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Ubuntnuファミリーの紹介~第一弾『Kubuntu』

先日、Ubuntu24.10がリリースされました。
自分は、Ubuntuのアップデートの時は、必ずといって良いほど、レビュー動画を投稿しています。Ubuntuのデスクトップ環境はGnomeデスクトップ環境ですが、Gnomeデスクトップ環境が、あまり好きではない方もいらっしゃるかと思います。
そんな方のために、Ubuntuには、ベースはUbuntuではありながら、他のデスクトップ環境を導入した公式フレーバーがあります。
ということで、今回から、Ubuntuの公式フレーバーを紹介していこうと思います。まず、第一弾は『Kubuntu』。KDEデスクトップ環境を採用したUbuntuの公式フレーバーになります。


そもそもフレーバーって何よ?

そもそもフレーバーって言うけどなによ、お菓子の味の種類か何かですか?って思われる方もいらっしゃるかと思います。ネットで調べると、『食品の香り、味、食感など口に入れた時に生じる感覚をまとめていう言葉』と出てきます。

っと、ここで、ちょっと脱線ですが、最近の学生さんって調べ物をするとき、辞書で用語を調べたりはするんでしょうか?
自分が学生の頃は、和英、英和、国語辞典なんかを使って用語を調べていました。教科書といっしょに強制的に購入させられていましたが、これが分厚い。持ち運ぶのが大変でした。最近はネットで検索するだけで良いですし、電子辞書だってあります。重い辞書なんかを持ち運ぶ必要なんかないと思いますが、今はどうやって調べ物をしているのでしょうか?

辞書は重かった…学校置きっぱでも良かったのに律儀に持ち帰っていたあの頃…

話を元に戻します。フレーバーの意味ですが、もちろん、味うんぬんの話ではありません。Ubuntuをベースとした派生版のことをいいます。様々なテイストが楽しめるといった感じでしょうか?

Kubuntuの特徴

さて、Kubuntuですが、先にも述べたとおり、KDE デスクトップ環境を採用したUbuntuです。

日本語入力関係

Ubuntuでは、インストール直後から日本語入力環境は整っていました。しかし、このKubuntuは、たとえ日本語を選択して、インストールを行ったとしても、インストール直後は、日本語入力は出来ません。
というわけで、必要パッケージを次のコマンドで、インストールします。

sudo apt install fcitx5-mozc
sudo apt install im-cofig

次のコマンドで、日本語入力メソッドをfcitx5に切り替えます。

im-config -n fcitx5

そして、一旦、ログアウトし、ログインします。

その後、デスクトップのタスクバー上にあるキーボードアイコンを右クリックし、「インプットメソッドを設定」を選択してください。

「インプットメソッドを設定」をクリック

「Fcitxの設定」ウィンドウが開きます。初期状態では左側に「キーボード - 英語(US)」のみが表示されていると思います。

「Fcitxの設定」(初期状態)

それを「キーボード - 日本語」、「Mozc」の2行が登録される状態にしてください。

「Fcitxの設定」(変更後)

これで日本語入力が可能になります。
Firefoxの検索窓上でも、『Kate』という、KDEデスクトップ環境の標準テキストエディタ上でも、日本語入力ができることが確認できました。
ちなみに、このKubuntuでは問題なかったですが、別のディストリビューションでは、『Kate』では日本語入力が出来ないものもありますので、他のKDEデスクトップ環境を採用したディストリビューションを使う方はご注意ください。

標準テキストエディタ“Kate”で日本語入力できることを確認

アプリケーション

全般について

アプリケーションは、よく使うであろうアプリケーションが登録されています。インターネットのカテゴリーには、インターネットブラウザ『Firefox』やメールクライアント『Thunderbird』、オフィスソフトは、『LibreOffice』等など、他にも多くのアプリケーションがプリインストールされています。

Ubuntuは、Officeソフトすらインストールされていません。いちいち必要ソフトを検索し、インストールする必要がありませんので、特にアプリのこだわりがない方ならば、Kubuntuのようにアプリが揃っているディストリビューションのほうが良いでしょう。
お気に入りのアプリがあり、必要なアプリのみを使いたいという方ならば、Ubuntuのような最低限のアプリに留めているディストリビューションのほうが良いでしょう。

標準ファイラー『Dolphin』について

KDE デスクトップ環境を紹介する時に、自分がいつもピックアップするアプリが標準ファイラーである『Dolphin』です。

この『Dolphin』、かなり多機能で使いやすいファイラーになります。
まずは、2画面ファイラーへの切り替え機能です。ショートカットキーは[F3]キーになります。

2画面表示([F3]キー)

次に、端末(ターミナル)画面の表示です。ショートカットキーは[F4]キーです。上下に画面が分割され、上側に通常のGUI画面、下側に端末(ターミナル)が表示されていますね。これはいったい何のためにあるのでしょうか?と思われる方もいらっしゃるかと思います。

端末(ターミナル)の表示([F4]キー)

