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単独潜水は悪なのか?

単独潜水についてツイートしたら、いくつか意見や質問をいただいたが、何やら噛み合わない。たぶん、事故リスクと法的リスクが混同しているからだと思われるので、分けて考えつつ、整理してみる。

 前提として、単独潜水のリスクは、事故リスクより法的リスクにあるという認識が必要だと思う。

 ■単独潜水の事故リスク

まず問題なのは、ダイビング事故分析の多くが、絶対値をもとにしたゼロリスク論ということ。具体例をもとに“たられば”で“ここが問題で、こうすれば防げたのに!”ってやつ。

これもとても大事だけど相対的視点と両輪でないと、正論を盾にしたお説教&ミスリードになる面も。そういう意味で、単独やセルフは、数件の事例でも悪者扱いされがち。

しかし、海保などの事故統計は、イントラやガイド付き、あるいはグループ潜水より単独潜水が危険と証明できるほどの相対データとは言えないし、そもそもリスクが別物(高低ではなく、種類が違う)。
※リスクが高いとしても、自由(楽しみ)と安全のトレードオフという視点も重要だが、圧倒的に足りていない。

事故リスクについては、ひとつのジャンルとして体系化されているソロダイビングなどをもとに準備すれば、形骸化したバディシステムより安全とさえ言えるかもしれない。

もちろん、何の準備もせず、いつものダイビングの延長で潜る単独は、事故リスクは激高で、これをイメージされてしまうのかもしれない。

■単独潜水の法的リスク

ただ、準備をしっかりしていても、単独潜水は、世間はもちろん、ダイバーにすら認知されておらず、その行為自体が法的リスクが高い。 世間も「ダイビングはバディと潜るもの」と思っているし、レジャー系指導団体のマニュアルもそうなっているから仕方ない。

その点を踏まえて、もし単独するなら、そのダイビングポイントやお店とのコンセンサスが超重要となる。

※タンク貸したことの責任を問われたりするので 「私はきちんと訓練されたソロダイバーだ!」とただ主張してもハレーションになるだけ。

ソロダイバーは、存在としては“もぐりのダイバー”と言える(座布団)。 状況にもよるが、事故でも起こそうものなら、まだ、世間からルール破りの悪いヤツとして後ろ指さされる覚悟も必要だし、何かしらの裁判になれば、つかれるポイントだろう。

■まとめ

つまり、単独潜水は法的リクスが高いが、他のスタイルと比べて相対的に事故リスクが高いとは言えないというのが僕の考えだ。

グループ潜水にも単独潜水にもそれぞれのリスクがあり、準備を怠り、選択を間違えれば事故るというだけの話。 

※まあ、“バックアップが無い”というのは、何かしらの文脈上、事故リスクが高いと言ってもよいとは思うけど

ただし、法的リスクが高い単独は、コンセンサスなしに潜って事故れば多大な迷惑をかけるので、その辺のケアが大事。

僕もたまに単独潜水することがあるが(昨日してきた)、それなりの道筋を通った上での“選択”だと思っている。その正当性を主張するつもりもないけど。 以前は、意図せずミスリードしちゃうので、単独潜水していること自体なるべく言わないようにしてきたけど、今は「知らんがな」の心境です(笑)

自分なりの事故リスクへの対策は、一応、ソロダイビングのCカードは持っているが、スキルや装備不足の認識があるので、単独の時は10m以浅でほぼ動かず浸かっている感じ(リラックスしたいだけなので)。
※場所はダイビングポイントではない海

法的リスクへの対策は、なるべく迷惑をかけたくないので、死んだ後のことを想定し、遺書的なモノを親に託してある(保険がいろいろあれでややこしいんだけど……)。

正直、こんなに楽しい時間はなく、人生において重要になっている単独潜水。自由と安全のトレードオフを考えた時、この辺が僕の落としどころになっている。 

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