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ミニマンゴーを狙って作るのは難しい!

どうも、マンゴー栽培奮闘中のおじさんです。

始めに
この記事は私の栽培記録であり、人に読んで貰うことを考慮していません。
『じゃあ公開しなければいいやんけ』というお叱りの幻聴が聞こえてきそうですが、趣味でマンゴー栽培を行う同好の士へ向けて、少しでも役に立てば幸いです。

目次を作ったので気になる部分だけどうぞ


「趣味で栽培したキーツマンゴーの実食」

まず、今年のマンゴー栽培の目玉であるキーツマンゴーを食べてみます。

キーツマンゴーとは一般的に流通している赤いマンゴーとは別品種の、緑色をしたマンゴーです。追熟型といって、収穫後に室温(重要)で追熟させることでおいしくなるタイプのマンゴーですね。

収穫後2週間追熟を行ったキーツマンゴーがこちら↑
プルーム(白い粉みたいなの)がまだ残っています。完熟だとツヤツヤになるそうなのですが…
果皮にちょっとシワが入るくらいが食べごろの目安…一部だけシワシワなこれは?

このキーツは謎のへこみがある奇形のマンゴーだったのですが、そこの部分がシワシワに。私の浅い栽培経験上、収穫のタイミングが早すぎた追熟型は追熟途中で萎んでしまいがちですね。

収穫が早すぎたマンゴーの例↑ 熟すと緑から黄色になるが、失敗して味もおいしくなかった。

困ったことにマンゴーは品種ごとに特徴が様々なので、私のような素人には判断するのが難しいんですよね。

キーツに話を戻します。
包丁に妙な手ごたえを感じつつ、割ってみると…

すわ!なんじゃこりゃ!
  • 凹んでいる部分には謎の物体が…結論からいうとこれは腐っていたり痛んでいたりするわけではなく、「種のなりそこない」です。指で押したときにこの部分だけ妙に硬かったので不思議に思っていました。種の殻なので食べる分には問題ないですが、一般消費者が見たらクレーム案件ですね。

種の殻を取り除いたのがこちら。←のオレンジが完熟の部分で→の黄色部分はやや未熟。
完熟

完熟部分の糖度は16度で、酸味もなく濃厚な味わい。もっと糖度が高い品種はありますが、キーツは癖や雑味が少なく、アーウィンが好きな人はこれも好きだろうなといった感じ。

やや未熟

やや未熟な部分は糖度が少し落ちて13度、甘さが少し落ちた…というよりも「すっぱい」ですね。マンゴーにレモン絞ったような感じ。これはこれでイケるので、未熟完熟で味のコントラストがあって一粒で2度おいしいみたくなってます。

さて、食レポはこのくらいにして、タイトル回収に入りたいと思います。「ミニマンゴーを狙って作るのは難しい」です。ミニマンゴーとは無胚の小さめのマンゴーで、いろいろとメリット・デメリットがあります。このキーツマンゴーには変な場所に種のなりそこないが出来ていましたが、重さは約700gとそれなりの重さがありました。

収穫直後の計量の様子。1㎏越えの実がなるキーツ種といってもミニというには大きすぎる?

それもそのはず、形はいびつながら正規の場所に有胚の種子が。

種は「2粒」あったッ!
しかも「有胚」だったッ!

胚の充実具合からすると収穫が一週間くらい早かった感じがしますね。
とりあえずおいしいマンゴーができたのはいいのですが、私が目指しているのは「大玉品種の無胚マンゴー」なんですよね…無念。

このキーツは一つの実に殻だけの種と中身の入った種の2つありましたが、
複数の雌蕊をもつ花が一つだけ受粉成功して成長したパターンみたいです。

こんな感じの実が片方だけ受粉成功して収穫できるまで成長したみたいですね。



ここからは独断と偏見の考察

ここからは趣味でマンゴー栽培をしている方向けになります。もしもプロ農家の方が読まれる場合は、生暖かい目で見守っていただけると幸いです。


アーウィンは販売において最高品種

アーウィンとは国産マンゴーの大部分を占める赤いマンゴーですが、適度なサイズ、適度な繊維質で輸送性が高い、包丁を入れる前から芳醇な香りがする、外見が非常に優れている。そして何よりも『完熟型』で、完熟になると勝手に落ちて収穫時期を知らせてくれるので、追熟を必要としません。樹上完熟したものを冷蔵して美味しさをある程度の期間キープできるので、産地から販売ルートに乗せるうえで有利なんですね。追熟するのは室温でないといけないと最初の方で書きましたが、ゆで卵が卵に戻らないように、一度低温下においてしまうと低温障害で正常に追熟が出来なくなったりします。

