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2024年に紹介したLinuxを振り返ってみる

はじめに

今年もあと僅かになりました。
月並みな言葉ですが、最近、本当に1年が経過するのが早く感じます。
さて、今年最後の投稿になりそうなので、今回は2024年に紹介したLinuxディストリビューションを振り返ってみようと言う企画になります。


2024年に紹介したLinux

1.KALI LINUX

KALI LINUX

辰年といういうことで紹介したのが、ドラゴン、微妙にタツノオトシゴにも見えるロゴを採用しているLinuxである『KALI LINUX』を2024年一発目に紹介させていただきました。
こちらのLinuxは、一般ユーザーが利用するのとは少し使用用途が異なり、ペネトレーションテスト(侵入テスト)を行うためのツールとして使われるLinuxになります。システムやサーバ公開前などに、外部からのペネトレーションテストを実施し、それが突破できるかどうかを試し、そのシステムの安全性を検証します。
一応、通常のLinuxデスクトップとしても使用できますが、こういったテスト用途以外の目的でこのディストリビューションを選択することはまずないでしょう。

2.LinuxMint 21.3 Mate

LinuxMint 21.3 Mate

『LinuxMint』といえば、自分は良く、同じプロジェクト内で開発されているCinnamonデスクトップ環境を紹介するのですが、MateというGnome派生のデスクトップ環境のものを紹介しました。
Linuxmintは、数多あるLinuxディストリビューションの中でも、ユーザフレンドリーで癖も少ない、安心してオススメできるLinuxの1つです。
いくつかデスクトップ環境を選択できますが、その中でMateは比較的おとなしめなデスクトップ環境、ただ、少し手を加えることで、とたんに派手なアニメーション効果を加える事ができます。
LinuxMint Mateでは予めCompizというウィンドウマネージャーやその設定項目がインストールされているため、ウィンドウマネージャーを切り替えるだけで、派手なイフェクトを追加出来ます。Compizの設定項目はかなり多いので、選択するのはちょっと大変です。

3.Ubuntu Sway Remix

Ubuntu Sway Remix

『Ubuntu Sway Remix』は、タイル型のウィンドウマネージャー『Sway』を採用したUbuntuになります。公式フレーバーではなく、コミュニティ開発のRemix版になります。
こちらはマウス操作ではなく、キーボード操作主体になります。デスクトップ上にキーバインド(キーの組み合わせによる機能表)が載ってありますので、慣れるまでは、それを見ながらの操作になります。
例えば[Windows]キー+Dで検索ボックスが開き、そのまま起動したいアプリやファイルを入力すると絞り込み検索が出来、選択してENTERで起動といった感じで操作します。
起動すると最大化された状態で開き、別のアプリケーションを起動すると左右に2分割された状態でタイル状に並びます。
慣れればアプリの起動やウィンドウの操作を素早く出来る反面、やはり習熟が必要です。玄人好みのウィンドウマネージャーですね。

4.Pop!_OS

Pop!_OS

『Pop!_OS』は、UbuntuベースでGnomeデスクトップ環境という組み合わせのLinuxディストリビューションです。コレだけ聞くとUuntuと一体何が違うのかよく分かりませんが、触ってみると、アプリ起動までのアクセシビリティ、柔軟なタイリングウィンドウ、マウス操作でもキーボード操作でもストレスなく使える操作性等、非常によくできているLinuxです。
今年は、UbuntuのLTSがリリースされた年なので、今年中には新しいバージョンが出るかと思っていたのですが、開発バージョンはアルファ版のままであり、正式版どころか、β版もまだのようです。
ファンの多いLinuxなので、来年はぜひ正式版のリリースをしていただきたいところです。

