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357 二人の教授の失踪から


はじめに

今日の教育コラムでは、亜細亜大学、神戸学院大学の中国籍の大学教授の消息がつかめなくなっている事案について少しお話してみたいと思います。

失踪中の2人の教授

日本政府も注視している今回の事件ですが、実際には内政干渉になる恐れもあるため、日本政府が何かできることは少ないと思われます。
亜細亜大学の范雲濤教授は中国籍の方ですが、昨年の2月に中国に一時帰国した後、音信不通となっています。また、今年3月には、神戸学院大の胡士雲教授も昨年夏に中国に一時帰国して消息不明になったことが判明しています。両名とも長年にわたり日本で教鞭をとってきた方々です。
日本の大学に所属する中国人研究者をめぐっては他にも中国に帰国した際に拘束される事案があります。
例えば、2013年に東洋学園大の教授、2016年には法政大学の教授が拘束されました。さらに2019年には北海道教育大の教授が拘束されています。

改正された反スパイ法

中国で「反スパイ法」が施行されたのは、2014年のことでした。それ以降において、日本人がこの法律に基づいて中国当局に拘束されるケースが続きました。17件の内、9件が中国の裁判で実刑判決となり服役することとなりました。もちろん裁判は非公開です。どのような行為が拘束するにあたったのかを関係者は知る由もないわけです。
これまでに拘束後に解放されたり刑期を満了したりして帰国した人以外に服役中に病気で亡くなった方も存在します。いまだに帰国できていない人も存在するとされています。
アステラス製薬の日本人駐在員の男性がスパイ活動に関わった疑いで拘束された出来事は、中国で働く多くの日本人に緊張感をもたらせました。現在も中国でのビジネスに関わる人の多くは高い緊張感を持っているという話はよく耳にします。例え、拘束され日本政府が中国当局と交渉しようとも早期解放は難しくほとんどの場合成果が出ません。ですから、こうした法律により取り締まりが強化されている下でのビジネスや観光は、日本で生じるリスクとは別の性質のリスクを負うことになるのです。

国際理解

中国だけではなく、海外でのビジネスや学生生活を送ろうと思った時に、どのようにその国を理解し、その国の法律や習慣と向き合っていくかはとても重要な要素です。これは国内であっても同じで、地域ごとに閉鎖的な場所では、そのコミュニティ特有のルールがあったりします。
そうした、国家体制や社会状況、文化圏の特質、宗教的なイデオロギーなど様々な要素の存在を認識していくことも重要な国際理解教育になるわけです。グローバルな視点に立って物事に関わることの大切さを学ぶことは、自分や家族や会社などを守る力にもなるのです。

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