見出し画像

【ダイバーシティ工房法人設立10周年】これまでの歩みと想い

皆様、こんにちは!NPO法人ダイバーシティ工房代表の不破です。
2022年3月21日、春分の日にダイバーシティ工房は設立して10年が経ちました。

まず、ダイバーシティ工房のサービスを利用してくれているご家族やご寄付で応援してくれている皆様、研修やメンタリング、コーチング等でサポートしてくれている方、物件を貸してくれているオーナーさんや不動産屋さん、いつも工事をしてくれている業者の皆様、制度事業を許認可してくれている千葉県や東京都、船橋市、江戸川区、そしてもちろん市川市にも心より感謝の気持ちを伝えたいと思います。

そしてこの10年間一緒に働いてくれている仲間へありがとうざいます!と感謝の気持ちで溢れています。

10年を機に、私たちダイバーシティ工房の歩みを振り返るとともに、この先の10年の取り組みについてもみなさまにお伝えできればと思います。

10年を振り返って


振り返ってみれば、あっという間の10年です。
設立当初は私は29歳、NPO法人の申請や登記は当時インターン生だった今の職員が、NPOサポートセンターさんや紹介してもらった税理士さんにチェックやアドバイスをもらいながら申請してくれました。

法人化をする前の2年半は個人事業として自在塾をやっていたので、もう12年の月日が過ぎたと思うと信じられません。
ダイバーシティ工房の前身は、自在塾という私の父が40年近く前に自宅の庭で始めた塾でした。

私の中で自在塾は物心がついた時からすぐそばにあり、そこに通う中高生と夏休みには一緒にキャンプに行って夜のキャンプ場を出た田舎の町なかで肝試しをやったり、一緒に川で遊んだり、年上のお姉さんとおにぎりを握ったりと楽しい思い出ばかりでした。家には肝試し用のおばけのかなりリアルな被り物や野外炊事用の飯ごうなどがありました。

私が自在塾の運営を始めた最初の頃は、中3生の卒業祝いや職員全員での合宿でBBQをやっていました。
今も家族でキャンプに行き、ダイバーシティ工房のメンバーでもプライベートでもよくキャンプに行くのはおそらく小さい頃の楽しかった思い出が大きく影響していると思います。

この頃のことは、こちらのムービーで紹介もしているので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/ker9R0wSKA4


当初はインターン生たちと一緒に日々打ち合わせを重ねていました


各事業の始まり

【スタジオplus+】

10年前の2012年はまだ自在塾しかなく、その年の10月にスタジオplus+国府台教室という今はなき当時の自在塾と同じ建物に併設したカタチで教室をOPENしました。スタジオplus+を始めたきっかけは自在塾で出会った数人の生徒でした。

最初は4,5人のグループ授業だった自在塾ですが、私の教える力も乏しく、特に発達障害の子の特性や教え方の知識もなかったため、グループでの授業はなかなか成り立ちません。また当時も今も自在塾は発達障害の子向けの塾ではなかったので、通っている子に特性がある子もいればそうでない子もいました。

ただ私が出会った数人の子は個別に、まずは家庭の様子やその子自身の学び方やこれまでの学校生活でどんなふうに過ごしていたのか、丁寧に時間をかけて聞き取りしないと授業は成り立たないな、と感じました。またそれは同時に経営的にも今のやり方では完全に赤字になってしまう状況でした。

当時、日中は大学職員として働きながら深夜まで助成金の書類を書いたり授業をしたり、足りない知識を補うために本で学んだり、集客のためにブログを書いたりと多忙な日々を送っていた私は早くその生活から抜け出したいと思っていたので、赤字はなんとしても回避したいと思っていました。

そんな中、同時期に起業し今も浦安で児童発達支援事業や全国へのコンサルを展開しているNPOの法人発達わんぱく会の理事長に相談へ行き、現在の放課後等デイサービスを教えてもらったのです。
こうして私の自宅の横で始まったスタジオplus+。今は市川市以外にも東京都江戸川区と千葉県船橋市にも増え、法人の基盤を支える大切な事業です。