5.KaOS

KaOS

独立系Linuxである『KaOS』です。特に何かをベースとしているわけではありません。パッケージマネージャには“pacman”を採用しています。
デスクトップ環境はKDEPlasmaですね。
他のディストリビューションでは、あまり見ない右側に配置されているタスクトレイ、アイコンをクリックすると右から左にアニメーションでひょこっと表示されます。
ブラウザは、Falconを採用しており、これもあまり見ないですね。
オリジナリティもあり、見た目もなかなか良いデザインなのですが、日本語入力関係の設定が自分には出来ませんでした。
ここさえ、クリアできれば、オススメのLinuxとして紹介出来るんですけれどね。

6.Accessibe-Coconuts

Accessibe-Coconuts

動画的にはあまり再生されなかったですが、個人的にはオンリーワンで面白かったのが、この『Accessibe-Coconuts』です。
なんと視覚障害者のための音声での読み上げソフトが入っているLinuxになります。
アプリの名前、アプリ上の操作、ホームページの読み上げ等を行ってくれます。
デスクトップ上に読み上げのオン/オフのスイッチがあるのも良いです。ただし、こちらの読み上げソフトは日本語には対応していません。まぁ予想通りではありますが、日本語の読み上げに対応してくれれば、結構注目浴びそうなLinuxなんですけどね。

7.KDEneon

KDEneon

『KDE neon』は、Ubuntnu LTS(長期サポート版)とKDEPlasmaの組み合わせのLinuxになります。KDEPlasmaの最新版をいち早く取り入れているLinuxなので、KDEの最新機能を試したい方は、このLinuxを選択するのが良いでしょう。
入っているアプリは標準的なアプリであり、そこまで尖ったソフトはありません。しかしKDEPlasmaの標準アプリはデザインが良く機能も優れたものが多いこと、多くのウィジェットが利用出来ること、細やかなカスタマイズが出来ること、設定によって多くのアニメーション効果を利用出来ること等、優れたKDEデスクトップ環境の最新版を利用出来ることが、最大の特徴に思えます。

8.Pepermint Classic

Pepermint Classic

『Peppermint Classic』は、Peppermint OSの開発者からの2023年のクリスマスプレゼントであり、Peppermint10ベースの一回限りの復刻版のようです。その時は気づかずスルーしてしまいましたが、2024年に入ってからリリースされていることに気づきました。
ちなみに、最新版のPepermint OSでは、デスクトップ環境がXfceのみで統一されてしまったこと等が一部のユーザーにとっては不満があったみたいであり、この復刻版はLXDEとXfceのハイブリッドになっています。
また、最新版のPepermint OSでは、インストールされているアプリが少なくなりすぎてしまったこと、ウェブサービスをローカルアプリのようにしてくれるアプリ「ice」が「kumo」というアプリになってしまい、若干使い勝手が悪くなってしまったことが個人的に残念でしたので、この復刻版は嬉しいところです。個人的には、最新版とClassic版の2系統で開発していただければ、もっと嬉しいのですが。

9.Ubuntu 24.04

Ubuntu24.04

『Ubuntu』に関しては、特に言うことはないでしょう。
言わずと知れたLinuxデスクトップのイメージをガラッと変え、サーバ用途がメインであったLinuxをデスクトップ用途としても利用出来るくらい、ユーザフレンドリーにしてくれたディストリビューションになります。
毎年4月と10月の年2回、計画的にリリースされており、4月リリースのものに関しては、2年に一度、5年間の長期サポート版としてリリースしております。
今回のリリースでは、インストーラが変更になったこと、そしてGNOME46が採用されたことによる変更が大きいです。
使い勝手自体は、より向上していますが、インストーラーは殆どの方にとって1回きりの作業ですし、後は採用しているGNOME46の変更内容に依存しているくらいであり、個人的にはもう少し目玉となる追加機能が欲しかったところです。
とはいえ、完成度が高いOSであり、今回のバージョンアップは長期サポート版になりますので、Windows10のサポート期限が見えてきた今、乗り換えるには良いタイミングかと思います。

