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527 さいとう元彦「擁護の方程式」

はじめに

リハックショックの影響と駅前の辻立ち、そしてSNSを駆使したネット選挙の効果が徐々に斎藤元彦氏を擁護する声の高まりを生んでいます。下の画像は徐々に広がる支援の輪を顕著に表している斎藤氏のXの投稿です。5日目のXでは一人でポツンと作戦は終了し、肯定派の支援者の広がりをPRする方向に切り替わっている様子が見て取れます。
今日の教育コラムでは擁護派とよばれる人々の主張をある一つの事象だけを用いて反証していきたいと思います。

失職後の駅前での辻立ちの様子(1日目~4日目)
失職後の駅前での辻立ちの様子(5日目)

反証に用いる事象

「知事や幹部職員の不正または問題を指摘する告発文書に真実が含まれるか、誹謗中傷性がある文章であるか、公益通報であるかを第三者調査機関に委ねるという適切な対応がとられず、調査段階であるにも関わらず記者会見という公開の場で処分が決定される前に事実無根、公務員失格、嘘八百と公開の場で知事の言葉として述べられた」この出来事を3月21日から3月27日までの出来事ということで、説明が長くなる為「3月の権力乱用」という言葉で表すことにします。この3月の権力乱用だけを用いていくつかの主な擁護派の方程式について考えてみたいと思います。

擁護派の主張で深刻なもの

次の擁護派と呼ばれる方々の論点を整理します。たくさんありますが深刻なものを4つ提示します。

①港湾利権にメスを入れたという説
包括的外部監査が指摘した港湾利権問題について県が対応したことで、斎藤元彦元兵庫県知事がこの利権問題にメスを入れたことになり、その報復を受けているというものです。

②外郭団体への天下り規制をしたためにOBたちから恨まれたという説
これは、65歳を超えて外郭団体へ再就職するまたは、外郭団体で65歳を超えている職員について65歳定年を厳格化して退職を促したために該当する一部の職員の恨みをかってしまい、そこが抵抗勢力として今回の騒動の糸を引いているというものです。

③元西播磨の県民局長さんのPCの中身が謎を解くカギという説
これは、PCに私的な文章があり、その文章の中身が分かれば斎藤元彦氏に問題がない事や今回の問題の全てがわかるというものです。

④パワハラやおねだりの録音データなどのエビデンスが出てこないので問題
 が無いという説
これは、今回の告発文書問題で書かれている内容についてパワハラやおねだりを証明する録音データや証拠が出てこないので告発文書には真実相当性が無いというものです。

擁護派の方程式に3月の権力乱用を当てはめると

先程の①から④について方程式が成り立つか見ていきます。

①港湾利権にメスを入れたという説
②外郭団体への天下り規制をしたためにOBたちから恨まれたという説
③元西播磨の県民局長さんのPCの中身が謎を解くカギという説
④パワハラやおねだりの録音データなどのエビデンスが出てこないので問題
 が無いという説

①港湾利権にメスを入れたという説は、3月の権力乱用に影響を与えない
時系列としては、港湾利権と呼ばれる問題に対する指摘が県や知事に対して包括的外部監査から問題点が指摘されたのは告発文書の問題の前です。
この港湾問題は、外部監査という知事の息のかからない機関からの指摘です。つまり第三者委員会みたいなものです。県の立場の外から問題点をテーマを決めて調査し、問題があれば指摘しなければ指摘しない機関です。斎藤知事は、自分への問題ではない外郭団体への指摘の時には第三者機関に調査してもらいその結果を受け入れています。正しい判断です。
そして、三月の権力乱用の場面では自身の問題を指摘した文章を第三者機関に調査を依頼しませんでした。その際、第三者委員会の活用は他の職員から提案として出ていますが受け入れませんでした。徹底的な調査をし、犯人の探索をしました。自らに不都合が生じる内容の時は、自ら判断し自らが決定を下し、内部職員で不当な調査を繰り返し圧力をかけ、調査途中でも結論付け公開の場で個人を特定できる状況で個人攻撃をしたのです。

