断捨離と希死念慮
約8年間、一滴の酒も飲んでいない。
私がアルコール依存症の専門医(精神科)に
「あなたはアルコール依存症だから、断酒しか生きる道はありません」
と言われたのが2004年の秋だったから、
そこを起点に考えると、
前半8年間が「断酒と再飲酒の無限ループ期」、
後半8年間が「今のところ断酒継続期」である。
前半に関して言えるのは、死なずに前半終わって
良かったということ。この段階で亡くなる人は
驚くほど多いから。
そして、前半・後半で最も変わった点は、後半になってから、
人間関係の「断捨離」が劇的に進んだこと。
一緒に飲んでいた友達とは可能な限り音信不通になり、
後半8年で新しくできた人間関係には、
可能な限りお酒を介在させないと決めていることだ。
飲んでいた頃の私は、
「酒を飲んで腹を割って話ができない人を友達とは呼ばない」
という人だったので、
そんな私を誘ってくれる友人はほぼ全員が酒好き。
私の病気のことを話し、理由を説明しようとしても、
「お前が依存症なら1年365日飲んでる俺だってそうだよw
あんまり気にすんなよ。鬱になっちゃうよ」
と、大人らしくサラッと流される。無理もない。
この類の病気は、当事者しかイメージできない部分が多いので、
結局は、なんとなく仲間内からフェードアウトしていくしかなかった。
結果、8年前から今日に至るまで、「久しぶりに会う友人」は
理由を理解した上で誘ってくれる幾人か、と、
初対面から「No.13はお酒NG」で関係を作っていける人だけ。
アルコール依存症の他に、双極性障害(躁うつ病)という病気持ち
でもある私には、賑やかなくらい大勢の友人に囲まれるよりも、
正直このくらいのサイズが心地よい。
楽に生きられるようになった?
お酒やめて8年も経ったら、随分と楽になったでしょ。
家族や親しい友人に、たまに聞かれる。
もちろん悪意のある問いではない。
どうだろう。楽になったのか私は。
飲酒の苦しみからは今のところ解放されているのは
確かで、強迫的な飲酒欲求もないし、幻覚を見ることもない。
しかし。
だからといって、生きるのが楽になったわけではない。
今春から流行が始まった新型コロナウィルス感染症の影響で、
社会全体がピリピリ、イライラしているのが分かる。
路上で(飲み屋街ではなく昼間の住宅街で)人が人を怒鳴り散らして
いるのを見たこともある。
脳みそがシラフになると神経過敏になるのか、
長時間の外出はストレスがとても大きく、無理である。
だから街なかでフツーに働いている人をみると、
それだけでスゲーなって思う。
8年経っても変わらずに楽にならないこと。
希死念慮がなくならないこと。
今は、7:3くらいの割合で「生きる」が勝っている。
双極性障害(躁うつ病)だから、これが20:-20 みたいに
「元気(躁)」になって、その後 うつ が来る。
落差が大きい分、希死念慮も強くなる。
この時、酒に飛びつかない自分を、
我ながら大したものだと思うが、
もう酒もなんも要らんから楽になりたい。
そう思うことは多い。
だからって、死なないけどね。
勝たなくてもいいから負けるな。
今日もそう自分に念じて、生きるんだ。