10.ChromeOS Flex

ChromeOSFlex

『ChromeOS Flex』は、端的に言えば、ChromeBookのOS部分を無償公開しているものになります。ChromeBookが新機能を搭載するたびに、『ChromeOS Flex』でも新機能がつかえるようになるみたいです。
今年紹介したバージョン124では、PDFの画像をスクリーンリーダー向けのテキストに変換したり、『ChromeOS Flex』とAndroidスマートフォンでシームレスにファイルを共有したり、仮想デスクトップの切り替えがスムーズになったりとしっかりと新機能を体験できます。ただ、その使い勝手は、本家ChromeBookには流石に劣ります。
「ChromebookはハードがChromeOSに最適化されている」、このことは単純に起動時間や操作の速さだけにとどまらず、機能面、操作面にも影響してきます。そのため、ChromeOSをフルに体感したい場合は、Chromebookを購入するのが良いでしょう。ChromeOSがどのようなOSなのか、機能を試してみたい、もしくは古いパソコンを有効活用したいならば、『ChromeOS Flex』は良い選択になるでしょう。

11.BrOS 24.04

BrOS 24.04

『Br OS』は、Kubuntu 24.04をベースとしているブラジル産のLinuxになります。
すっきりとした透明感のあるウィンドウに見やすいフォント、とても良質なデザインのデスクトップです。
ブラウザは、“Librewolf”という“Firefox”ベースのブラウザを採用、オフィスソフトは、“Only Office”と定番アプリからは、ちょっとズラしていることにこだわりを感じます。
また、プリインストールされたアプリケーションの中にAIを搭載した対話型検索エンジンのアプリである「Perplexity」がある等、最新の技術も取り入れています。
デスクトップの操作性はWindowsの操作性を踏襲しており、使い勝手も良好です。
残念だったのは日本語入力が、インストール直後から出来なかったことです。必要パッケージのインストールをターミナルで行う必要があります。
全体的に見て、良質なデザイン、使い勝手の良いお勧めできるLinuxです。

12.Nyarch Linux

Nyarch Linux

『Nyarch Linux』とは、その名の通り、ArchLinuxをベースとしたディストリビューションです。デスクトップ環境はGnomeデスクトップ環境。
そして日本の漫画やアニメファンのためのLinux、“可愛さ”を重視したLinuxとのことです。
ただ、はじめは、この手のものにありがちな、ただ壁紙をアニメイラストにしたり、色彩をピンクベースにしたりといった、見た目だけそれっぽくして、中身は大して手が加えられていないものではないのかという不安がありました。
しかし、意外といっては失礼ですが、しっかりと作りこまれたLinuxであり、アニメ調のイラストの壁紙、“Catgirl downloader”や“Wife Downloader”等の、お遊び的なライトな要素から、レイアウト変更の切り替えやデスクトップ効果のオン/オフ、独自のスクリプトの実装等、使い勝手を良くするような工夫が随所に見られました。
残念なのは、日本語関係です。初期フォントがあまり綺麗ではないこと、そして日本語入力の設定方法が自分には分からなかったことです。
今後、継続して開発が続くのであれば、この辺りを改善していただければ嬉しいです。

13.FydeOS

FydeOS

『FydeOS』は、ChromeOS Flexの代替となりうる(?)かも知れないOS。イギリスの会社、“Fyde Innovations”が、中国人学生向けにビルドしたChromeOSの一種になります。
単なるChrome OS Flexのクローンではなく、『FydeOS』独自のアカウント管理、独自のApp Storeを用意している等、Googleとしてではなく、『FydeOS』としてのサービスを提供しています。
それゆえ、『FydeOS』内での情報管理は気になるところです。
正直現段階では、Chrome OS Flexに代わるものにはなっていないため、オススメは出来ません。素直にChrome OS Flexを利用したほうが、豊富なアプリを安全に利用できます。
ただ、こういった意欲的なOSは自分好みです。クラウド分野での活用やFydeOSを組み込んだタブレットPCの販売もされており、今後の展開によっては、Chrome OS Flexに代わるものとして選択の1つに挙がる可能性もあります。

