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マンゴーの品種と樹勢と早生晩生

どうも、立ち上がるために転ぶ男、放浪するおじさんです。

霜害で大損害を被りましたが、転んでただで起きたのでは損なので、今回は過去の自分へのアンサーを返しておこうと思います。

過去に書いた複数の記事を前提にしているので、説明を大幅に省略している箇所があります。無理に読むものではないです。

結論:すべてはストレスへの感受性なのでは?

マハチャノクの霜害を受けた花穂
ナンドクマイの霜害を受けた花穂
クシュマンの霜害を受けた発蕾初期の花芽
立ておいた金煌と寝かしておいたアーウィン
立てておいた金煌はハウス上部の寒暖差により霜害被害が出た。
寝かせていたアーウィンは霜害を免れ頂芽が花芽になっている。
突如挟まれる謎の表1
突如挟まれる謎の表2
トチ狂ってスターターピストルを乱射する地球のイメージ
ゴールのタイミングではなくスタートのタイミングを合わせるのが大事…かな。
突如挟まれる謎のフローチャート

2024年の越冬は大失敗

天災要素と人災要素の両方ありますが、写真の通り霜害を受けたので今年のマンゴーの収穫は絶望的ですね。

謎の表1:1週間異常に高温、かと思えば1週間異常に低温

親譲りの瞬間湯沸かし器で子供の時からキレ散らかしてばかりいましたが、表1を作っているときはあまりの理不尽さに常時発狂状態でしたね。
阿久根と大口の中間地点にある畑なので、2か所の観測点から2週間分の温度変化を表にしました。暖冬といっても平均的に暖かいのではなく、マンゴーにとって最悪の寒暖差を作ってます。春の訪れを感じさせる陽気で花芽を目覚めさせたところで一気にホワイトクリスマスの絶望を味わわせてますわ。

謎の表2:12月に発蕾、つまり1~2か月前既に休眠開始

頂芽が休眠に入ってすぐに花芽に変わるわけではないので、霜害を受けた花穂花蕾については、12月に既に花芽分化が終わって開花準備に入っていたということです。表2では阿久根の観測点6~12月の平年値と2023年を比較しています。平均で比べると2023年の方が平年より温暖ですが、10~11月の最低気温はちゃんと下がっているので、温度ストレスへの感受性が高い品種は休眠に入ったのだと考えられます。

スタートの決定権は出来るだけ人間が持つ

マンゴーの作型は人それぞれだと思いますが、私の栽培方針としては一貫して「最低限の加温による省エネ栽培」でした。鹿児島の寒さのピークは1月に来るので、12~2月くらいは休眠していてもらって、3月あたりから一斉に開花結実してもらうのが一番省エネになります。逆に12月にフライング開花された場合、そこから加温を開始すると一番寒い1月に最低気温を高く維持しないといけないということになります。更に怖いのは、加温時期を早めると温度ストレスに強い品種は十分な休眠を取れず、花を咲かさずに暴れ出すかもしれないということですね。

高度な環境制御技術があれば任意の時期に花芽を誘導できますし、余程衰弱しているか低温に弱い品種でなければ、5~15℃の温度レンジかつ光補償点+αくらいの光量があれば冬眠に近い状態でスタートの合図を待ってくれそうな感じがしますね。

自然は敵でも味方でもないというかなんというか。最近でも札幌で2月中旬として55年ぶり10度超になったとか。地球さんの乱心は留まることを知らんすねぇ…

品種特性はゴールまでの距離で調整する

私が理想とする栽培方法に適合する品種を選定するためもあって、複数品種観察してきましたが、特性が違いすぎる品種を同じハウス内で栽培するのは栽培管理の点で面倒かもしれませんね。温度は一緒にしてポッド単位の養水分量で樹勢をコントロール出来ればいいですが。

『足が速い』は必ずしもいい意味ばかりではない

スタートを同時に切ったとして、大実品種なので収穫時期が遅いものもあれば、樹上完熟に向かないので収穫を早くするものもあります。マンゴーは生ものなので捌けないほどの量が一気に熟すとそれはそれで困ります。短距離を一気に駆け抜けるのも長距離を走り切るのもそれぞれよい個性です。

マラソンで例えると、スタート位置(開花)は共通で3㎞の部、10㎞の部、ハーフマラソン、フルマラソンみたいな管理の仕方で、継続的にゴールしたマンゴーを収穫していくイメージですね。収穫時期が遅いものは長く走った分疲れ切っていて、疲労が回復せず隔年結果に注意が必要かもしれません。

謎のフローチャートにおけるAとC

四季成り性(三季性)のマンゴーは、気候が安定している地域では僅かな環境変化にも鋭敏に反応して、生殖成長に移行する特性が重宝されるかも知れませんが、四季がハッキリとしていて寒暖差のある環境へ適応した品種との共存は難しいかもしれませんね。
根域制御に失敗した土マンゴーなんかがどのくらいの強度のストレスで花芽を付けるのか…もし他の品種が全滅するレベルのストレスがかかった今年花が咲いたら、特待生扱いで完全に別枠として扱います。

特に強樹勢の品種を他品種と同じ温度帯で管理するなら、かなりの根詰まりを起こさせたり環状剥皮なりで特別に負荷を加えるかですね。