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she has passed away



2020年7月6日15時4分。

11年間、一緒に暮らした犬が死んだ。
悪性リンパ腫だった。

4年前に診断が出てから先月まで、

あなたホントに病気?

と疑うほど食欲旺盛・元気いっぱいで、
家中を駆け回っていたのが、

6月半ばあたりから急激に増悪し、
カラダ中がゴツゴツした腫れ物に覆われ、
同時に走ることができなくなり、
最後には立ち上がることさえ難しくなった。

彼女にとって最期となった日。

彼女は午前中ずっとベランダ越しに外を眺め、
気持ち良さそうに風に当たっていて、

その様子が、いかにも

この世の見納め

的であり、

そういえばコイツは言葉の代わりに、
実に色々な仕草で、自分を表現する犬だったなぁ

と、改めて思った。

午後からはうずくまって
いわゆる傾眠状態になり、
最期の最期に

グ〜ンと、
気持ち良さそうに伸びをした後、

そのまま眠るように
息を引き取った。

コロナ禍によって大幅に仕事が減った私は、

ステイホームと言われなくとも
どこにも行くところがなかったので、

彼女がだんだんと弱り、

病魔に飲み込まれていく様を

克明に見ることになった。

死ぬ間際まで、
実に淡々と「その時」を待ち、最後には
死と和解するように逝った

彼女の生き様/死に様を、

私は決して忘れずにいようと思う。

優しく、賢く、そして食いしんぼな
犬だった。

病気で家にこもることの多かった私を
ボール遊びや追いかけっこ
に誘い、

私がそれに付き合うと、

嬉しい!
楽しい!
とーちゃん大好きだぁー!!

と、こちらが恐縮するくらい
全身で喜びを表現する犬だった。

思えば、

あんな風に どストレートに
愛情をぶつけられたことはなかった。

人と人との関係ではあり得ないくらいの
無償の愛情。

今も、家中のあちこちに、
彼女がいる気がする。

彼女との思い出が
家中を満たしている。

そのことがとても幸せで、
とてもとても悲しい。


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