14.Peppermint Loaded

Peppermint Loaded

『Peppermint Loaded』は、Peppermint OSに新たに加わったラインナップです。通常の『Peppermint OS』は軽量なクラウドサービスの利用に注力したLinuxです。対して『Peppermint Loaded』では、Flatpakパッケージが利用できるので、通常の『Peppermint OS』よりも多くのアプリを利用可能です。通常の『Peppermint OS』では、「インターネット」のカテゴリーの中に“LibreWolf”というFirefox派生のブラウザになっており、良く利用される“Firefox”ではないことが分かります。また、プリインストールされているアプリの中に、オフィスソフトもありません。
一方、『Peppermint Loaded』ですが、「インターネット」のカテゴリーをに、Linuxではおなじみのブラウザ“Firefox”が入っています。また、同じく定番であるメールクライアントの“Thunderbird”やBitTorrentクライアントの“Transmission”がプリインストールされています。
本家の『Peppermint OS』が、かなりスリムであるため、自分で好みのアプリをインストールする必要がある一方、こちらの『Peppermint Loaded』は予めよく使うアプリをプリインストールしていますので、より初心者向けの『Peppermin OS』といった感じですね。

15.Linuxmint22

Linuxmint22

『Linuxmint 22』は、2029年までサポートされる長期サポート版になります。Linuxmint は、Ubuntuをベースにしたものと、Debianをベースにしたものがあり、今年紹介したものは、Ubuntu 24.04ベースのものになります。今回のバージョンでは日本語入力を行うのに、設定が必要になったことが残念なポイントです。以前は出来ていたんですけどね。
ですが、ブラウザ、メールクライアント、オフィスソフト等よく使うアプリが充実していること、複数台のパソコンでのファイル転送アプリや、バックアップツールなど、組織で利用するにあたっても便利なアプリが入っていること等、他のLinuxディストリビューションと比較して、使い勝手が良いことには変わりはありません。
安心してオススメ出来るLinuxディストリビューションです。

16.open.Yellow.os Freesia

open.Yellow.os Freesia

こちらはPCFreedomのコダシマさんのところで開発されている『open.Yellow.os』ですね。開発の中心となっているのはToshioさんです。
日本で開発しているOSであり、日本人に最適化されています。その名の通り、黄色をイメージカラーとしており、現在の最新版のコードネームはFreesia(フリージア)です。ちなみに、一つ前のバージョンは、dandelion(たんぽぽ)になっていました。
日本のプロジェクトということで、日本語環境も整っていて、インストールしてすぐに使うことが出来ます。また、パッケージリストのアップデートから、各種パッケージのアップグレード、古いパッケージの削除を一括して行う、“pacup”という使いやすいコマンドを採用しており、更に今回のバージョンから「oYo UI Changer」という外観を一括変換してくれる所謂スタイルチェンジャーの機能も搭載されました。
初リリース時には、日本語環境を整えたDebianベースのLinuxディストリビューションというイメージでしたが、アップグレードにより徐々にオリジナリティが増していると感じました。今後のアップデートにも期待したいところです。

17.Feren OS

FerenOS

『FerenOS』は、癖もなく使いやすいLinuxで、自分がLinux紹介を始めたころに、よく使っていたLinuxの1つになります。Windowsしか使ったことがなくても、そこまで違和感なく使用することが出来ます。
2023年4月にリリースされたものから更新が止まっているのが気になるところです。
現在は、Ubuntuをベースとしていますが、元々はLinuxmintをベースとしており、そのLinuxmintベースのものは、FerenOS Classicとして並行リリースしていましたが、現在ではサポート終了しています。
変な癖もなく、初めから日本語入力が可能であること、初期状態ではWindows 10のようなレイアウトになっていること、他のOSからの移行ツールが用意されていること等、Windows 10のサポート期限が近づいた今、Windows 10 の代わりのOSとして良い選択かと思います。