スタジオplusのニーズは高まり、現在は5教室を運営しています


【地域の学び舎「プラット」】

その後2017年に地域の学び舎プラットを立ち上げました。スタジオplus+は制度事業として人材の採用や育成などの体制も確立した一方、発達障害の診断がないと通えず、親が障害受容をしていること、病院や役所に行って手続きができること、毎週送迎ができる家庭だけが通える教室形態になっていました。

そんな中私自身は「スタジオplus+にはきっと問い合わせて来ないだろう」、特に親の関心があまり教育には向いていなく、日々の生活で精一杯の状況の家庭の子でも、私が自在塾で出会った中学生のように友達同士で誘い合って来れる、家に帰りたくない時には泊まっていける、勉強だけじゃなくてその時々悩んでいること、何気ない会話をできる「ほっとできる場所」を作りたいな、と思うようになっていました。

それに子どもだけじゃなくて、大人だって「仕事や家庭での自分の役割から離れて、フラットな自分になれる、そんな場所も欲しい」と2013年に1人目を産んでからずっと思っていた、私にも必要な場所でした。

そんな話を元自在塾の生徒で、創業期から一緒に働いてきた八神さんに話し、そして赤字覚悟で京成線の菅野駅近くにたまたま見つけた古民家風の一軒家を、事業計画もあまり立てずに借りてしまったところから「プラット」は始まりました。

「地域の学び舎プラット」という名前も、立ち上げメンバーだった職員やインターン生達とあーだこーだ話しながら、最終的に誰でもぷらっと立ち寄れる、地域のプラットフォームになったらいいね、という想いを込めて作りました。

その場所の始まりはなるべく色んな人に関わってもらいたい、と思ったので家を見つけた時からFacebookで発信し、開設の補助金もなかったので家具や家電などは、ほぼすべて応援してくれる人からもらったものです。またクラウドファンディングも行い250万近くのお金を集めて、応援してくれる人も250人近く集まってスタートさせました。もらってもそのままでは使えない家具や内装は、職員合宿やDIY祭りや前夜祭と称して泊まり込みで地域の人と一緒にペンキを塗ったり、壁紙を張り替えたり、棚を作ったりしたのも良い思い出です。

そんなプラットの特徴は地域の誰でも来られるように、夏祭りの開催や日替わりのカフェをやっているところです。学習支援だけでは関わることのない地域の人達との接点を作るべく始めた取り組みですが、夏祭りは流しそうめんやフランクフルトなどの屋台も出て、毎年たくさんの人が来てくれていたので、コロナが早く収束して2022年は開催できるといいなと思っています。

DIY祭りを行いたくさんの人の手でつくりあげていきました


【にじいろおうちえん・そらいろおうちえん】

その後2018年に、立ち上げたのは「にじいろおうちえん」と2019年の「そらいろおうちえん」
学習支援ではない大きな事業としては初めての事業です。きっかけは当時、待機児童が全国でワースト4だった市川市で、私の息子も待機児童になったことです。

直接のきっかけは子どもが保育園に落ちたことでしたが、それとは別に保育園に関しては、第一子を通わせていた保育園での苦い経験もあります。2013年に第一子を産んだ時は、夫は教員で毎日朝早く家を出て夜遅く帰ってくる、週末も部活の大会で出勤し、ほぼ子育ての時間は取れないような暮らしでした。私自身も初めての子育てで、当時は職員も常勤は5名もおらず仕事も忙しく夜もよく眠れない、でも保育園に預けに行くとちょっとしたことで注意されたりと、保育園へ行くのが本当に毎朝憂鬱で、でも転園もできないという状況に絶望感を感じていました。

仕事も子育てもこんなに大変で、でも頑張っているのになんでこんな辛い思いしなきゃなんないの…、こんなに子育てが大変な日本ってマジで終わってる、頑張っている人が絶望する社会なんて絶対おかしいし、そりゃ子ども生みたくなくなるわ、と毎日憤っていました。

