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私が枯れても代わりがいるもの

どうも、全く関係のないものをよく関連付けするおじさんです。

歴史上の話だけでなく、突出した個の出現が環境を大きく変えるのを、結構みなさん現在進行系で目撃していると思います。私はよく植物を人間に例えるのですが、人と植物とでは色々な類似点がある一方で、決定的に違う部分がいくつか存在します。

そこで、今回は繁殖方法と寿命(全盛期)についてフォーカスした話を展開していきたいと思います。


ずっと俺のターン

存命にしろ何にせよ、歴史を塗り替えた人物の話をすると評価に諸説あって憚れるので、馬の話をします。私は昔付き合いで京都競馬場に行ったことがあるくらいで競馬は全然やらないんですが、その昔テイエムオペラオーという名馬がニョキっと現れて、いまだ破られない前人未到の記録を残して走り去って行ったそうな。具体的に何が凄いかというと、距離やらなんやらが違うメジャーなレースをいくつか走って1年間全部1位だったとか。ただ前後の年も強いですが、圧倒的な強さを発揮できたのはその一年だけなんだとか。やはり哺乳類は衰えますし、堯舜の子に聖人なしというように、活躍した馬の産駒が親と同じように走るとは限りません。

じゃあ植物はどうかというと、1年生植物であっても固定種なら親の形質と似たようなのが生えてきますし、果樹は樹齢が100年を超えるようなものが現役で残っていたりします。人と決定的に異なるのは自然下でもクローンによる繁殖をするものが多いということですね。環境が変わらなければ支配的な植物相を形成したりします。(竹林など)

植物は有名であることで価値を下げる

さて、ボチボチ本題に入りますが、以下は独断と偏見によりお送りします。私は結構オークションサイトや園芸店、物産館等で植物の価格推移なんかをチェックしています。観察していると斑入りだったり色違いだったりするといきなり価格が跳ね上がったりします。伊達にチューリップでバブルの元祖やっとらんな~なんて考えたりするわけですが、見た目の違いくらいでは需要の絶対数は少ないですし、食用、果樹であれば本質的にはおいしくないと継続的な需要は生れません。そして、有名で有用であればあるほどクローンによる増殖が試みられ、むしろ珍しくなくなり入手が容易になっていきます。シャインマスカットなんかがいい例で、パテント乗ってる分デラウェア苗などより高いですが、ブドウはフィロキセラ抵抗性なんかを考えない自根苗なら、剪定枝挿してればあっという間に増やせるので、そこら辺のホームセンターにたくさん並んでいます。そして、その先にあるのは陳腐化です。

有名人はその人に価値が収束しますが、植物は価値が拡散していきます。

まだ知られていないものは稀少で高価

大航海時代に非常に高価で取引されていた胡椒が、今ではテーブルスパイスになって誰でも手軽に使えるようになった。みたいな話をします。

以下、わかりにくいので読み飛ばして構わない部分

マンゴーの種子・苗に関してはこんな感じだと個人的に感じます。

謎の表1

表の読み方は縦横クロスを読み「有名品種の単胚種子の価値は極々小さい」という感じで、具体的に言うと「アーウィンの種子は容易に手に入る上に、発芽能力の有無が不明なので価値は極々小さい」という感じです。逆に、「まだ誰も知らない優良新種を持っている場合、その価値は極めて高い」と言えます。
私の匙加減ですが「有名多胚品種は有名品種のクローンが複数出来うるので、発芽能力は不明ながら単胚種子より少し価値あり」みたいな感じです。

謎の表2

時間軸を付け加えた謎の表2でいうと、単胚の優良新品種は種子によるクローン増殖が出来ないので、穂木取り用の母樹としての価値が極めて高く、100年以上の歴史があるとそこが観光地になったりします。台木に接いでいないものはオリジナルの証明なので特に価値が高いですね。多胚珠のものは種でもクローン増殖できますが、より台木としてのポテンシャルの高いものに穂木を接いだ方が苗木としては優秀…かも知れません。場合によっては台負け起こしやすいとかあるかも知らんですね。

クローンは環境再現出来れば同じものが出来る

あくまで理論上の話ですが、工場生産が既に可能になった作物に関しては、栽培環境を全く同じにすると同じ品質の作物を収穫できます。AI活用で収穫自動化まで出来るようになった作物に関しては人力では勝てないですかね。

完全に分析が終わっているものに関しては、F1品種の作物が収穫を終えて枯れてしまったとしても、同じF1品種の種を蒔いてクルクルとサイクルを回せます。

人の代わりはなかなかいない

植物をクローン増殖するのは普通のことなので倫理的な障壁はないですが、人の場合はそうはいきません。同じ知識・技能を持った人がプラナリアのように分裂していけば後継者問題とか発生しないんですが。優良品種が時間経過とともに浸透していくと、栽培者の違いが価値の優劣を決めるようになります。○○産地の桃とか名人○○さんが作ったぶどうとかそんな感じです。

ロマンのないことを言うと、マゼランが世界一周を達成してから500年もたっているので、もはや地球上で未発見のものは地中や深海くらいにしか残っとらん気がしますね。既にメジャー級は出揃っていて、マイナーなものには色々とマイナーに留まる理由があるというか。

結局のところどんなに品種が出揃ったり知識が広まろうが、作る人がいなければ作物は市場に出てこないので、呂布と赤兎馬のようなアイドル性のセット売りみたいなところに今後も落ち着くんですかねぇ。