18.Berry Linux

Berry Linux

『Berry Linux』は、日本で開発されているLinuxになります。
FedoraベースのLinuxでLive CD、USBメモリー、ハードディスク等から起動できます。そしてデスクトップ環境はLXDEであり、デスクトップ環境の中でも最軽量なものになります。その分、アニメーション効果は、ほぼありません。
日本で開発されており、Fedoraベースというだけで、かなり珍しいLinuxです。その上、USBメモリー上で動作するOSですから、この部分だけでオリジナリティは非常に高いLinuxといえます。
プリインストールされているアプリもウェブサービスをローカルアプリのように使える「ice」があったり、予めオンライン版のオフィスが登録されているなど、他のLinuxとは少し異なる印象を受けました。
また猫の壁紙は可愛く、日本語フォントも可愛いものが多く登録されています。
一方で問題点も数点あります。
まず、自分のノートPCの環境ではWi-Fiを認識しませんでした。ですので、有線でネットに接続する必要がありました。ここは自分が試してそうだったというだけですので、他の環境では分かりません。
また、パッケージ管理のアプリがインストールされていないこと、そしてコマンドでアップデートやインストールを試そうとしても、そのままではエラーが発生したことなどが引っかかりました。
それとフルHD以上のディスプレイでの表示だとアプリケーションメニューやタスクバーがコンパクト過ぎて、文字が小さいと感じました。日本開発のLinux、かつUSB上で動くということで、面白いLinuxでありますが、継続して使うには少し難点があるといった印象を受けました。

19.wubntu11

wubntu11 cinnamon

『wubntu11』…名前を聞いただけで、Windows+ubuntuという、ふざけたネーミングです。
では、単なる悪ふざけの過ぎるネタ的なOSなのかといったら、ネタであることには違いませんが、全力でネタに突き抜けているOSです。
このcinnamonエディションは、Windows10に似せています。そしてWindowのソフトやAndroidアプリも動作します。
見た目、機能の豊富さで言えば、Linuxディストリビューションの中でもかなり高いレベルなのですが、いかんせんMicrosoftの商標権をガン無視しているのがいただけません。
他のLinuxでもWindowsにデザインをよせているものは、多々ありますが、ロゴまで使用し、有料版も用意しているものは流石にありません。
Microsoftが本気で動いたら、まず勝てそうもないですが、現段階では特に動きはないようです。
OSとしての作り込みは確かなので、よく似ているレベルのオリジナルなデザイン、そしてロゴを用意してくれれば、オススメ出来るんですけどね。

20.Haiku

HAIKU

Linuxではありませんが、独立系OSとして歴史の長い『BeOS』の再構築を目指した『Haiku』というOSになります。
この『Haiku』、もともとは、コンピュータのハードウェア、ソフトウェアの開発を行っていた米Be社が開発したオペレーティングシステム (OS)である『BeOS』を再現することを目的として作られたOSです。
普段使いするOSとしてみた場合、この『Haiku』はお勧めできるOSではありません。デザインは古風、標準ブラウザもYoutubeに対応していません。操作にも癖があり、アプリケーションメニューも整理されているわけではなく、使いたいアプリを探すのが少し大変です。ただ、インストールや起動は非常に速いので、そこは良い感じです。
この『Haiku』を使おうとしている方は、そういった使い勝手よりも、まずは『BeOS』の復刻プロジェクトとして、正式版がリリースされることを希望しているかと思います。
20年以上経過していますが、現時点でベータの5です。ベータのいくつまで存在するのか分かりませんが、何かしらのリリース計画のようなものがあれば、今後の展開も分かりやすいのにと感じました。

21.Ubuntu 24.10

Ubuntu 24.10

Ubuntuの年2回の10月のリリース、『Ubuntu 24.10』、コードネームは、“Oracular Oriole”、日本語に訳すと“信託のオリオール”です。同じ年にでた24.04と比較すると、カーネルとGNOMEデスクトップ環境のバージョンが上がっています。
正直、劇的に使い勝手が向上したわけでもなく、目玉となる新機能が追加されたわけでもありません。
また、サポート期間も9ヶ月であるため、5年サポートである前回のバージョン24.04をお使いの方は乗り換える必要もありませんし、新規でUbuntuを導入しようとする人も前回のバージョンの方が良いと思います。
常に新しい機能を確認したいという方向けですね。

