石青眼】の構築
『青眼』のギミックは初動の枚数が10枚前後であり若干少なめで《ピリレイス》等でかさ増しする等の構築も珍しくなく、『原石』のギミックは初動になり易いのでそういった意味でも相性が非常に良い。【青眼】は《青眼の白龍》を採用しなければならない関係で不純物が多いイメージが先行するが、【原石青眼】は『原石』も含めると十分な初動枚数と豊富な自由枠が特徴の構築になる。
結果的な構築を見ると初動枚数が非常に多いデッキになり得る。これにより手札誘発及び後攻の捲り札をメインデッキに多く採用できるのは、【原石青眼】の市場に強力な特徴である。手札誘発について、上述の動きを見ると分かるが《賢士》でサーチ可能なうえ貫通札や《精霊》のリンク素材としても使用出来る《ヴェーラー》をフル投入するのが一般的である。そのため《ヴェーラー》《泡影》との相性が良い《ニビル》等の手札誘発が採用されやすい印象である。
十分な初動枚数と豊富な自由枠という【原石青眼】の特徴に触れたが、逆に言えばトーナメントで実績を残す構築の多くはそこに着地しているため、今後の構築の変化が注目される。
6.4.【原石青眼】の裁定
以下は各種覚えておくといい裁定。
①効果は「時」の「できる」効果なのでチェーン2以降の効果処理で召喚された場合は効果を発動できない。②効果は《裂け目》等の適応下ではモンスターが除外されるだけで「ブルーアイズ」の特殊召喚は出来ない。
《精霊龍》の③効果はシンクロ召喚扱いではないので、シンクロ召喚でしか特殊召喚出来ない《スターダストシフル》等を直接特殊召喚することはできない。上述の様に《赤き竜》を経由して特殊召喚することで、《精霊龍》の③効果で特殊召喚したモンスターのエンドフェイズの破壊から《スターダストシフル》や《銀龍》の破壊耐性で代替するイメージである。
《スターダストシフル》の①効果は強制的に付与される破壊耐性である。そのためこの効果を無視してプレイヤーの任意で1回目の破壊を適応することは出来ない。
発動時に何も処理を行わないフィールド魔法・装備魔法・永続魔法・永続罠の「カードの発動」を行った時であっても《究極霊竜》の②効果は発動可能。
①効果の《青眼の白龍》を選んで確認するのは効果処理である。効果の発動宣言をしてから《青眼の白龍》の数が増減した場合、その増減した数だけ枚数の確認を行う。《青眼の白龍》も破壊するカードも両方対象を取らないので注意。
6.5.【原石青眼】の対策
まず手札誘発や後手の捲り札1枚で展開が止まる様なデッキは環境に存在しない前提で記載する。
まずどこまで行っても【青眼】は《青眼の白龍》等の不純物の素引きは弱みになる。初動や手札誘発の枚数が多いとは言え、引き込んだカードの噛みあいが悪いことでケアしたい妨害をケア出来ず、バランスの悪いゲーム進行になることは避けられない。高いパワーのデッキがぶつかり合った際に、せっかくじゃんけんで勝っても手札誘発ばかりの手札でターンを返し、相手に高い貫通力で後攻にゲーム展開されて負け…なんてことにもなるので、そういった部分でハンデを背負ったデッキである。
【原石青眼】と対面する際の意識として、1枚で崩壊する様なメタカードが非常に少ないことが挙げられる。そのため手札誘発の連打や捲り札からのキルを狙うのではなく、相手側の捲り札手札誘発の多さ故に後続のリソースが目に見える範囲にあることを意識したい。先攻展開が終了した時点で、墓地の《アナザーベリル》と場の《真の光》等が後続のリソースとして確保されることになるが、相手の非公開領域にある手数は手札誘発等の透けやすいカードになる。そのため《鏃》等の捲り札で盤面を返したあと、《真の光》等の後続さえ摘めば返しのターンの展開は大幅な弱化が狙える。目に見える範囲にある後続をしっかりと摘む意識が盤面の捲りと同等かそれ以上に重要になる。
そういった理由から、対策カードとして挙げられるのは《真の光》に対して有効な《うさぎ》や《アナザーベリル》の回収を妨ぐ《わらし》となる。上述した様に《アナザーベリル》等の初動となる下級モンスターに対する《ヴェーラー》《泡影》は【原石青眼】側に撃たされる形になるので、そのバリューに非常にむらがあるのだが、相手の2ターン目となるとバリューに非常に期待出来る。《究極霊竜》等の関係で相手の墓地の《アナザーベリル》に《墓穴》《クロウ》を撃ち辛い場面でも《ヴェーラー》《泡影》が相手の召喚権等に有効となり、浅い知識でサイドアウトすると後悔しかねないので注意が必要である。
6.6.【原石青眼】の参考資料
7.結言
はい。
お読み頂きありがとうございます。
YCSJで活躍した【ラビュリンス】とか未だ現役の【天盃龍】とか【ゴブリンライダー】【クリストロン】【ジェムナイト】等も書きたかったんですが力尽きました。知識ゼロから連休を犠牲にしてここまで書いたんだから大目に見てください。むしろ裁定とか間違ってたら教えてください。
以下、本記事の意義とかの話です。
筆者はべつに環境デッキを読者に使って欲しいなんて思ってませんし、なんなら遊戯王を競技的に取り組む必要すら無いと思ってます。
『環境デッキ』と呼ばれるデッキに「強過ぎる」「つまらない」の様なマイナスの意見を持つ人は、大抵が「敵を知ろう」という意識に欠けて持論を展開しては知った気になっているだけの様に私には映ります。
先日、上のリンクの動画を久々に観る機会があったのですが色々と思うところがありました。あまり正論を説くのは好きではないのですが、自分が勝てない理由を対戦相手や環境のせいにして、都合の悪い現実は自覚しようとしないプレイヤーがまあ多いです。理解さえあれば、普段から対戦しているカードゲームはガラッと見え方が変わります。
この記事を読んで環境デッキを分かった気になってくれれば、対人戦や大会への苦手意識が減ったり、遊戯王に復帰する人の手引になったり、そうゆう助けにならないかなと思って書いてます。
こんな場末記事を拡散する必要はないので、本記事でインスピレーションを受けてくれたらそれを大会とかで発揮してください。そのために無料で書いてます。
みんな、遊戯王してください。
はい。
以上。
まあ私はホロカばっかりしてるんですけどね。
マジで楽しいぞこれ。