そんな憤りとか怒りが保育園立ち上げの時の原動力になって「にじいろおうちえん」は立ち上がりました。にじいろおうちえんは私の怒りが原動力なので、とにかく保育園に入れなくて困っている人、絶望している人を最優先で入れたい、そして子どもを保育園に預けることで、その人やその家庭が本来やりたかったことを諦めないで欲しいと強く思っていました。

そして保育園は子どもの育ちをサポートするだけではなくて、家族に子どもが増えて新しいカタチになっていく過程で出会う葛藤や楽しさに寄り添い伴走できる強力なパートナーになれることも実感しました。

おうちえんは子育て家庭のパートナーであり、また家族が新しいカタチになって、家庭を構成するメンバーがそれぞれがその人らしく暮らせるようにサポートする場所だと思っています。

だからこそ、フラットな関係でありたいと思い保育士のことも保護者のことも、○○さんと名前で呼ぶこと、お仕事の話も、「うんうん」と聞くことを大事にしようと開園当初に話をしました。
おうちえんは多分、他のどの事業よりも私がほしかった場所だと思っています。

子育てのパートナーとしていられる場所を目指しています


【ルポール・ルファール・むすびめ】

その後2020年3月の沖縄移住をきっかけに元自宅を改装して始めた自立援助ホームのルポール、そしてLINE相談のむすびめ、シェルターのルファール。

立ち上げにはコロナの影響ももちろんありますが、どれもずっとやりたいと考えていた事業です。

個人事業として始めた2010年から、色んな家族の話を聞いたり、自分自身が暮らす中で、「あったらいいな」「何で世の中にないんだろう」「こんな場所に相談したかった」「もし自分がこの人だったらどうしていたかな」

そんなことをいつも考えてます。
世の中に欲しいもの、なくて困っているもの、不便を通り越して怒りが込み上げてくるもの、感動して何度も思い出すこと。そういう自分自身の感情やふと閃いたり降りてくる直感を私はとても大切にしています。

ルポール・ルファールはあたたかみのある空間で、女性たちが落ち着ける場所をつくってきました


これからの10年に向けて

これからやりたいことも、頭の中にたくさんあります。
ルポールやルファール、もしかしたらスタジオplus+を卒業した子向けのオシャレで居心地の良いグループホームや、負のループに陥りやすい母子向けのシェアハウス、対象は問わず、旅のように暮らすシェアハウスなど、居住系の施設の必要性を感じています。

また、第三子の出産で産前、産後の継続した関わりが人の人生に影響を与えることを実体験を通して感じました。産前産後を過ごせる助産院や訪問看護を使った産後ケアやにじいろ・そらいろおうちえんを卒園した子達や0〜5歳までが通えるカフェやコミュニティスペースも併設した保育園。保護者同士で、時々集まったり、泊まれたりする場所を作っていくことも思い描いています。

「支援を受ける側」「支援をする側」の関係ではなく、誰もが持ち合わせているマイノリティの部分を認め合いながら、生活の一部となるような、生き方、暮らし方が実現できる社会をこの先の10年作っていきたいと思っています。

この10年、私たちの活動を支えてくださり本当にありがとうございます。

これからの10年も、引き続き皆様と一緒に歩んでいきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年3月21日 代表理事 不破 牧子


ダイバーシティ工房は、だれもが自分らしく生きていけるまちづくりに取り組むNPO法人です。発達障害児への学習支援、産前産後の母の孤立防止のコミュニティカフェ、様々なこども・ご家庭が利用できる保育園、SNS相談、無料の食事つき学習教室、若年女性・母子の生活支援拠点の運営などを行っています。

次の10年の活動に向けて、一緒に地域の子どもたちを支えてくださるサポーターを募集しています!単発でのご寄付も受け付けています。ぜひ応援よろしくお願いいたします。


活動報告やイベントのお知らせを配信中ですので、ぜひメールマガジンにご登録ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。 これからも、活動を継続してまいりますので、応援したいと思ったら、ぜひ「スキ」のボタンをポチッと押していただけると、励みになります! サポートをいただけることも、とっても嬉しいです。