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252 成人式


はじめに

今日の教育コラムは、私の個人的な感想も多く含みますのでそんな考え方もあるのかという感じでお読みいただければうれしいです。
今日のテーマは、成人式です。因みに私の故郷では、1月8日は雪が多すぎて成人式どころではなく、お盆のころに成人式が行われています。私自身は大学生の頃でしたので、教育実習や夏期集中講座で成人式には出席できませんでした。
さて、そんな成人式ですが、いつごろからどんな目的で始まり、今ではどのようなものとなっているのでしょうか。

成人式の始まり

1945年、太平洋戦争が終戦をむかえた後に始まったのが「20歳で成人式」という考え方です。
戦後間もない頃、1946年(昭和21年)に埼玉県で初めて「青年祭」という名称で行われました。戦後の物不足、荒廃した都市、行き届かない教育など敗戦後の日本は若者に夢や希望を与えられるような状況ではなかったのです。
そんな、未来を担う若者たちを勇気づけようと始まったのが青年祭というわけです。それが全国に広まり、1949年の1月15日が「成人の日」と制定されました。
成人の日が当初1月15日と定められたのには、さらにさかのぼって奈良時代ごろから行われていた男子の成人を祝う元服の儀が関係しています。
元服の儀は新年最初の満月に行う風習があり、それに由来し1月15日となったわけです。その後、2000年にハッピーマンデー法という祝日に関する法律の改正で現在の1月の第2月曜日に変更になりました。

通過儀礼と実力証明

貴族や上流階級の人々が、元服の儀として行ってきた今でいう成人式と農民や庶民が行ってきた成人式にはその意味合いとして少し差があります。前者の場合、ある一定年齢に達することができれば、大人とみるという考え方が強く、後者の場合は、実力が伴えば大人とみるという点で大きく違います。貴族の元服は、12歳~16歳になれば男子は「元服」という儀式を受けます。髪を大人の髪型に結い、服装も大人のものへと改め、幼名から新しい名に切り替えます。一方、農民や庶民は「一人で獲物をとることができれば大人」「米俵を一人で運べるようになったら大人」というような、実力や力量を通して大人か子どもかを判断する通過儀礼が各地に多数存在していました。
大人になるとは、どのようなものかを考えると元服の儀を成人式に当てはめようという考え方には、私は懐疑的です。戦後の混乱期に始まった青年祭のような意味合いは、もうすでにほとんど存在していないと言って良いでしょうし。バカ騒ぎするような成人式となり下がっているのは、行政にも責任があると言えます。

成人式の出席率を上げるために

「成人の日」は1月の第2月曜日と祝日に関する法律で決まっていますが、地域によってはこの日に成人式を行わない市区町村もあります。その理由のひとつが、成人式への出席率を上げるためです。
成人式への出席率は市区町村によって違いはありますが、おおよそ5割程度だと考えればよいでしょう。若者の国政選挙の投票率とほぼ同等です。自治体が出席率を上げるために、テーマパークを貸し切って成人式を行うようになってから数十年が経ちますが、いまだに私は、そうした考え方に対して心から賛同することができません。
行政が、UPさせたいのは出席率であって、成人としての気構えや社会性ではないのではないでしょうか。ですから目先の出席率を向上させるために無駄な税金を用いて、経費の掛かる催しものを開催する傾向が高まっているように思います。
もしかすると成人式自体が不要な時代なのだと思います。戦後の青年祭に端を発した趣旨での成人式はもうすでにこの日本には存在していないと言ってもいいのかもしれません。

大人になるとは

法律である一定の年齢を超えれば、大人としてみなされます。そして、それ相応の責任を負います。世界には、黙っていても成人する国もあるし、黙っていては成人を成し遂げることができない国もあります。
ファン・ヘネップという人が用いた言葉に通過儀礼というものがあります。通過儀礼とは「人々の生涯における誕生・成人・結婚・死亡といった節目を通過する際に行なわれる儀礼」のことを指します。つまり、その儀礼が意味があるか無いかに限らずいずれにしても人生の中で通過するものの一つであるということだけなのです。
成人式に参加してもしなくても成人しますし、意識してもしなくても成人します。だからこそ、あえて成人式にそうした社会人として責任ある行動をとろうとする意識を高めることが大切なのだと思います。
各地で今日も見られたような、成人式に暴走族のような装いや振る舞いで、徒党を組んで騒ぎ、迷惑をかける行為をみていると、ある意味で日本の教育水準の低さを痛感する思いが沸き起こってきます。日本もそろそろ、成人式など関係なく、大人になれる社会を目指してほしいものです。

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