では、端末上でカレントディレクトリを移動するコマンド(CDコマンド)を入力してみます。

cd ダウンロード/

下側の端末(ターミナル)側でカレントディレクトリが移動したと同時に、上側のGUI画面でもダウンロードフォルダに移動しています。これは面白い。

端末上での操作がGUI画面に反映

また、ディレクトリを作成するコマンド(mkdirコマンド)で、ディレクトリを作成すると、同様にGUI画面でディレクトリが作成されています。

mkdirコマンドで、GUI上にフォルダが作成されます

ちなみに、GUIでの操作に関しては、ディレクトリの移動をすれば、下側の端末側でも、CDコマンドが表示されますが、新規ファイル作成などに関しては、特にコマンドは表示されませんでした。

新規ファイルの作成は、下画面には反映されませんでした

KDEといったらこのアプリ『KDE Connect』について

KDEデスクトップ環境を代表するといってもよい(?)かもしれない『KDE Connect』、当然プリインストールされています。
機能はたくさんありますが、今回はその一部、“ファイルを送信”と“リモート入力”、“デバイスを探す”を試してみます。

まずスマホとパソコンをペアリング。
“ファイルを送信”機能は、ケーブルレスで、ファイルの転送が出来ます。試しに、スマホからパソコンへファイルを転送してみます。スマホ側から“ファイルを送信”をタップします。

“ファイルを送信”をタップ

転送したいファイルをタップ。確認メッセージはなく、いきなり送信されることには注意です。

送信したいファイルをタップ

すると、パソコン側のデスクトップ右下に“ファイルを受信中(完了)”とメッセージが表示され、ダウンロードフォルダに保存されます。

パソコン上でファイルを受信

“リモート入力”は、スマホ画面をパソコンのタッチパッドのように使うことができる機能です。

リモート入力

スマホのタッチに合わせて、パソコン側のカーソルが動いているのが分かるかと思います。

直感的に使えます

“デバイスを探す”は、パソコン側から操作します。スマホをどこにやったか分からなくなった時に便利な機能です。

“デバイスを探す”機能

画面効果について

さて、このKDEデスクトップ環境ですが、画面効果(見た目のイフェクトですね)、こちらも豊富で、見た目が楽しいもの、機能的なものなど多種多様です。

まず、マウスをデスクトップの左上の角に合わせると、起動中のアプリが一覧表示され、上部に仮想デスクトップが表示されます。起動中のアプリをドラッグすることで、別の仮想デスクトップにアプリを移動させることが出来ます。そして仮想デスクトップは動的に増えていきます。
これは、Gnomeデスクトップ環境でいう“アクティビティ”という機能と同一のものですね。

Gnomeデスクトップ環境でいうアクティビティ(アプリ移動中)
Gnomeデスクトップ環境でいうアクティビティ(アプリが移動され、上部の仮想デスクトップが動的に増えました)

ちなみにこの機能は、「設定」を起動し、“マウスとタッチパッド”-“スクリーンエッジ”で変更することが出来ます。初期状態では、左上に先ほどの“アクティビティ”、KDEの設定上では“オーバービュー”という機能が割り当てられていることが分かります。
例えば、右下の角にマウスカーソルを合わせることで、デスクトップを表示させるといったWindowsのような機能を持たせることも出来ます。

設定メニューの“スクリーンエッジ”

“ウィンドウの管理”-“デスクトップ効果”で、様々なイフェクトを使うことも出来ます。

デスクトップ効果

ウィンドウを移動させるときに、ぐらぐら揺れる、“ぐらぐらウィンドウ”、いわゆる“揺れるウィンドウ”効果。

揺れるウィンドウ

ウィンドウを閉じた時に、ばらばらになる“ばらばらにする”効果。

ウィンドウを閉じた時にばらばらにする効果

最小化する時に吸い込まれるようなイフェクトの“魔法のランプ”、等々があります。

魔法のランプ

デスクトップのカスタマイズについて

見た目だけではなく、レイアウトの変更や各種機能の追加も可能です。

ウィジェットの追加

KDEデスクトップ環境は、ウェジェットも豊富に用意されています。
追加したいウェジェットをドラッグし、デスクトップの任意の位置に配置したり、タスクバー上に配置したりできます。

デスクトップの左側にウェジェット一覧

デスクトップのカスタマイズ

デスクトップのカスタマイズも、柔軟に出来ます。「パネルの設定」では、Windowsでいうタスクバーのレイアウトを変更することが出来ます。

パネルの設定

“位置”や“配置”、“幅”、“表示”、“透明度”、“スタイル”、“パネルの高さ”などを変更することが出来ます。

パネルの設定はかなり細かく設定できます

Windowsのようなタスクバーのようなスタイルからドックランチャーのようなスタイルに変更することも出来ます。

こんな感じのデスクトップにすることも出来ます

総括

今回は、Ubuntuファミリーの1つとして、『Kubuntu』を紹介させていただきました。アプリケーションも豊富にプリインストールされており、新たに何かアプリをインストールしなくても、使っていて不足はないかと思います。
また、KDE ConnectやDolphin等、優れたアプリも多いです。
カスタマイズ性も高く、こだわれば自分好みのデスクトップを作ることも出来ます。
良質なディストリビューションなので、Ubuntuが少し使いづらいと感じた方は試してみると気に入るかも知れません。

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