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159 路線バス


はじめに

人手不足は、現代の日本においては深刻な問題の一つです。人材の確保という視点で見ても様々な業界で働き手が不足しています。
今日の教育コラムではそんな深刻さが顕著に表れている路線バスについてお話ししたいと思います。きっかけはあるニュースでした。

平日でも休日ダイヤ

 埼玉県のある路線バスで生じていることですが、バスの減便が起きているようです。地方では、以前よりダイヤの変更の際に便を減らすといったことはここ数年生じていました。
今回は、大都市周辺の東武バスで生じています。大宮の周辺を走行する複数の路線において平日であっても休日ダイヤでの運行を余儀なくされているようです。これによって、平日であっても早朝の便がなくなり7時以降でないと通勤に利用が難しい状況になっています。

減便の理由

田舎の地域、特に山間部で路線バスが減便になったり、走行自体がなくなったりするのは採算がとれないといった経済的な理由が多いようです。一方で今回の減便は別の理由で生じています。それが、運転手不足という理由です。減便されているバス停には、次のような理由が張り出されていました。
「乗務員を確保することが困難なため」
私たちの生活は、高齢化に少子化が重なっているだけではなく、年々日本人の人口が減少していく人口減少社会までも重なっています。こうした中で、運転手不足による公共交通機関のピンチが広がっている状態です。

また、日本バス協会の調べによれば、バスの運転手の不足は、深刻な問題で今後も減り続けることは予想に難しくないとのことです。今まで通りの路線を維持するために必要な13万人の人員の内、来年には10万人を確保するのがやっとだということで、今から5年後の2030年には4万人近い運転手不足になるとのことです。

新戦力の確保

こうした状態は、鉄道界にも及んでいます。地方鉄道の多くが新たな運転手や整備員の人材確保に困っています。
しかし、この状況はバスや鉄道の運転手を目指す若者にとっては夢を手にするチャンスの広がりだけではなく、労働環境や条件の向上にもつながる大転換期になっているという話も聞かれます。
人手不足ということは、需要があるということでもあり、特に私たちの暮らしに欠かせないインフラに関わる交通などは生活基盤であり、失ってよいものではありません。社会の変化と共に生活スタイルやテクノロジーがいくら進化しようとも、私たちは様々な年代や状況の人々が混在して生きていること言うことを忘れてはいけないのです。
いつからか自動運転の技術が進化した社会では、人はもう乗り物を運転しないのかもしれません。しかし、当分の間こうした新たなテクノロジーが軌道に乗るまでは依然として人が人の手で動かしていくのだとすれば、私たちは社会的大転換の節目で、どのような取り組みをしていく必要があるのでしょうか。
現代社会のテーマを考えてみることは、生き方を考える良い練習になるように思います。皆さんも時間があったら興味があるテーマだけではなくニュースなどをきっかけに少し考えてみると面白いかもしれません。

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