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548 斎藤元彦 「風向きを変えたい」

はじめに

今回の兵庫県知事選挙の争点は、県民の声を聞く限りでは、知事としての資質を問うが30%、県政の立て直しが20%とこの上位2つの争点で5割を超える意識が集まっています。
さて今日の教育コラムでは、その中でも候補予定者も有権者も共通の対話の出来る知事とはどのようなものなのかを中心に少しお話していきたいと思います。

告発者を黙らせるために

外部窓口に通報をした内部告発者、つまり元県民局長の告発文章を手に入れた斎藤前知事は、外部窓口への公益通報にも関わらず内部調査を開始しました。徹底した調査を命じて直轄の幹部や人事課職員を動員して公益通報者保護法違反にもかかわらず、告発者の探索を元西播磨の県民局長の公用のPCを回収し、徹底的な調査を行いました。その中で指摘に使用していた形跡や私的に作成していた文書を発見し、その情報を幹部職員は印刷し共有して持ち歩き、告発者がその情報の扱いを大変気にかけていたわけです。その事実が実際にあったことを今回の百条委員会で牛タンクラブの幹部の1人が証言しました。個人情報をおさめたファイルを持ち歩いていたわけです。そして、その情報を他者に漏らした守秘義務違反の可能性があったことを百条委員会の場で否定できなかったのです。
さらに、側近の幹部が斎藤知事が前回の百条委員会での発言が真実相当性に疑惑をもたれる可能性があることを証言しました。それは、元西播磨の県民局長に対して行われた懲戒処分が当初は内部通報の調査を終えてから行う予定であったが斎藤前知事から「風向きを変えたいと」いわれ懲戒処分を早める協議を開始したというものでした。
この幹部が発言したと言われている内容が事実なら、当初、9月6日の百条委員会で斎藤氏が証言した内容自体に疑問を持ってしまいます。さらに、懲戒処分ありきで全て進んでいたことや内部の窓口に公益通報がなされているにもかかわらず不利益処分を急がせていることになります。
こうした強権的な公益通報者への口封じともみられるような行動がどれほど告発者への負担になったことでしょうか。

故人への誹謗中傷

告発された内容は全部で7つあります。簡単に項目だけ並べると次のようになります。これらの疑惑がどれほど告発者にとって県政の正常化に向けて重要であり、告発するに値したのでしょうか。また、真実相当性がいずれも全くなかったのでしょうか。各項目ごとになぜ告発者が疑惑をもったのかを私なりに県職員の方へのアンケートやここまでの百条委員会での調査などを基にごく簡単に整理してみます。

(1)法人副理事長解任に対する疑惑について
 ⇒阪神・淡路大震災から30年の節目を迎える時期に当たり、繋ぐというテ
  ーマにもかかわらずここまで貢献してきた方を十分な説明なく解任する
  ことに対する不信感をもった。

(2)令和3年の知事選で知人に投票依頼したとの疑惑について
 ⇒幹部職員や県職員が公約づくりに手を貸していた、または、選挙の事前
  活動に参加していたとの県職員のアンケートに多くの記載が事実存在し
  ている。真偽は別として、こうした見聞きしたとの情報に対して問題意
  識をもつことはあるだろう。

(3)商工会議所に投票依頼
 ⇒アンケートで実際に見たという発言に知事選公示前に斎藤知事と旧県議
 (2023年落選)とが県機関を巡回。「よろしくどうぞ」という記載がある
  ように疑惑をもたれるようなことがあった。

(4)県内企業から高級コーヒーメーカー受領
 ⇒実際にもらっていて、告発文書が出てこっそり返しに行って処分を受け
  ている。他膨大な証言がアンケートにあり疑惑をもたざるを得ない。

(5)政治資金パーティー券の購入を強要
 ⇒補助金を受けている企業に半強制的に購入させている。といった県職員
  へのアンケートの記載が多数あることは事実であり、こちらも実際に生
  じていたら公益を損するため、問題意識をもって疑惑を告発することを
  否定する必要性がない。

(6)補助金のキックバック
 ⇒二つの異なる事業が、トップの指示のもとで同一の幹部が直接動いて実
  現させている。信金へ協賛金の依頼と金融機関への支援事業の予算の拡
  大を同時に進めるのであればコンプライアンスの意識の欠如を感じる。

(7)県職員へのパワハラ
 ⇒あまりに多くの県職員の報告があり、否定することはできない。問題意
  識をもつことが妥当である。

いかに今回の告発文書問題が、公益通報として取り扱われるべき内容であったかがこのようにしてみてもわかるわけです。
元局長の一死を持って抗議するという言葉の意味を私たちは真剣に考えなければならないと思います。公益通報者として保護されるべき調査の結果を待たずに処分を急ぐなど私には到底容認できるものではありません。今回の問題の深刻さを改めて強く感じる発言だったと思います。

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