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43 ビジョン プロ(Vision Pro)


はじめに

今週は、流行をテーマに教育コラムをお伝えしてきていますが、初回は「フルーツサンド」を通して流行を通して歴史的な見方や文化的な意味を考える楽しさに触れました。今回は、アップルが発表し多くの驚きと関心を集めているまさに次世代のコンピューティングの流行を作り出そうとしている、ゴーグル型端末を取り上げてみることで、未来に視野を向けて考えを述べてみたいと思います。

コンピューティングとは

コンピューターによって情報やデータを、自動的あるいは効率的に、計算、処理、保存、伝達などすることを意味します。Vision Proは新たな手法でこれまでにない形態により、そして画期的な方法によってコンピュータを使用する方法を提案しています。中でも、AR(拡張現実)と呼ばれる現実世界を立体的に読み取り、仮想的に拡張する技術を用いることで、現実を拡張している点に特徴の一つを置いています。
また、この小さなゴーグルには多くの最新技術や特許が詰め込まれています。特許の数だけでも5000を超えるそうです。iPhoneがそうであったようにスマートフォンという概念と技術が誕生したことで、それを用いた様々なサービスが世界に広がりました。コンピューティングの未来が、このVision Proによって新たな世界へとつながっていくとしたら、私たちは近い将来、今とは違った生活を楽しむことになるのかもしれません。

高額なVision Pro

実は、この製品は大変に高額な商品となっています。日本円で約50万円もするのです。この値段を高いと見るか安いと見るかは個人により差がありますが、パソコンのように用いることを考えた場合、割高に感じる人が大半ではないでしょうか。こうした最新技術を用いた初期製品はゲーム機器でもテレビでも車でもコストの問題で割高になることはよくある話です。しかし、バージョンやモデルチェンジしていく中で生産コストが抑えられるようになり価格は次第に低下していきます。
初期段階からこうした新しいテクノロジーを手にする利点としては、今後広がりを見せていくのであれば、早い段階で新しい技術や製品に慣れておくことで、2世代目、3世代目の機種にもいち早く対応することができ、ビジネス等に有用な技術を持たざる者に先んじて転用できる点にあります。
ビジョンプロは一般のユーザーが手にすることは現在できませんが、発表会でその最新技術に触れた人々から多くの報告がネット上に挙げられています。例えば、VRゴーグルのようにコントローラーを手で操作する必要がないため、両手が自由に使えることや、手ぶりや音声や目の動きで操作できるだけでなく、視線を動かすことでマウスを操作できるなどといったものです。
ゴーグルの内側にもセンサーがあり、こうしたことをこれまで以上にスムーズにして可能にしているようです。

空間コンピューティング

空間コンピューティングとは、現実空間をデジタルによって拡張することですが、Vision Proでは映像の中にウインドウや3Dオブジェクトを重ねたり、普段の生活の風景の中にアプリが浮いている世界を実現しています。動画等でしか見たことがありませんので体験したわけではありませんが、普段の部屋に好きなサイズの画面を浮かべたり、空間を演出したりすることができる様子に魅力を感じました。
また、Vision Proにはデジタルクラウンというスマートウォッチについている、クラウン型のコントローラーのようなものが付いていて、それを回すことで、VRと通常の視界とを簡単に行き来できるようになっています。つまり、これまでのようにゴーグルをかけることで視界が遮られ続けるわけではないので日常の生活の中でつけ続けることが可能になるのです。

生活に変化をもたらす商品

ディスプレイがいらない、キーボードがいらない、大きな画面がいらない、ビデオカメラやマジックもいらない、となると生活空間や机の上は、どのくらいすっきりするのでしょうか。また、オフィスはどんな形になるのでしょうか。見たままの空間を相手と手軽に共有し、指先一つでパソコンのディスプレイを展開し、映画を再生できるVision Proは、私たちの生活にどのような変化をもたらすのでしょうか。
教育現場において、もしもVision Proが導入されたら、どのような授業が展開できるでしょうか。目の前に動画やテキストが展開し、同時にパソコンのディスプレイが開け、海外の人ともやり取りが自由にでき、VRの世界を展開することも可能になるわけですから、授業の在り方や学校の存在自体が変化するかもしれません。
変化の激しい社会において生きる力を養う必要性がこれまでも叫ばれてきましたが、何をどう学ぶべきなのかをしっかり考える必要がより一層強まったように思います。

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