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454 再稼働を事実上認めず

はじめに

今日の教育コラムでは、原子力発電を担う企業の大手である、日本原子力発電(日本原電)が再稼働を目指している福井県にある敦賀原子力発電所2号機について、原子力規制庁が、事実上の再稼働を認めない判断を下したことについて少しお話してみたいと思います。

安全性の確認

原発の規制基準に適合しているかどうかを問うた今回の審査では、再調査すらも必要ないと言わんばかりの厳しい判断が下されました。
今回の論点は、敦賀原発の原子炉建屋の真下を走る断層が将来動く可能性があるかどうかという点でした。地中深くをボーリング調査した結果などを提示した日本原電でしたが、それをもってしても断層が動く可能性を科学的に否定する根拠にすらならないとの判断でした。
つまり、断層がある上に原発を建ててしまっている時点で、再稼働は難しいということかと思います。この厳しい判断が事実上、再稼働を認めない結論ということになります。
福島第一での原発事故の爆発事故並びにメルトダウンを引き起こした2011年以降に経済産業省から切り離されて設置された原子力規制委員会としては、発足後初めて、このような厳しい判断を下したことになります。

原子力規制員会

原子力規制委員会と事務局の原子力規制庁は、2012年に新設されました。これまで原子力の利用を推進してきた経済産業省から安全規制部門を分離させたわけです。そのため原子力規制委員会は独立性が高く、他の機関の圧力にも屈しない機関となっているわけです。
原子力発電は、国策としてこれまで進められてきた日本のエネルギー政策の柱の一つでした。相当の血税が注がれてきましたが、再生可能エネルギーのなかでも自然エネルギーに関心が高まる中、東日本大震災以降は特に原発への風当たりは強くなってきています。
原子力規制委員会が今回下した判断は、原発を廃炉にするための機関かのような誤解を与えるほど強いものでした。しかし、福島で発生した事故を考えれば、厳しい規制基準が必要なことはいうまでもありません。
世界の各地で脱原発が進む一方で、原発の開発と研究を一層進めている国もあるわけです。

知ることの大切さ

日本のエネルギー計画を知っておくことはとても大切です。脱炭素社会との関係なども踏まえて朝日新聞SDGs ACTIONはそうした情報を積極的に発信しているサイトの一つです。興味がある方は是非ご覧になってみてください。

日本は、各地に活断層があり地震も大変に多いです。また、津波などによる甚大な被害も予想されます。だからこそ、活断層の上に安全上重要な設備を設置することを原子力規制委員会は認めていないのです。
では、どのような仕組みでこの日本はエネルギーを確保していくべきなのでしょうか。その答えはどうやら自然エネルギーの割合を高めていくことと蓄電システムを効率的で低価格なものにしていくことにあるようです。

朝日新聞SDGs ACTION

日本政府の無理な計画

東日本大震災後に全ての原子力発電所が停止したこともあり、2014年度には、日本のエネルギー自給率は過去最低の6.0%になりました。
その後、新エネルギーの導入の拡大や原子力発電所の再稼動が一部で進み、2015年度には7.0%(推計値)になったものの、他の先進諸国に比較すれば極めて低い水準です。資源が無いということは、自分たちの世界つを海外の情勢にゆだねていることになるわけですから大変に危険な状態です。
下の図は、各発電の特色をまとめたものですが、これを見てもわかるように完全な発電方法などありません。つまり私たちの国は資源もない、完璧な発電方法も無い、そう言った状態の中で長い時間をかけてエネルギーについて考え取り組んできているのです。

各種発電の特徴

そこに来て、原発再稼働への厳しい視線は社会的にも科学的にも、法律的にもかなり無理がある状態にあると言えます。この状況の中で稼働を許された原発はごくわずかな状況で政府の掲げている今後のエネルギー政策は抜本的に見直す必要があります。

資源エネルギー庁

猛暑の日にエアコンを全開にして過ごす日々が続いている日本では、今後のエネルギー問題はまさに死活問題だと言えます。皆さんは、原発の再稼働も含めてどのような意見をもたれるでしょうか。理想だけでは現実はなかなか乗り越えることができません。

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