②外郭団体への天下り規制をしたためにOBたちから恨まれたという説は、3月の権力乱用に影響を与えない
告発文書が出された、流布された背景にはこのようなOBの働きかけがあり、それにより斎藤知事は失職することになったのかを3月の権力乱用を用いてひも解いてみます。
告発文章の中身が斎藤知事の退任をねらった陰謀の中身だったと仮定します。告発された斎藤知事が3月21日に幹部を集めた際に心あたりがあるかを確認したとします。するといくつかコーヒーメーカーなどが届いていることであるとか、付箋を投げたことなど心当たりがあったとしても、なかったとしてもそこで、自分たちの事を含むので第三者機関に調査を依頼するとしたらどうだったでしょうか。つまり、3月の権力乱用がなされなかったらということです。すると、3月27日までに行われたPCの没収や公開パワハラによる問題発言、不当な内部調査とそれに伴う懲戒処分を念頭に置いた対応などが生じなかったでしょう。さらに一命を賭して訴える必要が生じなかったでしょう。

③元西播磨の県民局長さんのPCの中身が謎を解くカギという説は、3月の権
 力乱用に影響を与えない
PCの中身にもしも不倫やわいせつな内容などわかりませんが噂のような公開するのに倫理的に問題なものが入っていたとしたら、また、それを勤務時間中に作成していたとしたらという想定でお話をしたとします。そのような文書が出てきたら懲戒処分の材料にはなるでしょう。
しかし、これらの前提は、告発文書が世に出され知事の手元に3月21日に届き、その場で牛タンクラブや片山氏が招集され文書作成者を探索する指示が飛ばされたこと、つまり3月の権力乱用が行使されたこととは全く関係が無いのです。告発が自身、つまりここで言う斎藤氏はじめ幹部に向けられたのであればやはりこの時点でも第三者委員会なりに調査を託すべきでした。その上で個人のPCを必要なら調べるし、出てきた情報を必要なら告発文書の中身の審議に使用するべきでした。その際に告発した人物を探す行為については最大限配慮し、告発された人間である知事が人事権を握っている最高権力者であることに配慮されるべきでした。人事課という自分の息のかかった部隊を総動員させ告発者を追い込んでいくような行為や一方的な聴き取りが無ければ、一命を賭した訴えという結末にならなかった可能性すらあるのです。

④パワハラやおねだりの録音データなどのエビデンスが出てこないので問題
 が無いという説は、3月の権力乱用に影響を与えない
告発文章の2項目について百条委員会を行って分かったことは、パワハラには知事も一部認めるものがあり、実際に斎藤氏は職員に厳しい態度をとった行為について謝罪しているということです。これは既に内容の一部に真実相当性が見えるということです。また、おねだりについては、企業も否定しているものもあれば、もらっていないと言っていたコーヒーメーカーが実際には産業労働部長の手元に届いていて、それが知事あての品物であったということです。返却を忘れていたという事実と後日こっそり返しにいっていたことは百条委員会でも分かっています。それ以外の物品が全て嘘であっても全ての品がPRのためでありそれならば許されるというのであっても告発文書に書かれていた内容に真実相当性はあるわけです。
このように考えると3月の権力乱用は、すでに一部事実を確認できたのにもかかわらず、権力者の判断が最も重要な判断基準になっていることが分かります。つまり、パワハラの音源があろうとなかろうとアンケートでパワハラが数百件見聞きしたものも含めて報告があっても無くても3月の権力の乱用は止められなかったというわけです。

真実相当性の問題ではないよ

様々な理由で擁護している人たちのほとんどの主張が、知事の超権力の使い方を誤った「3月の権力乱用」から始まっている事実から目を背けているということです。
外部機関や第三者委員会になぜ調査を任せないのか、その質問に知事は他の人の名前もあって早く処理しないといけないのでと答えます。しかしこれは言い換えれば、自分の名前も載っているので早く処理したいとも聞こえます。いずれにしても自分の判断が正しく、その判断で押し切るという権力者の横暴は、結果として公益通報者保護法に違反し現在でも兵庫県は法令違反状態を続けているのです。

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