22.Kubuntu

Kubuntu

『Kubuntu』は、KDEデスクトップ環境を採用したUbuntuの公式フレーバーになります。ちなみに、公式フレーバとは、Ubuntuをベースとした派生版のことをいいます。フレーバーというとお菓子か何かの味のようなイメージがありますが、様々なテイストが楽しめるといった感じでしょうか?

『Kubuntu』は、アプリケーションも豊富にプリインストールされており、新たに何かアプリをインストールしなくても、使っていて不足はないかと思います。
また、“KDE Connect”や“Dolphin”等、優れたアプリも多いです。
カスタマイズ性も高く、こだわれば自分好みのデスクトップを作ることも出来ます。
良質なディストリビューションなので、Ubuntuが少し使いづらいと感じた方は試してみると気に入るかも知れません。

23.Lubuntu

Lubuntu

『Lubuntu』は、先の『Kubuntu』と同様、Ubuntuの公式フレーバーになります。採用しているデスクトップ環境は、『LxQt』であり、その軽量さには定評があります。他の公式フレーバーと比較して、使用中のメモリ消費も少なく、Core2Duo時代のメモリ2GB程度のパソコンでも普通に使うことができます。その分、初期状態では、アニメーション効果はほとんど効いておらず、Windows95~XP時代の良く言えば無駄のない、悪く言えば殺風景なデスクトップとなります。機能面では、特にこれといった特徴的なアプリはありませんが、無難に使いやすいアプリが入っています。
使っていて不足はありませんが、少し物足りない、ですが古いパソコンをリユースするには最適、そんなディストリビューションです。

24.Xubuntu

Xubuntu

『Xubuntu』、こちらもUbuntuの公式フレーバーになります。デスクトップ環境は、Xfceというかなり軽量なもので、公式フレーバーの中では、『Lubuntu』に次ぐ軽量さになります。
軽量で実用的という点では必要十分ではありますが、やはり他のフレーバーを比較すると地味な印象は否めません。
そのままだと若干使い勝手が悪い部分もあり、ある程度のカスタマイズを行いたいところです。
細かく設定できますし、設定の反映も特にログアウト、ログインも不要であり素早く反映されるので、自分好みにカスタマイズする人には良いかと思います。

25.Ufficio Zero

Ufficio Zero

『Ufficio Zero』は、一見するとWindows11のようなデスクトップで、先に紹介した“wubuntu”のような商標権無視のネタ的なOSのような印象を受けますが、なかなかにしっかりと設計されたOSです。
Linuxmintをベースとしており、Linuxmintと同様、“Cinnamon”、“Xfce”、“Mate”の3つのデスクトップ環境から選択出来ます。
見た目はWindwsのような外観ですが、タスクトレイに端末(ターミナル)があるなど、Linuxでよく使うアプリはアクセスしやすい位置にあります。
また、アイコンを見るだけで天気が把握出来る“お天気アプリ”、ブラウザを開かなくても直接ウェブ検索が出来る“検索ボックス”等使い勝手の良いツールもタスクトレイに登録されています。
日本語入力もインストール直後から出来るようになっています。
Linuxmintをベースとしているだけあって、プリインストールされているアプリは、ウェブアプリやインターネットテレビのアプリ、各種バックアップソフト等充実しています。
ファイラーを開くと、見た目はまるっきり、Windowsのエクスプローラーです。アイコンのデザインのなんかは大丈夫なんでしょうか?