産地直送で鹿児島の農家さんから取り寄せたアーウィン。もはや芸術品。


普通じゃないマンゴーをあえて作る

「基本的に同一品種だとミニマンゴーの方がうまい」
マンゴーを食べ始めてまだ日が浅い私ですが、十数種類のマンゴーを食べてみたところ、そういう結論に至りました。もっと正確に言うとミニマンゴーは大外れが少ないです。

特に追熟型マンゴーは果実の充実を待って収穫→追熟というプロセスを取るので、発根してしまうということがあります。発根すると種の周辺が変な味になったり、根が殻を突き破って果肉にまで進むことがあります。さらに追熟の見極めを失敗すると、過熟になり果肉崩壊してしまったりもします。無胚であればとりあえず発根する心配はありません。

根っこが殻を突き破って果肉に到達した例
室温に置きすぎて種周りから過熟になった例

狙って無胚マンゴーが作れたら追熟型のネガを一つ潰せるのですが…

人の好みは十人十色、ですのであまり強弁できませんが、アーウィンよりもおいしい品種のマンゴーはたくさんあります。ただ、万人に受け入れられるマンゴーというとやっぱりアーウィンになるんだろうという感じはします。


ミニマンゴーが出来やすいマンゴーと出来にくいマンゴーが存在する?

そもそもミニマンゴー自体がスーパーなどにはあまり流通していないので、アーウィン以外の品種に関しては自分で育てるのが早いと考えました。現在実生を除いて19品種を育てており、開花まで至ったのは12品種、種ありで結実したのが3品種、ミニマンゴーになったのは3品種です。

ネットでポチポチ情報を集め、2019年からマンゴーの栽培を開始しました。なるべく省エネで栽培するため、最小限の加温で越冬・栽培可能な品種の選定を行っています。ただし、越冬だけでなく開花時の気温や湿度も、結実には重要な要素だということがわかってきました。

多くの花を咲かせ、小さな実がついたマンゴーだが、ほどんど大きくならず落果してしまった。

品種により開花時期は様々ですが、どうも開花時期が早い早生品種だとまだ寒い時期に花を咲かせ、寒さで花粉が失効してしまうようです。受粉が上手くいっていない実はマンゴーさんサイドからしてみると「どうして種が入ってない実をつけないといけないんですか」みたいな感じで生理落果します。

生理落果した実を調べてみると、無胚のものが多い。

つまり、種が入っていないマンゴーを作ろうとした場合、まともなマンゴーを作らないようにする必要がありますが、受粉をしないように開花期の温度を低くすると、ミニどころかほとんど落果してしまうということがあり得ます。う~む痛しかゆし。


アーウィンはミニマンゴーを狙って作るのにも優秀

アーウィンは2021年から苗を購入して育て始めました。アーウィンは道の駅で買った方が早いので、後回しにしていたのですが…

ネットにポトリ。
出来ました。

見栄えは悪いですが、食べる分には申し分のないミニマンゴーがいきなり複数個収穫出来ました。アーウィンは豊産性品種なので実がつきやすいんですね。しかも完熟状態で落果するので収穫時点で食べられます。もうこいつだけでいいんじゃないかな…

開花期温度調整を行わずに育てたアーウィンマンゴーの花。奇形ながらひとまず着果性はよい。


セオリー通りに作ろう

やはり果樹は実を収穫することを目的として栽培するものですから、先人の知恵をお借りしてまずは1つでも収穫することを目指した方がいいですね。

マンゴー栽培にオススメの本がこちら。

私は3年ほどネット知識と勘であーでもないこーでもないと観察しながら栽培したのですが、栽培の要点は大体本に書いてありました。私の文章をここまで読まれた方には申し訳ないですが、専門書買って読んだ方がいいです。

大玉品種の無胚マンゴーで天下とったるという私の閃きは2008年に発行された本の65pに思いっきり書かれており、先人がすでに10年以上前に通過した場所でした。なんて遠い回り道…

成果はあり

じゃあ何の成果もなかったかというとそんなこともなく、たぶんこうじゃない?と思ったことが本に書いてあると嬉しくなりますね。攻略本なしで裏ボス倒した感じです。アーウィン以外のミニマンゴーを栽培する事にも成功していました。

キンコウマンゴーは無胚だとパッカパッカに裂果しますが、着果性自体はよくおいしいので、うまいこと栽培方法を確立していきたいところです。

未熟な小苗でもご覧の通りの着果性。大体割れて落ちましたが。

とりあえず他にもいくつかミニマンゴーを作りやすそうな品種の目星をつけたので、おいおい試していく予定です。

これからマンゴーを作りたい方にアドバイス

私は趣味でやってるだけですが、これからマンゴーを作る方へのアドバイスをするなら、まずは何よりもよい立地と設備の確保を優先することですね。マンゴーを庭に植えて手をかけず収穫できる幸福な地域は限られています。


ここまで読んでいただきありがとうございました。