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根が無ぇ!

どうも、何もないところでよくコケるおじさんです。

私は趣味でマンゴーを栽培しているのですが、今回またまた誰もやらなそうなミスをしたので、念のため記録に残しておきます。


植物にとって根は重要!

栽培の世界にはTR比というものがあります。エアープランツなんかの一部例外を除き、大きな植物にはそれに比例した大きな根っこが必要です。top/root=地上部/地下部のことで、地上部が大きく成長するには根を伸ばす必要があります。擬人化した例えで言うと、成長期には沢山食べて大きくなります。成長が止まれば食事の量はある程度一定になりますが、力士さんなどは大きな体を維持するために食べる量も多いままです。そんな感じです。

植木鉢の中に根がない

植木鉢の中に根がないと聞いた場合、園芸をされている方はコガネムシの幼虫が悪さをしていると思うかもしれません。しかし、今回は違います。

論より証拠。ハウス内で猛威を振るうスターフルーツくん…
その植木鉢で2m越えの樹高は無理でしょ。

何が起きたかというと、元々鉛筆くらいの細さだったので100均のプラ鉢に植えて隅っこの方で放置していました。そしたらこんなになっちゃった…
鉢底の穴から根が貫通、大地と一体化してもはや地植えと変わらない有様。鉢を持っても全く動きません。2年も放置してたらそらそうか。

ここからマンゴーの話

私も素人ですが、以降はマンゴーについてある程度知っていることを前提で書いていきます。

マンゴーの地植え、してもいいけど自己責任。

以前書いた記事にマンゴーを降霜地帯で地植えにするのは×と書きました。沖縄などでは地植えするそうですが、品質のいいマンゴーを収穫するにはやはり雨除けにビニールをかけなければならず、何より樹が暴れるそうです。

宮崎県の宮交ボタニックガーデン青島にて撮影したマンゴー
いや~デカイ。これは個人の設備では無理ですわ。
こちらは剪定して小さく仕立てられているもの
誘引のためかパイプを組んでありますね。
マンゴーにもいろいろ種類があるんですなぁ。
私が育てているマンゴー。台風で天井ビニールが破けたのは伸びたマンゴーが圧してたのも一因?

矮性の品種などもありますが、栄養生長が盛んな時期に根を伸ばせるだけ伸ばして、栄養も水分もガンガン吸えるともう手が付けられないほど巨大になります。降霜地域で施設内に収まらないほど巨大化=霜にやられて枯れて実が収穫できないということなので、育てる意味がありません。

プロ農家さんの根域制御栽培とTR比

鹿児島の農家さんを見学した時の写真。プロが育てるとこんなにコンパクトに仕立てられる。

根が伸びすぎると手が付けられないなら、根が伸びすぎないようにすればいいじゃない。という発想がポット栽培などの根域制御栽培ですね。適切な養液を与えてやれば、地上部に対してポットの大きさはこのくらいでいいのか!と勉強になります。

根域を制御しないメリット

根域制御栽培といっても、植木鉢を地面に直接置くと冒頭のスターフルーツのようになります。コンクリートブロックかなにかの上に乗せるのが無難ですね。

ジャングルと化した私のハウス。ちなみに全部根が鉢底から貫通している。どうすんのこれ。

根域制御に全くなっていませんが、一応この栽培方法にもメリットがあります。水やりが多少スボラでも大丈夫という点ですね。マンゴーは乾燥に強いと言われますが、根は無茶苦茶乾燥に弱いです。あくまで湿度がある地中深くに根を張っているから乾燥に強いというだけで、真夏に自動潅水装置が故障したら、一瞬で弱って枯れると思われます。

鉢底から伸びたマンゴーの根。鉢を乾燥したところに置くとこの根は一瞬で萎れる。

マンゴーの原産地では乾季があるので深根性ですが、必ずしも太い根の先端で細根が発生するわけではありません。十分な水分があれば浅い場所でも根が発生します。マンゴーの水耕栽培を試した記事があるので、【根がどこから発生しているか】に注目して読んでみるとまた面白いかと思います。

ポット栽培で気を付けなければならないのは、外気との接触面が広く鉢の中が高温になりやすいことと、それにより乾燥しやすいことですね。極端な例として、塩ビ管を用いた栽培では根は長く伸びましたが、カラカラに乾燥して、地上部が弱る状況が発生しました。状況に応じて潅水量・回数を増やす必要があります。

鉢代わりの塩ビ管から引き抜いて根を観察中。保水性の低いボラ土を多用したのもマズかった。
元気な根はほんのわずかしかない。

ちょっと切ったつもりがほとんど切っている

ここでようやくタイトル回収、「根が無ぇ!」とはいったい何なのか。
それはTR比的に十分な容量の鉢を使って栽培していたとしても、鉢の中には有効な根が少ししかない状況があるかもしれないということです。

台風襲来後にハウスの修繕と増設をし、ジャングルを管理しやすいようにと鉢を動かしたのが運の尽き。多少根を切って移動しても、少し切り戻した後にたっぷり潅水すればええやろと思っていたら、どんどん弱ってこの有様。泥縄で切り戻すより、最初でガッツリ切って樹形を整えてやった方が、来季以降を考えるとよかったと後悔。

来季絶望の悲劇的アフター…ビフォーは切り落とされた枝葉からお察しください。

擬人化した感じだとこうですね。

エセ関西弁でごめんやで!

植物は無駄なことをしないので、水分があるところで水分を吸います。乾いたぞうきんを絞っても水が出ないのと一緒で、水のないところで細根は伸びません。

結論:根を切る前に地上部を切り詰めること

特に、イケイケどんどんで生長中に根を切ると、根は水を吸わないのに葉っぱは盛んに蒸散するので加速度的に衰弱します。私はそういう実生マンゴーをたくさん見てきました(サイコパス)
細根を切られたマンゴーを擬人化するとこうです。

いい汗かいた!汗かいた分の水分補給をしなきゃ!
今日も頑張ったから水を…あっ
み・・・水・・・

鉢から出た根を樹にダメージを与えず切断したいなら、順番的には…
①こまめに潅水して鉢の【中】に根を行きわたらせる。
②TR比的に余裕があるところまで切り戻す。
③新芽が形成されるまでは鉢の中と外の根のパワーを使う。
④鉢底の根を切断、場合によっては鉢増し、安定するまで遮光してやる。

そもそも鉢を動かす予定があるならしっかり遮根して育てる。

これに尽きるかと思います。気温湿度日射量なんかを考え出すとケースバイケースですね。冬に水を切りすぎても、根が乾燥しきってしまってダメになります。

樹が弱っていると、メインではない枝を犠牲にして危機を凌ぐ。

長々と書きましたが、もし鉢植えのマンゴーを移動させる際に「ブチブチ」という手ごたえがあったら、少し直射日光を避けて養生させることをお勧めします。滅多にない失敗例でしょうが、電子の海に記録を残しときます。


ここまで読んでいただきありがとうございました。



以降、今回の記事に関係ありそうなtwitter投稿をはっつけときます(順不同