Windowsの外観を被せただけのネタOSかと思いましたが、触ってみると、アプリや設定が分かりやすくアクセスしやすい配置になっていたり、細かくカスタマイズ出来たりとしっかりと作られたOSと感じました。

26.Nitrux

Nitrux

『Nitrux』は、見た目や動作がおしゃれでモダンなLinuxです。
外観は、ダークテーマに深緑の配色のデスクトップ、アクセントカラーも緑となっており、全体的に統一感があります。
アニメーション効果を多用しており、透過処理の効いたウィンドウ、最小化時の所謂“魔法のランプ”の効果、アクティブウィンドウの切り替え時に、ウィンドウがぴょこっと前後に移動する効果、Windows11のようなウィンドウのタイリング効果等、使っていて楽しいです。
また、アプリケーションのウィンドウに“閉じる”、“最大化”、“最小化”ボタンが無いことも特徴です。これらのボタンは、上部のタスクトレイに表示されるため、縦の解像度を広く使える一方で、アプリを操作したい時にマウスカーソルをタスクトレイまで移動させる必要があります。
また、Debianをベースとしているのですが、パッケージ管理コマンド“apt”が使えませんでした。
オシャレで統一感があり、アニメーション効果も面白いOSではありますが、若干操作に戸惑う感じです。

27.Manjaro

Manjaro

『Manjaro』は、“ArchLinux”をベースにしたLinuxです。
“Arch Linux”は、軽量かつ安定性の高いLinuxでとても人気のあるLinuxになります。しかし、インストールが難しいことが難点であるため、“ArchLnux”をそのまま使うのは、なかなかハードルが高いです。
この『Manjaro』は、“ArchLinux”ベースでありながら、インストールはGUI環境で簡単に出来、かつ日本語入力環境を整えるのも簡単であり、使い勝手も良く、ユーザフレンドリーな設計になっています。
『Manjaro』が、他のArchLinuxベースのディストリビューションよりも優れている点の1つが、“ManjaroHello”というウェルカムスクリーンです。
こちらの“ManjaroHello”で、日本語入力の設定や、Linuxで良く使われる代表的なアプリのインストールが出来ます。
その他にも、ドロップダウンターミナルを搭載し、ワンクリックで端末(ターミナル)が起動出来ること、アプリやファイルの検索がキー入力で簡単に出来るなど、アプリへのアクセシビリティも良好です。
“ArchLinux”をベースにしたLinuxの中では、最もオススメ出来るディストリビューションになります。

28.Voyager

Voyager

『Voyager』は、フランス産のLinuxディストリビューションになります。特徴はそのオシャレでスタイリッシュな壁紙に代表されるデザインです。流石はおフランスといったところですね。
今年紹介したバージョンは、2025年にリリース予定のアルファ版ですが、良い感じに仕上がっています。
インストール直後から日本語入力が出来ること、3Dデスクトップやアプリケーションスイッチャーのような多彩なアニメーション効果、壁紙の豊富さ等、見た目や使い勝手は良好です。
また、もう1つの特徴として挙げられるのが、“Boxvoyager”というアプリ、こちらにVoyagerオリジナルの機能が集約しています。
ただ、以前から指摘させていただいていますが、この“Boxvoyager”、機能はともかくユーザインタフェースは良くありません。小さなウィンドウが開き、ラジオボタンで目的のアプリや設定を辿っていくインタフェースになっていますが、これが使いにくい。
言語が英語表記であるのはおいておくとしても、どこまでがカテゴリで、どこからが機能であるのか把握できません。先に紹介したManjaroのウェルカムスクリーンである“ManjaroHello”のような、リスト表示で、サブカテゴリーが開いていくツリー構造にしてくれれば、把握しやすいのですが。
正式版リリース時には、この“Boxvoyager”のユーザインタフェースを改善してほしいところです。

おわりに

今回は、2024年最後の投稿ということで、今年紹介させていただいたLinuxディストリビューションについて、振り返ってみました。
その時その時で、リリースされたものや、自分が個人的に気になったものを取り上げているので、メジャーなもの、マイナーなもののごった煮になっていますがご容赦ください。
来年もLinxuxディストリビューションの紹介を行っていきますので、引き続き応援の程、よろしくお願いします。




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