【福島篇①】日本全国の支援団体と繋がりたい「全国出張プロジェクト」
こんにちは。
NPO法人ダイバーシティ工房・生活支援事業部の山崎です。
ダイバーシティ工房では、今年度の9月から3月にかけて「全国出張プロジェクト」と称して、全国各地の子ども若者支援に取り組まれている団体さんの活動を直接見に行く取り組みを開始しました。
プロジェクトを通して、全国の団体さんの活動を勉強して私たちの本拠地・市川市の地域づくりへ還元したり、
むすびめに来られる全国の利用者さんへの情報提供・連携に活かすことが目的です。
プロジェクトの記録を公開しながら、日本全国の支援団体から得た学びを共有したいと思います。
今回は福島県内の、子育ての悩みに対応している団体さんと、学習支援・就労支援をしている団体さんを中心に7拠点を3日で巡る刺激的な学びを2回に分けてお伝えします。
1日目
特定非営利活動法人ぴぃかぁぶぅ
特定非営利活動法人こおりやま子ども若者ネットワーク ゆ~くる
2日目
特定非営利活動法人ビーンズふくしま フリースクール
児童養護施設 青葉学園
母子生活支援施設 福島敬香ハイム
3日目
いわき地域若者サポートステーション あすびんち
株式会社あんど 放課後等デイサービス U.AND舎 I.AND舎
出張メンバーは、久しぶりの遠出にもワクワクしている私と、
メンバー唯一の出張経験者で、アウトリーチ事業部で学習支援に携わる石原田。落ち着いた物腰でチームの精神的支柱の学習支援事業部の上田。
そして、子どもを取り巻く施設視察に意欲的な保育事業部の高臣です。
子どもだけでなく、保護者の孤立を防ぐためのプロジェクト
◯特定非営利活動法人ぴぃかぁぶぅ
設計時に、家でもなく、施設でもない、その間の空間をオーダーしたという3施設が新興住宅街に並んでいました。
ここでは放課後等デイサービス利用のない子も参加できる地域の子どもたちに開かれたスポーツ教室・サッカー教室も開催されています。
子どもだけでなく、保護者の孤立を防ぐためのプロジェクト・「ぺアレントプログラム」を県の委託事業として実施し、保護者の横の繋がりを作るために少人数で繰り返し会う機会・場を設定しています。前述のスポーツ教室・サッカー教室も保護者同士の交流の場としての機能を果たしているそう。
子どもの成長や暮らしやすさを支えるために、施設の外の他の子どもや地域からの見え方、親や支援する側の大人へのサポートなど、常に子どもを取り巻く環境そのものへの視点を持たれていることが、とても勉強になりました。
代表の吉田さんの「児童福祉、障がい者福祉は周囲から『大変そうだね』と言われる状態だと前に進めない。まずは大人がワクワクして楽しむ、そうすればいろんなことが動き出す」という言葉も心に響きました。
子どもの意見を徹底的に聞き、できることを実現している
◯特定非営利活動法人こおりやま子ども若者ネットワーク「ゆ〜くる」
訪問当日、立ち上げメンバーの1人であるAくんが、ゆ~くるの各部屋を案内してくれ、Bくんは、豆から挽いたコーヒーを淹れてくれました。
拠点は、最初は右も左も分からなかった子ども達が、不動産や防災のことを勉強した上、約半年かけて物件を探し、DIYで作った場所だそう…!
物件探しは当初難航したものの、物件の条件面だけではなく、オーナーさんとも良い出会いがあったそうです。そこは元病院で、知名度が高く元々地域に根付いた使われ方をしていた場所だったため、人が集まりやすいという利点もあったとか。
私たち自身、福祉施設や子どもの出入りが多い拠点づくりのために物件を探すと、地域やオーナーさんの理解を得ることや条件に合う物件を見つけることが本当に簡単ではないと痛感しているので、周囲から理解され人も集まりやすいということが本当に素晴らしい状態だと思いました。
子どもの意見を徹底的に聞き、実際にできることから実現している点も感銘を受けました。大人の枠に子どもを入れるのではなく、子どもも枠を作る側(社会を構成する一員)という視点がとても大事だと感じました。
自分に興味を持って一緒に考えたり行動をしてくれること
◯特定非営利活動法人ビーンズふくしま フリースクール
事業長の菅野さん曰く「マンネリが嫌なんです。」
月に一回、新しい人の講座やセミナー、変わったことを取り入れて、子どもたちへの刺激を常に考えているとのこと。この考え方やフットワークの軽さは本当に見習いたいです。
ルールも過ごし方も子ども自身で決める子どもたちの居場所では、自分たちで意見を出し、聞き、考えます。
司会、進行、実施も子どもたちで行うこの場所では自己選択を大切にしているそうです。
子どもが求めているのは、「知っている、分かっている」大人ではなく、自分に興味を持って、出来ないことも含めて、一緒に考えたり行動をしてくれること。
ここでもやはり、子どもたちの声を「聞く」ということを学びました。
子どもを見守る目を地域とつながり広げていく
◯社会福祉法人青葉学園(児童養護施設)
現地に到着すると、そこは小さな街のように一軒家やホール付きの大きな施設が建っていました。中央の園庭のような広場には遊具があり、ホールは地域に開放していて、クリスマス会などを開いたり、避難所としての役割も担っています。
職員の方が自作の資料を使って学校の先生向けの研修を行ったり、地域とのつながりを大切にすることで、見てくれる目と、支える手が増えていくのだそうです。その結果、子どもたちの学校の友達や保護者達とも、「施設の子/施設の職員」ではなく「友達/保護者」として関係を作れているとか。
児童家庭センターあおばを2022年9月開設し、地域の子どもと家庭の相談援助を担っています。
相談全体の約4割が「養護=親の経済的困窮・病気による養育不安」だそうです。
相談される方の継続的な支援のために「あおば子育てゼミ」という仕組みを作っていて、リフレッシュや交流を目的とした「サロン」と、学びを主とした「セミナー」の2本立てになっています。
セミナーは保育士や保健師による入園前の心の準備講座「保育園スタート!」を実施し、里親さんも対象です。
将来的にはパパサロンもやりたいとのことで、子育てを母だけに担わせないという姿勢が、多くの家庭の子育てや暮らしやすさにつながるものだと思いました。
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今回も子どもや若者の力を信じ、待ち、任せつつ、柔軟なサポートを提供している支援者や団体さんとの多くの出会いがありました。
レポート後半はこちらから!
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「全国出張プロジェクト2023」は、厚生労働省による孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業の支援を受けています。
ダイバーシティ工房は、どんなライフステージにあってもだれもがふと相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。
SNS相談むすびめのほか、学習教室、コミュニティカフェ、保育園、食料支援、生活支援拠点の運営など地域の0歳~20歳の子ども・若者とその家族を主な対象に活動を行っています。
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